「神戸ビーフ」霜降り度緩和 9月から品薄解消へ
2002/07/23

 高級和牛の代名詞となっている「神戸ビーフ」について、生産と流通を管理する神戸肉流通推進協議会は二十二日までに、認定基準の一部を初めて変更し、霜降りの度合いを示す基準値(BMS値)を条件緩和する方針を固めた。新基準でもブランド品質を維持できると判断した。牛肉の産地偽装問題以降、安心感から人気が集中している神戸ビーフの供給量を増やし、品薄状態を少しでも解消する狙いもあるとみられる。八月に肥育農家らに説明した後、九月のせりから新基準を適用する見通し。

 市場関係者らの話では、産地偽装問題の影響で、今年二月ごろから神戸ビーフに認定される枝肉が高騰。一キロあたりで千円ほど高い状態が続いており、販売店などの中には仕入れが困難な店も出ていたという。

 神戸ビーフは、兵庫県内で生まれ、肥育された和牛のうち、同協議会の定めた格付けの「定義」を上回る枝肉だけが認定される。

 ブランド誕生後初となる今回の変更では、定義のうち、ロースの一部に入る「さし」の基準であるBMS値を緩和。十二段階に分かれ、「十二―七」を神戸ビーフと認定してきたが、「六以上」に改める。さしは数が多く、一本ずつが細かいほど値が高くなる。

 格付けにはBMS値以外の基準もあり、一段階の緩和では肉質にほとんど差はないといい、同協議会幹事は「条件を少し緩和しても、胸を張って神戸ビーフと言うことができる。消費者も受け入れてくれるはず」と話している。

 一方、三重県の「松阪牛」もブランドの定義が変わりつつある。これまでは、日本食肉格付協会が定める最高格付け、五等級の牛だけを松阪牛として認定。今後は、肥育と流通を管理する県松阪食肉公社に登録された肥育農家と牛であれば、四等級以下でも松阪牛として出荷する方針で、仕組みづくりを進めている。

 ランクの落ちる肉や県内他地域産のものが紛らわしい名称で出回っていたのを防ぐためで、同公社が解体前の牛を管理し、産地などを明確にする狙いがあるという。

 神戸ビーフ 1983年、兵庫県協賛のもとで牛肉の生産、流通、消費にかかわる関係団体が集まり神戸肉流通推進協議会を発足、ブランドが誕生した。同協議会は神戸ビーフの定義を明確にし、同ビーフの肥育農家や販売店、レストランを指定登録している。登録レストラン、販売店は全国に計約300店。肥育農家は県内に約300人。

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