−お願い−

 私は、まったく想像すらしていませんでしたが、 この「ドラえもんの最終回(仮)」が チェーンメールになってしまいました。 どうして、そのようなことになってしまったのか、 私自身、未だに分かっておりません(詳細)。 多くの方に、このページを見てもらえたことは 大変ありがたいことなのですが、 私はただ、ドラえもんが好きな大学生であり、 ネットに迷惑をかけるチェーンメールとして、 未だに流れているかもしれないことについては、 可能な限りで対処したいと考えています。
 そこで、私がここでお願いしたいことは、

   (1)このページの文を勝手に引用しないで下さい。
   (2)ドラえもん好きの友達に紹介するときは、このページのアドレスだけにして下さい。
   (3)雑誌等で取り上げていただけるときは、事前連絡をして下さい。

 とりあえずは、以上の3つのことを、なんだか、 とっても偉そうで申し訳ないのですが守って下さい。 私の知らないところで、「ドラえもんの最終回(仮)」が、 未だに一人歩きしているかもしれないことを想像すると...。 よろしくお願いします。(ぺこり)

平成10年 12月16日 佐藤宣夫(Satoh Nobuo)


[ドラえもんには、藤子F不二雄先生作の最終回がちゃんとあります!]

〜僕が勝手に考えた〜                .
ドラえもんの最終回(仮)



のび太とドラえもんに別れの時が訪れます。それは、なんともあっさりと...。
のび太はいつものように、宿題をせずに学校で叱られたり、 ジャイアンにいじめられたり、スネ夫の自慢話を聞かされたり、 未来のお嫁さんであるはずのしずかちゃんが 出木杉くんとの約束を優先してしまったり、 とまあ、彼にとってはそれがすべての世界であり、 一番パターン化されていますが、ママに叱られたのかもしれません。 とにかく、いつものように、あの雲が青い空に浮かんでいた、 天気のいい日であることは 間違いないことでしょう。そんないつもの風景で、

ドラえもんが動かなくなっていた...。
当然、のび太にはその理由は分かりません。喋りかけたり、叩いたり、蹴ったり、 しっぽを引っ張ってみたりもしたでしょう。なんの反応も示さないドラえもんを 見てのび太はだんだん不安になってしまいます。付き合いも長く、 そして固い友情で結ばれている彼らですが、 のび太には動かなくなったドラえもんが どういう状態にあるのか、充分には理解できません。 その晩、のび太は枕を濡らします。

ちょこんと柱を背にして座っているドラえもん...。
のび太は泣き疲れて、ただぼんやりしています。 無駄と分かりつつ、いろんなことをしました。 できうることのすべてをやったのでしょう。 それでも何の反応も示さないドラえもん。 泣くことをやめ、何かしらの反応がないか、 ただただ、だまって見つめ続ける少年のび太。 当然ですがポケットに手を入れてみたり、 スペアポケットなんてのもありましたが、動作してくれないのです。 そして、どうして今まで気付かなかったのか、勉強机の引き出し、 そう、タイムマシンの存在に気がつくのです。 ろくすっぽ着替えず、のび太はパジャマのまま、 22世紀へとタイムマシンで向かいます。

これですべてが解決するはずが...。
のび太は、なんとかドラミちゃんに連絡を取り付けました。しかし、 のび太はドラミちゃんでもどうにもならない問題が発生していることに、 この時点では気が付いていませんでした。 いえ、ドラミちゃんでさえもこの最悪ともいえる状況には気付いていませんでした。 『ドラえもんが治る!』、のび太はうれしかったことだと思います。

しかしこの後に人生最大の落胆と決断をすることになってしまうのです。
せかすのび太と状況を完全には把握できないドラミちゃんは とにもかくにも20世紀へ戻りました。 動かないお兄ちゃんを見て、 ドラミちゃんはすぐにお兄ちゃんの故障の原因がわかりました。 正確には、故障ではなく電池切れでした。 そして電池を交換する、その時、ドラミちゃんはその問題に気が付いたのです。

予備電源がない...。
のび太には、なんのことか分かりません。早く早くとせがむのび太に ドラミちゃんは静かにのび太に言いました。
「のび太さん、お兄ちゃんとの思い出が消えちゃってもいい?」
当然、のび太は理解できません。なんと、旧式ネコ型ロボットの耳には 電池交換時の予備電源が内蔵されており、電池交換時にデータを保持しておく役割が あったのです。そして、そうです、

ドラえもんには耳がない...。
のび太もやっと理解しました。そして、ドラえもんとの思い出が 甦ってきました。初めてドラえもんに会った日、数々の未来道具、 過去へ行ったり、未来に行ったり、恐竜を育てたり、海底で遊んだり、 宇宙で戦争もしました。鏡の世界にも行きました。 どれも映画になりそうなくらいの思い出です。

ある決断を迫られます...。
ドラミちゃんは、いろいろ説明をしました。 ややこしい規約でのび太は理解に苦しみましたが、 電池を交換することでドラえもん自身はのび太との思い出が消えてしまうこと、 今のままの状態ではデータは消えないこと、 ドラえもんの設計者は、設計者の意向で明かされていない(超重要極秘事項) ので連絡して助けてもらうことは不可能であるという、 これはとっても不思議で特異な規約でありました。 ただ修理及び改造は自由であることもこの規約に記されていました。

のび太、人生最大の決断をします。
のび太はドラミちゃんにお礼を言います。 そしてドラえもんは「このままでよい」と一言、告げるのです。 ドラミちゃんは後ろ髪ひかれる想いですが、 何も言わずにタイムマシンに乗り、22世紀へと帰っていきました。 のび太、小学6年生の秋でした。

あれから、数年後...。
のび太の何か大きく謎めいた魅力、そしてとても力強い意志、どこか淋しげな目、眼鏡をさわるしぐさ、 黄色のシャツと紺色の短パン、しずかちゃんが惚れるのに時間は要りませんでした。 外国留学から帰国した青年のび太は、最先端の技術をもつ企業に就職し、そしてまた、めでたく しずかちゃんと結婚しました。そして、それはそれはとても暖かな家庭を築いていきました。 ドラミちゃんが去ってから、のび太はドラえもんは未来に帰ったとみんなに告げていました。 そしていつしか、誰も「ドラえもん」のことは口にしなくなっていました。 しかし、のび太の家の押入には「ドラえもん」が眠っています。あの時のまま...。

のび太は技術者として、今、「ドラえもん」の前にいるのです。
小学生の頃、成績が悪かったのび太ですが、彼なりに必死に勉強しました。 そして中学、高校、大学と進学し、かつ確実に力をつけていきました。 企業でも順調に、ある程度の成功もしました。 そしてもっとも権威のある大学に招かれるチャンスがあり、 のび太はそれを見事にパスしていきます。 そうです、「ドラえもん」を治したい、その一心でした。 人間とはある時、突然変わるものなのでしょう。 それがのび太にとっては「ドラえもんの電池切れ」だったのです。 修理が可能であるならば、それが小学6年生であるのび太の 原動力となったようでした。

自宅の研究室にて...。
あれからどれくらいの月日が経ったのでしょう。 しずかちゃんが研究室に呼ばれました。 絶対に入ることを禁じていた研究室でした。 中に入ると夫であるのび太は微笑んでいました。 そして机の上にあるそれをみて、しずかちゃんは言いました。
「ドラちゃん...?」
のび太は言いました。
「しずか、こっちに来てごらん、今、ドラえもんのスイッチを入れるから」

頬をつたうひとすじの涙...。
しずかちゃんはだまって、のび太を見つめています。 この瞬間のため、まさにこのためにのび太は技術者になったのでした。 なぜだか失敗の不安はありませんでした。 こんなに落ち着いているのがヘンだと思うくらいでした。 のび太は、静かに、静かに、そして丁寧に、 何かを確認するようにスイッチを入れました。 ほんの少しの静寂の後、長い長い時が繋がりました。

『のび太くん、宿題は済んだのかい?』

ドラえもんの設計者が謎であった理由が、 明らかになった瞬間でもありました。 あの時と同じように、空には白い雲が浮かんでいました。

おしまい。


どうも、ご静聴ありがとうございました。 いろんなドラえもんの最終回が噂されましたが、 藤子F不二雄先生は最終回をちゃんと描いて見えます。 (最終回をご存じない方は、 是非こちらのページなどを訪問しましょう。) これを読んでくれている方々に、 それぞれのドラえもんへの想いがあると思います。 この話を、ネットに公開することを、 「藤子F不二雄先生に失礼である」と思われる方もいるかもしれませんが、 私はそのようには思っていません。

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