皆さんこんにちは。マンガやアニメ作家をしている鐘崎裕太と申します。
読者の方はもちろん自分への戒めとして、記事をまとめさせて頂きました。
まずは、マンガ「愛とアサジのホラ吹き大合戦!」お読み頂いた方、本当にありがとうございました。
読者や漫画講師、講談社の方から様々なコメントや添削、アドバイスを頂き、少しでも面白くなるよう改善を尽くしてまいりました。
しかし大変残念ながら、連載において成果を達成できなかったこと、そして今後達成できる見込みが薄いことが深く浮き彫りになりました。
今作でいう成果とは、「人気を高めながら期限内に完成させること」です。
つきましては上記の理由から大変ご勝手ながらも、当漫画の制作を中止させて頂きたいと思います。
何と申し上げれば良いか分かりませんが、アニメに続いて再び中止することになってしまい忸怩たる思いです。
作品の需要を見いだせず、期限内に完成できなかった事は全て私の甘さから来る応報です。
事実状の打ち切りとなりますことを、深くお詫び申し上げます。
何故遅れても最後まで書かないのか
制作が余りにも遅れてしまい、費用対効果として連載を続けられないと判断したからです。
当初は首尾一貫の想いで強い志のもと、何があってもとにかく、最後まで完成させる予定でした。
しかし遅れに遅れるマンガ制作、停滞していくモチベーションやpv数。ずさんになっていくプロモーション。
気付けば当初予定していた、「平成までに終わらせる」という締め切りを大きく超過していました。
そこで私は、自分を鼓舞するように福岡(ヒロイン一行が北九州弁だからです)へ引っ越し、方便を培い、最低限の生活に身を置きました。
背水の陣で集中し、何としても来年中には完成させたかったからです。
そんな中、私の考えが変わったのは、1年前から担当して頂いている講談社Tさんからの本音でした。
「この漫画そんな大事かな?」「一人よがりで描いてる内はプロになれない」「需要から作品作りしないと」
当作品を打ち切って読み切り作りを推奨するTさんの意見に当初は否定的でした。
1年前から膨大な脚本等を準備して時間のほぼ全てを注ぎ込み、血反吐を吐くほどの難関を乗り越え、正しくこれからドラマが盛り上がっていくからです。
この状態で打ち切ることは、自分にとって即ち「死ね」ということでした。
しかし落ち着いて一考した結果、自分は作品に固執して独りよがりな考えになっていたのかもしれないと考えました。
そして何より、「プロになる」という事に対する大きな甘さにも気づきました。
客観的で考えれば一目瞭然です。プロを目指す以上、ほとんど市場価値の無いマンガを描き続けることに何の意味があるのでしょうか?
私は作品に愛着を抱く余り、商業主義を軽視してむやみに暗闇を突き進んでいたのかもしれません。
一旦全て脱ぎ捨てて客観的事実に目を向けると、プロを目指しているにも関わらず何の成果も出ていない事に気付きました。
ただ、最後まで描く事で「カメラを止めるな!」や「クラナドアフター」の如く何か大きな逆転があるかもしれません。
実際今までのコメディ調の話は、今後展開していくドラマのほんの土壌づくりに過ぎません。
しかし当作品は膨大な漫画の中の、連載WEB漫画なので、飽きられたらそれで終わりです。
以上の理由により、連載を続けも成果を達成できず自己満足に終わるだけだと判断しました。
断腸の思いですが、私は密かに20代はマンガ、30代以降はアニメと、作りたい作品と期間を決めています。
その上で1日たりとも無駄にはできません。
なので、客観的な視点で、プロになるための読み切り制作と当作品制作を天秤にけた結果、このような結果になりました。
原因
- テンポが悪かった
- キャラの魅力を伝えきれなかった
- 連載頻度が遅すぎた
- 絵がごちゃごちゃしていて読みづらい
- プロモーション不足
①・・・
1投稿ごとに楽しめる内容にしようと、1話完結風に話を展開させたのが仇となり、結果的にテンポが悪くなった印象です。
改善するなら、まず両親との対面とカフェで計画、両親が話し合うシーンをまとめて2話にする。
そして以降の弔い、口走り、プライド合戦をまとめて3話にする。
ページ数は膨らみますが、これくらいまとめて展開を早める必要があったと思います。
②・・・
特に初期の愛とアサジの印象は微妙で、2人の行動に対して読者が応援や共感しづらかった事が初期のつまずきポイントだと思います。
また投稿毎にお互いの新たな一面を見せることを大切にしていましたが、展開が遅い故に本質に迫れず、表面的な事象に収まってしまいました。
③・・・
言わずもがなです。全体的なモチベーションはもちろん、ダークサイドに度々落ちて制作がストップすることも大問題でした。
また、毎度制作手法を変化させた事が良い経験になりましたが、遅延に繋がりました。
改善するならば、毎週、毎月一定のペースの生産性を保つために工程を一元化するべきでしょう。
そのためにごちゃごちゃしていた背景等を簡略化など方法は色々あるはずです。
またプレッシャーが無かったので、デッドラインを決め無関係な行動はできない空間に身を置くべきです。
④・・・
特にスマホで読む読者を考えておらず、丁寧に世界観を作りこんだ結果読みづらい絵になってしまいました。
特に1話は顕著で、背景とキャラが同化していて読みづらく、更に効果音や記号等が重なり拍車をかけていました。
絵の作りこみに関しては生来のものだと思いますが、商業漫画家を目指す以上、個性が消えない範囲で今売れてる漫画の画面を参考にするべきだと思います。
⑤・・・
制作作業に一杯で宣伝に手が回っていませんでした。ただ今回に限っては作品自体に問題があるので、宣伝しても訴求効果は低かったかもしれません。
また余りの不人気から途中で完全に自己満足で描き上げるようになったので、商品として需要を作り提供する精神が薄れていたことも事実です。
お金を出すお客さんを想定して、伝えたい事はもちろん、自己にしか作れない需要を見出し商品を届ける商売意識を忘れないようにするべきです。
作品としてのポテンシャルは十二分にあったものの、構成に大きな問題があったと思います。
本質的には、キャラや展開の出し惜しみでテンポが遅れ、期待値が下がり読者が離れていったことだと思います。
今後
断腸の思いで決断した今回の中止が正しかったか否かは私の今後の行動次第だと思います。
今後目指す成果はまず、作りたい漫画を連載することです。
そのために編集担当さんと読み切りを作り、大賞に準じた成果が必要だと現時点では思います。
あるいは他の手法があるかもしれないので探ってみます。
その成果のためには、常軌を逸した努力や感性、集中力、プレッシャーや自己管理能力が最低条件だと思います。
そのために様々な策を講じています。
しかしどれだけ奮闘しても、方向を間違えると商売の場合は終わりです。今回はそれが露呈した作品だと思います。
そして何より、客観的に見るのはもちろん、楽しんで描くという事を忘れないようにしたいです。
ただ今までも優柔不断だったので、今後何しているか確約全くできません。
とても長文になりました。
最後までお読みいただき有難うございました!
商業ベースでの厳しさ、難しさはありますが、裕太さん(JACKさん)の良さを大切にがんばってください。昨日もイベントで裕太さん(JACKさん)と一緒に創った同人誌『謎の円盤UFO』をすごく面白かったと言ってくださった方もいます。応援しています。