出萌株式会社など3社

出萌(株)(資本金9800万円、糸島市二丈深江字宮小路973、代表岩橋孝行氏)と、関係会社のいずも食品加工(株)(資本金7000万円、糸島市二丈深江2545-1、同代表)、(株)糸島ファーム(資本金300万円、糸島市二丈深江2545-1、同代表)の3社は、1月18日に福岡地裁へ自己破産を申請した。

申請代理人は吉成外史弁護士(東京都港区赤坂3-2-12、あかつき総合法律事務所、電話03-5574-7791)ほか1名。

出萌(株)は、2004年(平成16年)4月にピーナッツスプラウト(ピーナッツもやし)の生産・販売を目的に福岡市南区で設立。2006年に佐賀工場(佐賀県みやき町)を設置して生産・販売を本格化させて以降は、酢漬けやキムチ漬けなどの加工品製造にも乗り出し、食品商社などを通じて首都圏や近畿圏などに向けた業務用・一般家庭向け製品を出荷していた。2008年11月に福岡市のインキュベート施設(福岡市東区)に入居。2009年に福岡工場(糸島市)を開設したのを皮切りに、ベンチャーキャピタルからの出資を得るなどで2012年に佐賀工場を増設(第二工場)、2014年に関東工場(千葉県成田市)を開設、2015年にシイタケを栽培する和歌山工場(和歌山県有田町)を開設、2016年3月には本店を現住所へ新築移転するなど投資を重ねた。そうしたなか、地元産野菜の卸販売も行うほか、2017年9月にはカフェレストランなども備えた産直店舗「いずもマルシェ酒々井」(千葉県酒々井町)をオープンするなどで業容を拡大、2018年3月期は年売上高約32億1600万円を計上した。

しかし、こうした設備投資に見合う収益が得られないなか、急速に増大した借入金の返済が重荷になり資金繰りが悪化。佐賀第二工場を売却するなどで立て直しを模索したものの、金融機関からの支援継続が見込めないと判断、今回の事態となった。

いずも食品加工(株)は2014年(平成26年)3月に設立。野菜チップやカット野菜、惣菜などの製造・卸を手がけていたが、出萌(株)に連鎖した。また、2012年(平成24年)11月に設立した(株)糸島ファームも同様の措置となった。

負債は、出萌(株)が債権者約73名に対して約58億円、いずも食品加工(株)が約3億9000万円、(株)糸島ファームが約2億円、3社合計で約63億9000万円。

株式会社RRHK(旧:リーガロイヤルホテル小倉)

(株)RRHK(旧商号:(株)リーガロイヤルホテル小倉、資本金1億円、北九州市小倉北区浅野2-14-2、代表清算人五弓博文氏)は、12月11日に福岡地裁小倉支部より特別清算開始決定を受けた。

当社は1992年(平成4年)6月に(株)リーガロイヤルホテル小倉の商号で設立、93年4月にJR小倉駅北口に立地する地上30階建てのシティホテル「リーガロイヤルホテル小倉」の運営を開始した。同ホテルは、全295室(収容人員590名)の客室のほか、会議室や宴会場、和・洋・中の各種レストラン、婚礼施設、フィットネスクラブなどを備えていた。駅直結の好立地を背景としてビジネス・観光需要を取り込むなど、北九州市内でも有数のハイクラスホテルとして知られ、2002年3月期は年収入高約55億2100万円を計上した。

しかし、周辺に立地した後発のビジネスホテルとの競合を余儀なくされていたうえ、景気悪化の影響で企業・団体の宴会需要が低迷。婚礼についてもハウスウエディングなど他施設との競争が激化するなどで減収傾向の推移が続いていた。この間、各種宿泊キャンペーンを展開するほか、最上階のフレンチダイニング&スカイラウンジ「リーガトップ」を改装するなどで宴会・婚礼需要のテコ入れを図っていたが、宿泊・婚礼などにおいて単価の下落もあって連続欠損を余儀なくされ、有形固定資産の減損損失処理を行った2011年3月期には大幅な債務超過に転落していた。2014年3月期に約41億3300万円にまで落ち込んだ年収入高は、その後の景気回復により好転の兆しを見せたものの、親会社が2017年7月に財務健全化を図るべく当社に対する貸付金を債権放棄する方針を固めたことから、親会社からの借入金等を除く全事業を9月1日付で設立した(株)リーガロイヤルホテル小倉(同住所)に分割譲渡。当社は同日付けで現商号へ変更し、9月30日に株主総会の決議により解散していた。
負債は約69億円。

なお、清算したのは旧事業会社で、「リーガロイヤルホテル小倉」は新運営会社の下、現在も営業を継続している。

また、九州・沖縄地区では2月に特別清算開始決定を受けた南国興産(株)(鹿児島県、負債79億100万円)に次ぐ、今年2番目の負債規模。

株式会社ZEN POWER

(株)ZEN POWER(資本金3000万円、福岡市博多区博多駅前2-3-7、代表木村道雄氏)は、2016年12月22日に福岡地裁へ自己破産を申請、4月5日に同地裁より破産手続き開始決定を受けた。

破産管財人は中川佳宣弁護士(福岡市中央区渡辺通2-1-82、西村あさひ法律事務所福岡事務所、電話092-717-7300)。

当社は、2005年(平成17年)12月に設立された太陽光発電設備の製造・販売業者。もともとはエスシパワ(株)の商号で設立され、情報機器用超薄型IC電源の開発を行っていた。2013年10月に現商号へ変更するとともに、太陽光発電パネル製造・販売業へ業態転換した。国内販売のほか、海外への輸出も手がけ、業績のピークとなる2014年12月期には年売上高約74億円を計上していた。

しかし、2015年12月期の売り上げは約5600万円に急減。同年から翌2016年にかけて徐々に業容を縮小し、実質的な営業活動を停止していた。

負債は債権者約3名に対し、約52億円。

なお、太陽光関連では、今年最大の倒産となる。

福岡観光開発株式会社

福岡観光開発(株)(資本金6100万円、高岡市福岡町花尾5、代表市山久一氏、従業員15名)は、1月13日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日監督命令を受けた。

申請代理人は増田薫則弁護士(東京都港区虎ノ門1-1-28、シティ法律事務所、電話03-3580-0123)ほか2名。

監督委員には岡正晶弁護士(東京都千代田区大手町1-7-2、梶谷綜合法律事務所、電話03-5542-1453)が選任されている。

当社は、1973年(昭和48年)12月にゴルフ場経営を目的として富山県の複数の企業が出資して設立、77年10月に開場した「花尾カントリークラブ」を運営していた。全27ホール(パー108、全長10,046ヤード)で約2000名の会員を有し、2002年12月期の年収入高は約6億9900万円を計上していた。

しかし、その後、ゴルフ人口の減少や価格競争の影響を受けるなど厳しい外部環境から2015年12月期は年収入高約2億6700万円まで落ち込み、営業段階での赤字計上を余儀なくされていた。このようななか複数の預託金返還訴訟が提起されたことで、預託金返還の目途が立たなくなったことから、自主再建を断念し、今回の措置となった。

負債は2016年9月末時点で約49億5900万円。

なお、「花尾カントリークラブ」は平常どおり営業を継続中。