元楽天投手 古里で市職員に 4度目の挑戦で合格つかむ 古賀出身・井手亮太郎さん

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正規職員としての抱負を語る井手さん
正規職員としての抱負を語る井手さん
楽天時代の井手さん(本人提供)
楽天時代の井手さん(本人提供)

 プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの元投手、井手亮太郎さん(28)が4月1日付で、生まれ育った古賀市の正規職員に採用される。「野球第一」から一転、引退後はフルタイムで働きながら採用試験に向けて勉強。4度目の挑戦で、20倍を超える難関を勝ち抜いた。

 右サイドから投じる速球で九産大九州高時代から注目され、野球専門誌の表紙も飾った。九産大では大学日本代表候補に。球速は150キロを超え、2017年のドラフト会議で楽天から育成1位で指名された。

 だが、肘関節の軟骨片を除去する手術の後にフォームを崩して球速が大幅に落ち、わずか2年で戦力外通告を受け、ユニホームを脱いだ。

 古里に戻り、スポーツジムのアルバイトを経て、知人の勧めで市役所の会計年度任用職員になった。当初は公務員になるつもりはなかったが、道路や河川の管理などに携わるうち、「街がきれいになり、発展が目に見える」とやりがいを感じるようになり、正規職員を目指すことにした。

 「それまでは野球第一で、勉強は試験前にちょこちょこっとやったくらい。勉強の仕方も、どう頑張ればいいのかも分からなかった」状態からのスタート。20年度の採用試験は不合格で、21年度からは3年間の任期付職員をしながら受験を続けたが、21、22年度も失敗した。

 「甘く見ていたところがあり、それが結果に出た。将来を見据えて気合を入れ直した」。午前8時半から午後5時まで働いた後、福岡市博多区の公務員専門学校の夜間コースで学んだ。

 「後がない」と臨んだ23年度の「一般事務A(大卒程度)」の採用試験は、8人程度の採用予定人数に167人が応募。4次にわたる試験をクリアし、合格をつかんだ。

 「喜びより、ほっとしたのが一番。両親はドラフトで指名を受けた時と同じくらいうれしかったのでは」。高校時代の監督や楽天の担当スカウトに報告。筑後市の福岡ソフトバンクホークスの施設にも足を運び、旧知の選手たちに採用内定を伝えた。

 野球との関わりも続く。「野球で学んできたものを子どもたちに残したい」と、今年2月、プロ経験者が高校や大学で指導が可能になる学生野球資格を回復した。

 来月1日の辞令交付式を前に「その時、その時にやりたいことができたので、遠回りとは思わない」と言い、「古里や両親に恩返しできる、そのスタートラインにようやく立てた。『ファンあってのプロ野球』と同じで、『市民あっての行政』。市民ファーストで、何でも相談されるような職員になりたい」と抱負を語る。

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