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ケンブリッジ・テクノロジー・
パートナーズ株式会社
アソシエイトディレクター
平 安彦 氏
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一般に『ファン』(固定客)といえば、阪神ファンやApple、CHANELなどのように、他に代替品を求められないところで差別化を図っているケースが多い。しかし、ビジネスにとってのそれは、基本的に安定的に継続購入してくれる顧客を『ファン』と考えるべきだ。それは、裏を返せばオンリー・ワンの製品を必ずしも提供する必要はないということにもなる。したがって、毎日のようにスーパーに買い物に来てくれる顧客は、間違いなく『ファン』と考えてよいだろう。
では、どうやって『ファン』を育てるかだが、顧客には固定客とそうでない顧客がいる。そこで、固定客でない顧客を固定客化するには、『ファン予備軍』と『偶然購入した客』に分類して、前者の『ファン予備軍』を見つけることが重要になる。
その意味で、我々にとって改めなければならないことが1つだけある。それが、『分析はマーケティング部門の仕事』という誤った考え方だ。マーケティング部門は調査・分析から戦略・立案を担当し、それをセールス部門が実行する。問題は、この2つの部門の間のコミュニケーションが断たれているケースが多いということだ。
「戦略を実施した結果や、それに対してセールスの現場がどのように考えているかといったことを、まずはマーケティング部門へフィードバックする。そして、その結果を受けてマーケティング部門は新たに調査・分析を行う。この一連の作業が、変化する顧客のニーズに対応するためには欠かせません」(平氏)。
まずは、このマーケティング決定に至るプロセスを連係することが、『ファン予備軍』を探し出すための第一歩となる。
図1 企業のマーケティング決定プロセス
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