岸田文雄首相は20日午前(日本時間同日夜)、国連総会で一般討論演説を行うため、米ニューヨークに到着した。韓国大統領府は先週、現地で日韓首脳会談が行われると発表したが、日本政府は否定した。岸田首相も出発直前、「何も決まっていない」と語った。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が、日韓関係修復に躍起となっている背景には、深刻なウォン安ドル高で「通貨危機の再来」が指摘されていることがある。これを回避するため、日本や米国との「通貨スワップ再開」を熱望しているようだ。ジャーナリストの室谷克実氏が、隣国の悲惨な現実と勝手な妄想に迫った。
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韓国が、通貨ウォンの対米ドル比での下落に、異様なほど怯(おび)えている。日本円の下落勢に比べれば〝わずかにマシ〟なのに、なぜだ。
ウォンの対米ドルレートは2021年末、ギリギリ1100ウォン台だった。「1200ウォンがマジノ線」と言われた。
が、22年6月には1300ウォンまで切り下がり、9月中旬には「間もなく1400ウォン台に突入」の状況となった(9月20日午前8時45分は1ドル=1390ウォン)。こうした数字を見れば「急激なウォン安」は明らかだ。
しかし、対円で見れば、どうか。
21年までは100円は1000ウォンにプラス何十ウォンが当たり前だった。ところが、22年になると、100円は1000ウォンからマイナス何十ウォンになった(同100円=969ウォン)。