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小栗康平監督インタビュー
『泥の河』『死の棘』『眠る男』など注目の問題作を発表している映画監督 小栗康平さんにベストライフ・オンラインの奥山融社長がインタビューしました。
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経済も作品内容も時代の中で成立しているのであって、そこに同じ風が吹かないといいものが生まれない |
奥山:何年ぶりですかね?3、4年になりますか?
小栗:もっとではないですか。
奥山:間違いないのは、カンヌで『死の棘』のお祝をした時以来ですね。
小栗:90年ではなかったでしょうか。
奥山:黒澤さんの映画で『八月のラプソディ』の前年だったように覚えています。
いずれにしろ、『死の棘』でグランプリをとられてよかったですね。
小栗:ありがとうございます。
奥山:作られる映画が少なすぎるといっているんですが、今までで4本ですね。
最後が『眠る男』ですね。あれから何年ですか?
小栗:1996年ですから6年になります。
奥山:焦りませんか?
小栗:どだいのんびり屋なもので…。
奥山:それ程少なく撮りながらも、あなたの評価が定まっているのはどの辺にあるんでしょうか。せっかく力があるんですから、どんどん撮って欲しいのですが。
小栗:なかなか成立しないんです。
奥山:成立しないとおっしゃるが、あなたの内部的なものなのか、外部的なものなのですか?
小栗:両方なんじゃないでしょうか。
奥山:相関関係があるんですか?
小栗:ええ、当然そうでしょうね。
奥山:そうなんですか。どうしてもこういうものを撮りたいという発想があって、それでまとまってくるんだと思っていましたが。
小栗:映画というのは才能があって、それが資金と結びついたらいつでも成立するとは思えないんです。もちろん才能は必要です。中身も大事です。しかし、中身と時代の関係というのは、金銭との関係でもあると思うんです。作り手が才能だけに携わり、製作者が資金だけに携わるとは思えないんです。
経済も作品内容も時代の中で成立しているのであって、そこに同じ風が吹かないといいものが生まれないという気がします。
奥山:それでは仮に監督に才能があるとして、それを引き出し、世の中に出すというのはプロデューサーの仕事ですよ。優秀なプロデューサーがいないということですか?
小栗:いるかといえば、いませんね。
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