あの週の



先週までのホ・ホゥに戻る

97年7月8日付ヘッドライン
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オアシス・今週の裁判ネタ
プロディジー・今週のHO.法
ビッグ・アウス、マック健在!


オアシス・今週の裁判ネタ

 オアシス・ギャラガー兄弟が最高裁判所に出頭することになりそうとのニュースが入った。これは、先週のHo.Houでもお伝えしたように、オアシスの元ドラマー、トニー・マッキャロルがバンド側を相手取り、未支払い分とされる著作権料を請求する訴えを起こしたため。トニーの弁護士が、「全てのバンドメンバーから証言を聞きたい」と申し出ているため、リアムやらノエルやらも裁判所の証言台に立つことになりそうだ。ちなみにこの弁護士は、2年前に元ビートルズのドラマー、ピート・ベストの著作権に関する訴訟で、ピート側に勝訴をもたらした敏腕のジェンス・ヒルズ氏。バンド側は「既に支払われるべき著作権料は全て払った」として、全面的に闘う構えをみせている。トニーが要求しているのは、ファーストアルバム“Definitely Maybe”に関してと、“Whatever”“Some Might Say”に関してのみで、先週お伝えしたような、彼が制作に全くタッチしていない“(What's The Story) Morning Glory?”についての訴訟はなかった模様。
 また、オアシスのレコード会社・クリエイションは、新曲“D'You Know What I Mean?”のラジオ/テレビ解禁日を破った上、オフィシャルなルートからではなくこの曲のプロモーション・コピーを手に入れたとされるエディンバラとリヴァプール、2つのラジオ局についても、著作権侵害で訴えを起こす方針でいる。


プロディジー・今週のHO.法

 プロディジーのニューアルバム“The Fat Of The Land”の中のトラック、“Climbatize”も裁判沙汰の危機にさらされている。この曲の中で、ザ・ジェディ・ナイツの“Air Drums From Outer Bongolia”という曲が無断でサンプリングされ、使用されていたとして、ザ・ジェディ・ナイツ側がプロディジーに釈明を求めているらしい。この曲はそもそも、ザ・インクレーディブル・ボンゴ・バンドというグループからのサンプルをつぎはぎして作られている曲で、既にサンプルされていたものを又プロディジーがサンプリングしたのか、それともオリジナルの部分をサンプリングしたのか、というところが争点になりそうだ。ジェディ・ナイツ側は、「プロディジーは、自分達の唯一のオリジナル部分を使った」と主張しているとのこと。プロディジーのレコード会社・XLレコーディングスは、「そういうクレームがあったことは聞いている。しかし、今の辞典では、リアム・ハウレットがオリジナル部分を使ったのか、サンプリング部分を使ったのか、はっきりしたことは判っていないので、何とも言えない。」とコメントしている。売れるって大変。でも、著作権は、これからますますちゃんとしていかなきゃならない分野になりそうである。


プロディジーとナチスねえ

 プロディジーのアルバム“The Fat Of The Land”のアートワークが物議を醸し出している。問題になっているのは、第二次世界大戦中ドイツ空軍に所属しヒトラーの側近だったヘルマン・ゴーリングなる人物の言葉を引用した『would you rather have butter or guns?』という部分である。プロディジーのリアムはバンドとナチスの関係についてはっきりと否定し、アートワークはサンプリングのようなもので本来もっている意味とはまったく別なものであるとコメントしている。皮肉なことに、アルバムには先日ナチス騒動ですったもんだとなったクーラ・シェイカーのクリスピアン・ミルズも参加しているが、そんな騒ぎとは関係なく、アルバムは見事ナンバーワンとなり、6月末までに13万5千枚のセールスをあげた。


モリッシー、唄で仕返し

   こちらは著作権裁判が残したいや〜な後味の話。モリッシーが、彼の新しいソロアルバム“Maladjusted”で、元スミスのドラマー&ベースであるマイク・ジョイスとアンディ・ロークのことを歌ったとされる一節が問題となり、この歌詞を含むトラック“Sorrow Will Come In The End”がリリース拒否に追い込まれようとしている。マイクとアンディは昨年、モリッシーとギタリストのジョニー・マーを相手取った著作権がらみの裁判に勝訴しており、ベーシストだったマイクは100万ポンド(約2億円)、ドラマーだったアンディは8万3千ポンド(約1600万円)受け取っている。この訴えは、スミス時代にモリッシーとジョニーが印税の40パーセントずつを独占し、残りの2人がわずか10パーセントずつしか貰えていなかったことに対するもので、判決後モリッシーは、「裁判所の判決は、驚異であり遺憾である」というコメントを発表している。この判決や彼らの仕打ちに納得のいかなかったモリッシーの心情が、この曲“Sorrow Will Come In The End”に表現されており、この曲をアルバムに入れることに懸念の声が挙がっている。問題のくだりは、以下の部分。「泥棒が僕から奪い去った、それが公認されたんだ/僕は首筋に一撃を受けた/どうにかして損失がないように、ってね/裁判所なんて、真実にとっては何の役にも立たないんだ/君は主張した、君はキーキー声を上げた、そして今、君は自分が勝ったと思ってる/でも、不幸が最後には君を襲うのさ/僕の考えが純粋だ、ということが確かなように、僕は君たちに痛みがもたらされる日を讃えるだろう」。よっぽど悔しかったんだろうな。 


ウェラー、オマケに足を引っ張られる

   ポール・ウェラー御大も法のトリックにしてやられたというニュース。「何故ポール・ウェラーのニューアルバム、“Heavy Soul”が初登場第1位にならなかったか!?」。これは、初回限定盤に5枚のフリー・ポストカードが付いていたため。すなわち、この「5枚」というところが、英国のナショナル・ミュージック・チャートを作成しているCIN (Chart Information Network)の「オマケは4つまで」という規定に反していたため、CIN側で初回限定盤の売り上げ枚数を実売数としてカウントしなかったことにより、セールスがうんと低い数字になってしまった。これがカウントされていれば、間違いなく初登場第1位になっていたとのこと。レコード会社も気を付けて欲しいもんである。


Fought The Law For ハシエンダ!!

 マンチェ・シューゲイザー・サウンドやUKテクノを生みだしたとされる伝説のクラブ、マンチェスターにあるハシエンダが、またしても営業停止に追い込まれようとしている。ハシエンダは先週、負債額50万ポンド(約1億円)の清算を済ませ、ようやく再オープンにこぎつけたが、6月28日に客の一人がまたまた生死をさまよう状態に陥るという事件が起こってしまったため、マンチェスター警察側が「営業許可の撤回」を求めて訴えをおこしたもの。ハシエンダは、エクスタシーを中心とするUKドラッグ文化発祥の地とさえ言われており、かつてはノエル・ギャラガーも、ここに出入りするストーン・ローゼスのローディ兼ドラッグ・サプライヤーとして暗躍していたらしい。


ジェーンズ・アディクション、再結成!

 ジェーンズ・アディクションが、1991年の解散から、実に6年ぶりの再結成を果たすことが明らかになった。現在ロサンゼルスで2枚のニューアルバムのうち1枚のレコーディングを敢行しているとのことで、新曲から古い曲までもを取り混ぜたものになるらしい。メンバーは、ペリー・ファレル、スティーヴン・パーキンス、デイヴ・ナバロウで、彼らは今年始めにも映画“Private parts”のサントラのために、“Hard Charger”を一緒にレコーディングしている。


スペース、鍵盤に悪霊が…?

 スペースが、2度目のアメリカ・ツアーの残り9公演をキャンセルした。これは、ツアー中にキーボーディストのフラニー・グリフィスが気管支炎を起こしたためと、バンドのキーボード・テクニカル担当であり、彼らの良き友達でもあるヨーキーのお母さんが急死したため。


パール・ジャム、ギターがバットに負ける

 パール・ジャムのギタリスト、マイク・マックレディが野球をしている最中に鎖骨を折り、現在進行中だった彼らのニューアルバムのレコーディングはしばらくお預けとなった。


異色コラボレーション、オービタルの巻

 オービタルとメタリカのカーク・ハッメト、そして交響楽団がプロジェクトを組んで、異色アーティストたちのコラボレーションで話題沸騰中の映画、“Spawn”のサントラのためのレコーディングを開始した。その他のコラボレーションは、既にHo.Houでもお伝えしているように、プロディジー+トム・モレロ(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)、スニーカー・ピンプス+マリリン・マンサン、ゴールディ+ヘンリー・ロリンズ、アポロ440+モーフィン、など。


失踪人現れ、また消える

 先週お伝えしたDRオクタゴン失踪事件の続報。ロラパルーザ出演を前にして行方不明になっていたオクタゴンことクール・キースだが、彼のアメリカのパブリシストがアメリカの雑誌『Addicted To Noise』に明らかにしたところによると、先週彼のところにオクタゴンから連絡が入ったという。なんでも、現在彼はロスアンジェルスにおり、近くNYで行われるウルトラマグネティックMCとのリユニオン・ギグには帰ってくると言ったらしい。その後、電話は雑音で聞き取れなくなって切れたという。しかし、人騒がせな奴だねえ。


ええっ、またあ?

 ヴァーヴのギタリスト、ニック・マッカブがまた脱退した!?…という噂が先週かけめぐったが、バンドのスポークスマンはこの噂を否定した。95年にニックが脱退し、それがバンドを解散まで追い込んだことは有名な話であるが、スポークスマンは「業界の暇な人間がばらまいたガセ」と軽くいなし、「ニックは新アルバム制作のためにスタジオでがんばっている」と発表した。
 ヴァーヴの新シングルは“Drugs Don't Work”に決定、レディング・フェスティバル出演にあわせて、8月末にリリースされる予定。


ビッグ・アウス、マック健在!

 グラストンベリー・フェスティバルで再結成ギグを行ったエコー&ザ・バニーメンだが、そのステージ上でイアン・マッカロクがフェスティバルを批判したことが、大きな問題を起こしている。6月27日のピラミッド・ステージに登場したマックは「グリーンピースはこのフェスティバルから一銭も受け取っていない」とし、泥だらけのフェスを指して「入場料をリファンドするよう」にオーディエンスに示唆したという。
 これを聞いたフェスの主催者、マイケル・イーヴィスは激怒し、法的に訴えるという発言をしていたのが先週のことであった。
 そしてこのほど、エコバニのマネージメント側からイーヴィスに向けて正式な謝罪がだされたが、イーヴィスは当の本人のイアン・マッカロクから何の返事もこないと未だ憤慨しているようである。


ニッキー・ワイアーご推薦本

 ウェールズが生んだビート詩人、パトリック・ジョーンズ氏の詩集“Mute Communion”がそれであるが、実はこのジョーンズ氏はニッキーの実兄。マニックスにも多大なる影響を与えたとされる彼の詩集はマニック・ファンの絶大なる支持を得ており、ギグでも販売されている。マニック・ファンのあなたなら必読!値段は2ポンドで、Rev Press, 10 Coronation Road, Blackwood, Gwent NP2 1EA, UKまで。


ブラー、オージーで大暴れ

 現在アメリカー・ツアー中のブラーがオーストラリアで起こした事件をひとつ。先週シドニーのハーバー・ブリッジでアメリカでの新曲“MOR”のためのビデオ撮りを行った彼ら、ブラーのマスクをかぶったスタントマンのチームの様子を撮影していたところで、カメラマンのひとりが誤って転落、膝に6週間の負傷を負った。まあ、ブラーとは何の関係もない事件なんだけどね。そのブラーの“Song 2”がオーストラリアのチャートで2位になった。これはバンドにとって初の快挙。


ダンドー、とんだ災難

 レモンヘッズがアメリカでリリースされたコンピレーション・アルバム“Vinryard Sound Vol 3”の撤収騒ぎに巻き込まれている。なんでも編集人が勝手にインスト曲“Deep Bottom Cave”をアルバムに加えてしまったということであるが、話は少しややこしい。アルバムにはカーリー・サイモンの弟で、写真家でレコード・プロデユーサーでもあるピーター・サイモンも参加しているが、この曲にもハーモニカとパーカッションで参加しているにも関わらず、彼の許可なくリリースされてしまったということだそう。この曲はもともとシングル“It's About Time”のボーナストラックとして収録されたものだが、図らずもコクレクターズ・アイテムを作ってしまったということである。しかしレモンヘッズって年中裁判やってませんか?


ブレア首相の娘も大ファンです

 4週間前に始まったスパイス・ガールズの映画の撮影が順調に進んでいるが、映画のなかのシーンのスチール写真が公開された。そのなかにはガールズがそれぞれのキャラクターを入れ替わったていたり(例えばゲリがスポーツ・スパイスに、ヴィクトリアがベイビー・スパイスにといった具合)ハリウッドの女優たちのコスプレをしているといったシーンも含まれている。
 さて、彼女たちの待望のセカンドアルバムは11月3日に発売されることが決定したが、クリスマス前までにアルバムから2枚のシングルがリリースされる。映画の合間をぬってレコーディングは行われているとかで、相変わらず超多忙、超人気のスパイス・ガールズなのでした。


共通点は…ゴス?

 新シングル“Greatest Show On Earth”が7月14日にリリースされるストレンジラヴの小咄をひとつ。ストレンジラヴのファンは熱狂的で変な奴が多いので有名だが、とあるファンのひとりがストレンジラヴの曲でオリジナル編集テープをつくり、それをなんとマリリン・マンソンのメンバーに送りつけたという。
 そのストレンジラヴは7月17日のフェニックス・フェスティバルに登場する。


今週の新譜情報+α

・ジーンがニューシングル“Speak To Me Someone”を7月21日にリリースする。これが、彼らのニューアルバム“Drawn To The Deep End”からのセカンドシングルで、先日行われたロンドン・ロイヤル・アルバート・ホールでのライブ録音がカップリングされている。

・今は亡きオトゥールズとのコラボレーションでも話題になったμ-Ziqことマイク・パラディナスが、4枚目のアルバム“Lunatic Harness”をハット・レーベルよりリリース。また、彼はフェニックス・フェスティバルにも出演する。

・ジェネバが新シングル“Best Regrets”をリリース。この曲は 大絶賛デビューアルバム“Further”からのシングルカットで、8月4日発売。2CDファーマットと7インチで発売のシングルはタイトル曲の他はアルバム未収録曲とデモヴァージョンを収録。ジェネバはTイン・ザ・パークとV97に出演する。

・日本ではイマイチ盛り上がらないがイギリスでは大人気のレヴェラーズの新シングル“What a Beautiful Day”で久しぶりにシーンに再登場、その待望の新アルバム“Mouth By Mouth”が8月25日にリリースされる。なんでもアルバムのサウンドはホルンやピアノ、ストリングスなど生の楽器を使ったもので、最高の出来となっているということで、今からとても楽しみである。9月にはUKツアーもスタート。

・U2の新シングル“Last Night On Earth”が7月21日に発売される。このシングルにはビートルズのカヴァー“Happiness Is A Warm Gun”とM(う、懐かしい)のヒット曲“Pop Muzik”のカヴァーも収録される。
 さてハイテク・バンドU2にしては少し遅れているが、今更ながらにオフィシャル・ウェブサイトが登場。http://www.U2popmart.msn.com。興味のある方はどうぞ。


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