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■浅野:高校生の頃にボブ・マーリィの『Time Will Tell』というドキュメンタリー映画を観て、それがずっと好きだったんです。そのビデオの中にボブ・マーリィの葬儀のシーンがあって、鳥が飛んでるイメージが入ってくるんです。それで「鳥がずっと飛んでる映像を見たいなあ」と思って絵コンテを書いてたんです。で、3年くらい前に『トーリ』の総合プロデューサーの今井さんにその話をしたところ、しばらくして今井さんがイマジカエンタテインメントとDDDレーベルを立ち上げたときに「撮ろうよ!」と言ってくれたんですよ。 ──『トーリ』は多くのアーティストたちとのコラボレーションから「何かが生まれる瞬間」を切り取っている作品ですよね。 ■浅野:映像ももちろん素晴らしいし面白かったんですけど、それよりもみんなと生で過ごせたことがショッキングで素晴らしかった。今回の映画を撮るときにひとつはっきりしてたことがあって、「何かをやってる瞬間を撮る」というのがすごく大事だったんです。アングルもライティングもどうでもよくて、人間さえ切り取れればいいっていうのがあった。『心の刀』(第2話)も脚本はあるけど、基本的には俳優さんたちに何も指示しないようにしてたんです。自分の動きで自分の言葉で考えてくれる瞬間、それだけが撮りたかったんですよ。反応する瞬間っていうか、僕の考えた設定の中で、それぞれがどういう風に考えて動いて存在するのかっていう。 ──浅野さんの「これを観たい」っていう、ある種わがままな視点がすごく伝わってきますね(笑)。 ■浅野:タチの悪い監督ですよね(笑)。昔、相米慎二監督*1と仕事をしたとき、監督がスタッフに対して「そんなの知らないよ。お前たちで決めろよ」ってスタンスだったんです。でも、僕にとってはすごいやりやすかった。だからそういう人は他にもいるんだろうって思ったんです。それとなるだけメチャクチャに壊して欲しいっていうのがありましたね。なるだけ事件であって欲しかった。自分にとっても作り手にとっても見る側にとってもそうであって欲しかったんですよ。結果的に観たいもの以上のものができたし面白かったですね。 ──『トーリ』を経て、監督としても俳優としてもいろいろな欲求が出てきたんじゃないですか? ■浅野:そうですね。僕の中にも挑戦してみたいことが色々出てきましたね。撮影中に俳優としての自分も現場でこういう風にやってるのかな、見られているのかなって瞬間がいっぱいあったんです。だから監督と同じくらいの気持ちで全力で作品にぶつかっていきたいし、自分が監督やるにしても今度はストーリー仕立てのものとか撮ってみたいですね。 ──浅野さんはバンドをやられたり絵を描いたり多彩な活動をされてますよね。その制作の中でMacをよく使用されていると伺ったんですが、今使っているハードやソフトを教えていただけますか。 ■浅野:PowerBook G4の12インチモデルです。G3のあの黒くて丸いヤツにも愛着があるんですけどね。ソフトはAdobe Illustrator、Photoshop、Streamline。あとはProToolsとFinal Cut Proとかですね。使うのはやっぱりIllustratorが多いです。生とは違う絵になるので手描きとそれぞれを別にして楽しむって言う感じですね。それにしてもMacの存在はデカかったですね! 図形とか簡単に作れるじゃないですか!(笑)。それはもう長年の夢だったんですよ。正円が面倒くさいことしなくてもポンポン描けるってのはショッキングでしたね(笑)。使い心地はクセさえ分かれば楽ですね。なんかじゃじゃ馬を乗りこなすっていう感じで。「お前がフリーズする前に保存しておいてやる」みたいな感じで昔はやってました(笑)。いまはMac OS Xになったからそんなこともなくなったけど。 ──浅野さんにとってMacは、クリエイティブなことをするには最適なマシン、ということでしょうか? ■浅野:そうですね。人と何かを作るときはその人に託しちゃうのが一番面白いんですけど、Macで絵を描くときは延々と作り続けることができるし、自分の世界に入れる。その両方に価値があると思うんです。でも、一度は全部を自分の世界の中でやってみたいんですよね。絵は割とそう感じなんですけどね。 ──では浅野さんにとってのMacの魅力ってどのようなところにあるんでしょうか? ■浅野:人っぽいからいいのかな。あと、本当にやろうとしたときにすぐに手が出せる。しかもそれが結構なクオリティでできるっていうのがいい。iMovieも面白いですよね。この前もイラストを1コマずつビデオに撮ったものを取り込んで、逆回転させたりしたアニメーションを作りました。あと友達がやってるミニコミ誌用に、Illustratorでマンガを描いたりしてます。ハマるとホントに一日中やっちゃうんですよね。
取材協力:CAMEL PLEASURE FACTORY |
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