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夏フェスレポート　第一弾「THE ROCK ODYSSEY 2004」in YOKOHAMA（ワイズ・スポーツ）

夏といえば大型ロックフェスティバル！
トップバッターは日米英大型アーティストがズラリの2 DAYS

■■「THE ROCK ODYSSEY 2004」とは■■

　7/24（土）と25（日）、それぞれ10時間ずつでおこなわれた大型ロックフェス「The Rock Odyssey 2004」。今年からスタートした新しい大型フェスティバルだ。開催地は2002FIFAワールドカップの決勝戦会場にもなった横浜国際総合競技場と、大阪ドーム。どちらも観客収容キャパ5万人以上というビッグ会場に、日米英の豪華15アーティストが勢ぞろい。出演者は横浜、大阪とも同じで、日程を入れかえての公演となった。

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■■ライブハイライト■■

＜1日目：7月24日（土）＞

天候：雲がすこし浮かぶだけの晴天。横浜の最高気温は33度と暑い。直射日光が猛烈にふりそそぐなか、吹きぬける適度な風が救い。

● LOVE PSYCHEDELICOからスタート！

　11時、LOVE PSYCHEDELICOがスタート。ヴォーカルKUMIのマイルドな歌唱と有機的にからみあった、ルーズな感覚のロックンロールが鳴り響く。40分にステージが終わり、55分にジョシュ・トッドが登場。ひき締まった肉体のジョシュは躍動感あるパフォーマンスをみせ、鋭いシャウトを連発。ラウドな轟（ごう）音が会場を揺らしていた。観客も好反応だ。客入りはまだ4割ほど。今日はアリーナにイスがならんでいるが、思ったほど違和感はない。そして驚いたのがセットチェンジの速さ！次のミシェル・ブランチまで、大ステージにもかかわらず入れ替えが15分で完了している。

● 暑いゼ！中盤～ミシェル・ブランチ、ポール・ウェラー、稲葉浩志～

　12時50分、ミシェル・ブランチ登場。アコースティックなやわらかい旋律に、ミシェルの妖艶なヴォーカルがとけあう。かと思えば、その声はパワフルに高らかに響きわたる。清涼感にあふれながら、同時に熱気も伝わる50分間だった。座席を埋める観客が7割ほどになった14時、ポール・ウェラー。いぶし銀の音楽にサービス精神旺盛なステージだ。エネルギッシュな歌、指をたたきつけるようにして弾くピアノ、アームをくいくいとやるギター・プレイ、タンバリンをたたく姿、たばこに火をつけるしぐさと、ポール・ウェラーのパフォーマンスはいちいち絵になる。60分のステージが終わると拍手大喝さい。15時20分、ほぼ埋まった会場にわきおこる女性ファンの大歓声。稲葉浩志の登場だ。立ちあがった観客のおおかたは20歳代にみえる。ヒステリックなシャウトと情感にあふれた熱唱を駆使し、縦横無尽に音程を操りながら、ステージを右へ左へと動きまわる稲葉。ミドルテンポの聞かせる曲が多く、演奏は力強い。「この暑さ、サイコー！」というMCにファンが沸く。稲葉による情熱的なハーモニカ・プレイも印象的な70分間のステージだった。

●夕刻：待望の初来日　ザ・フー登場！

　会場半分が日陰に入ってすごしやすくなった17時、客席からの激しい手拍子がまだ見ぬ大物の登場をあおる。ゆっくりと現れたメンバー、割れんばかりの歓声。ザ・フーのステージだ。結成40年目のロックの巨星にして初来日というだけに、ヴォーカルのロジャーはもはや60才、ギターのピートは59才だ。サングラスもあわせ全身黒ずくめのピートが、大きなモーションでギターをかきむしる。ヴォーカルの声には張りがあり、演奏の息は合っている。メンバーはリラックスしているようだが、サウンドはさざ波が大波になるように成長していき、スタジアムをダイナミックに揺らしていく。音量だけじゃないロック本来のデカさを体感させられた思いだ。マイクをぐるぐる振りまわすパフォーマンスや、ラストのギターたたき壊しも堪能。ロックにトシなど関係ないことを教えられた夢の90分間だった。

●エンディング：エアロスミスで至福のロックショウ！

　照明が映える19時過ぎ、複数のサーチライトがいきなり客席を照らしだし、エアロスミスの5人の登場を告げる。はじめのアップテンポな3曲は、まるでDJプレイのようにつながっていてかっこいい。マイクスタンドを抱きこんで歌うスティーヴン・タイラーの腕には、でかでかと「猛暑」の漢字が！シックでグラマラスな容姿のジョー・ペリー。彼のギター・プレイはしぶくて華がある。ファンキーだったりロマンチックだったり大らかだったりの、腰にくるロックンロールが目白押すなか、珠玉のバラード・ナンバー「ドリーム・オン」が横浜の夏夜を叙情的に染めあげる。31年前のデビュー・アルバムに収録されたこの名曲が、ノルタルジーにはならないみずみずしさと狂おしさでスタジアムに響いている。それはそのまま、バンドの感性がいまだ衰えていないことを物語っているようだ。メンバーはおたがいに位置をいれかえながら、地に足のついたバンド・サウンドでライヴを転がしていく。そしてクールで小気味よいロックンロールの代名詞的ナンバー「トレイン・ケプト・ア・ローリン」でフィニッシュ。あとはメンバー紹介とファンへの礼で、セットは終了した。心地よく身をゆだねられた100分間のエンタテインメント・ロックショウだった。

＜2日目：7月25日（日）＞

天候：よく晴れて暑く、最高気温も前日同様のほぼ33度。

●スタートから若さ爆発！～HY，トラプト、ブラック・アイド・ピーズ～

トップバッターがHYということで、すでに来場しているファンは10代後半が目立つ。そして今日はアリーナがスタンディングだ。ステージ上のHＹからは、カラフルでキャッチーな通気性のいいロックが鳴っている。明るくほがらかな歌声と、女性メンバーの伸びやかなヴォーカルが心地よい。ファンは楽しさを全身であらわしバンドに応えていた。続くはUSヘヴィ・ロックのトラプト。厚いギターとラウドなリズムの轟（ごう）音が跳ねて、叙情的で情熱的なヴォーカルが乗る。彼らのハイテンションなステージは40分間。13時10分からはヒップホップユニットのブラック・アイド・ピーズ。ヒートアップとクールダウンを繰りかえしながらぐいぐい押すグルーヴが気持ちいい。女性R&B;ヴォーカルのパワーにも圧倒される。

●中盤も大物ぞろい～L’Arc～en～Ciel、レニー・クラヴィッツ～

　日差しがきびしい14時半ごろ、ビーチ・ボーイズの「サーフィンU.S.A.」が流れるなかL’Arc～en～Cielが登場。10代後半からの若いファンが一斉に沸きたつ。タイトなリズムにノイジーなギターで、バンドは最初から飛ばしていく。ヴォーカルのhydeは長い髪をふり乱して熱唱。曲中でスクリーンモニター上から花火があがったり、ステージ前方から銀のリボンが大量に飛んだりといったイベントも含んだおよそ1時間のステージ。16時からはレニー・クラヴィッツ。ファンキーな肉体的ビートに会場はヒートアップ。レニーのドラミングも披露され、トランペットも鳴り乱れる。ヒット曲「アー・ユー・ゴナ・ゴー・マイ・ウェイ」で爆発的にもりあがった後の曲では、レニーがステージから降りてグラウンドを周遊。ファンが大喜びで身を乗りだしていた、印象的なラストだった。

● 圧巻のエンディングへ　～レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、矢沢永吉～

　ようやく涼しくなってきた17時45分、レッチリ登場。スロウでグルーヴィな曲でセットはスタート。彼ら目当てに来場したファンも多かったようで、歓声もひときわ大きい。ヴォーカルのアンソニーは白いスーツに肩まで伸びた髪のいでたちで、ハードにメロウに歌いこなす。手数の多いドラムスとテクニカルなベースは強靭（じん）なリズムをうみだし、ユニークで独特なギターがレッチリ印を押す。ヒットナンバーではファンも一斉に歌う。ハードなファンク・ロックとかわいた哀愁曲をおりまぜた100分のステージ。
　ジョン・カビラによる「日本ロック界のドン」というアナウンスが響いた20時からは、いよいよ大トリの矢沢永吉。なんとも圧巻のオープニングだった。紫でライトアップされたステージ、スクリーンモニターには走るバイクの映像、そしてエンジン音が。すると！なんとステージ右端からハーレーが続々と登場してくる。その数ざっと20台近い。ハーレーがステージ上に勢ぞろいして照明が赤く染まったところで、まっ白いスーツに身を包んだ矢沢が登場した。当然すごい歓声だ。キリッとしたダンサブルな曲は華麗で、叙情的な曲には艶がある。矢沢のテンションは高い。白いマイクスタンドをシャープに振りあげ、表情をゆがめて熱唱し、ファンを受けとめるように両手をひろげる。熱くて包容力のあるMCはまさに矢沢節。「止まらないHA?HA」では観客のタオルが会場中に舞いあがる。プロフェッショナルでロック魂がぞんぶんに伝わってくる貫録のステージだった。そして最後はスタジアム上空に打ちあがった花火が、2日間のフェスの成功を締めくくった。

（取材・文／小原敬儀）

[ワイズ・スポーツ 2004年8月2日]

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