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2.凶器と化した薬

1. 「副作用」より怖い「本来の作用」

現代医学理論の誤りについて、おわかりいただけたでしょうか。またそれは、一世紀以上も前の時代錯誤的な代物であるにもかかわらず、科学という名のもと、矛盾や行き詰まりを平然と黙殺、隠蔽し、欠陥医療を押し通しているのが実情です。

しかしながら、それが原因で引き起こされるさまざまな弊害は、もはや限界を超えています。なかでも薬害の問題はその最たるものでしょう。誤った医学教育を受けている医者は、薬の処方学を勉強していないことをご存知でしょうか。
じつは、薬については、ほとんどの医者は医薬品メーカーにまかせっきりで、自分自身、必要な知識を持ち合わせていません。医薬品メーカーから通達される「適応対象」をたよりに、医者はなんとなく薬を使い分けているだけです。そんな医者が手探りで処方する薬は、おいそれと信頼して飲んではいけないのです。また医者の知識とは関係なく、薬の成分や組成じたいに問題があり、安全な薬など一つとして存在しないことを知るべきです。そういう危険な薬について、つぎに詳細に見ていきます。
現在使用されている薬の約80%(あるいはそれ以上)は、およそ50年くらい前から開発されたものです(海外ではもっと以前から製造・販売されたものがある)。すべて化学合成によって製造されており、その成分は人体にとって明らかに異物や毒です。ただ毒害がストレートに出ないよう、うんと希釈するか中和剤を混ぜて、『対症効果』をあげるように調整されています。
対症効果ですから、痛みや不快症状を一時的に抑制する作用を持っているだけで、病気を治す効果などみじんもありません。つまり薬は、一般に期待されているような目的を果たすものではないのです。それにもかかわらず薬を信頼し、常用する人が多いのは、次のような事情があるからです。      
食で治らぬ病は医者でも治らぬ」という古来からの言い伝えどおり、かつて人々は食べ物で病気を治していました。ところが近世になってから、病気は病原体によって引き起こされ、食べ物では病原体は撲滅できないという西洋医学の思想が主流となるにおよんで、薬の開発が始められるようになったのです。科学的研究に基づいて作られるという安心感と、症状の緩和や除去に即効性があったことから、薬は急速に普及しました。さらには、合理性と利便性を求める生活スタイルの変化にともない、人々が、食べ物で病気を治すなんて時代遅れで、非科学的で頼りないと思うようになったため、薬にたいする信頼と依存度はますます高まっていったのです。
しかし実際問題として、私たちは薬の恩恵に浴しているでしょうか。食べ物で病気を治していた頃の人々より健康になったのでしょうか。薬の生産量の増加に比例して病気の種類も多様化し、以前には見られなかった難病が数多く発生していることは、FDA(米国食品医薬品局)の調査機関や、その他多くの研究グループによる統計がはっきり示しています。
また、分子矯正医学の世界的権威であり、ノーベル化学賞・平和賞を受賞したアメリカの故ライナス・ポーリング博士も、「現代病の多くは薬によって作られている。この事実に早く気づくべきだ」と警告しているのです。分子矯正医学とは、栄養素の種類や分量を調節することによって、分子レベルで細胞の正常な代謝を促すもので、現代医学とは一線を画しています。
化学物質は複雑な化学構造からなっているため、体内に長期に残留して排泄されにくく、服用するとまず一番に肝臓、腎臓、脳を直撃してさまざまな障害を引き起こします。症状としての現れ方、つまりその場所、時期、度合いなどはその人の体力、体質、年齢、免疫や自然治癒力のレベル、栄養状態などの違いによって千差万別です。これが一般に『副作用』といわれるものですが、ことはそう単純ではありません。
じつは、薬には人工の化学物質特有の『本来の作用』というものがあり、それが副作用よりもっと深刻なダメージを人体に与えることを、現代医学は無視しています。というより、その事実にほおかぶりしている、といったほうが正しいかもしれません。

2.天然の化学物質との違い

分子生物学において、1970年代にアセチルコリン、ノルアドレナリンなどの神経伝達化学物質が発見されて以来、それらが時速360キロのスピードで細胞間を疾走し(全身へ50分の1秒で到達)、レセプター(細胞壁の膜)を窓口にして、恒常性を保つためのさまざまな目的をもったメッセージを発信、受信していることがわかりました。

なんと細胞どうしがコミュニケーションをとりあい、体内の異常をすみやかに察知したり、修復したりしているのです。しかもそれは関連する細胞の調和とバランスを見計らいながら、絶妙のタイミングで行われます。あたかも、それぞれの細胞が意志をもって行動しているとしか思われないような現象が、現実に起こっているのです(怪我をしたとき、自然治癒によって治るのがこれです)。
まさに神業ともいうべき人体の驚異の一つですが、分割思考の現代医学はこういった全体的、統合的な生体機能のメカニズムに、ほんの最近まで気づかなかったのです(自律神経が白血球の働きを支配していることが、約8年前に、新潟大学大学院・医科歯科総合研究科の安保徹教授によって解明されたばかり)。それにもかかわらず、現代医学は、ただ体内の化学物質の成分だけを分析し、その結果得られたデータをもとに、それら天然の化学物質を模倣して作るという愚行を犯し始めたのです。
ところがその愚行の産物には、とんでもない作用があったのです。人体にとって異物である薬は、免疫システムによって抗原とみなされ、当然、免疫反応の攻撃をうけます。それでも薬は意図された目的を果たすために、その周辺すべての細胞のレセプターを先回りして一方的に占拠し(神経伝達をブロックし、鎮痛効果をもたらす)、免疫系や神経系を強引に混乱させ、抑制してしまうのです。
つまり体と親和して話し合うのではなく、逆に体を襲撃する、といえばおわかりでしょうか。化学的組成は似ていても、この点が体内の天然の化学物質と決定的に異なるわけです。その結果はいうまでもなく、体内のいたるところで異常が発生し、思いがけない病気が誘発される危険性を秘めることになるのです。これが薬の本来の作用であり、それはどんな薬にもあります。
免疫系や神経系は、自然の英知が与えたすばらしい生体防衛機構です。科学が今後どんなに進歩しても、このシステムをコントロールする天然の化学物質と同じものを発明したり、製造することは絶対に不可能です。
私たちは最高の薬局をすでに体内にもっているのです。それをわざわざ妨害する乱暴で不器用な人工薬剤は、文字通り「百害あって一利なし」であり、そんなものを使用するなど、どう考えても理にあうはずがないのです。薬物治療はまさに『化学的ロボトミー』であり、人間の尊厳を明らかに奪うものです。

3. 製造・販売・使用を直ちにやめよ

副作用の話に戻って、肝臓や腎臓は毒物の代謝機能を担っているため、薬を飲むとそれらの細胞の免疫システムが発動され、抗体反応として吐き気、めまい、倦怠感、催眠、発疹、発熱などの症状が現れるのです。このとき、すでに病気にかかっていたり、体力やほかの臓器(脳、心臓など)の生理機能が弱っている場合は、そのままショック死に至ることも珍しくありません。

これが比較的早期に現れる副作用で、それとはべつに、じわじわと長い時間をかけて体を冒していく副作用もあります。この場合、自覚症状がほとんどないため、副作用が進行している事態になかなか気がつきません。そして無意識に薬を飲み続けているうち、ある日突然異常が起きてしまい、すでに手遅れだったというケースもよくあるのです。これは副作用というより、先に述べた本来の作用である可能性があります。ただ、それらが引き起こす症状は区別できるものではありません。
これは決して他人事ではありません。たいていの人が何の疑いもなく飲んでいる、 ごく普通の風邪薬でさえ、重大な副作用が出ることがあります。もちろん 死亡例もかなりあるのですが、あまりピンとこないのは、医者や製薬メーカーが報告義務を怠っていたり、死亡の原因を「病死」と偽って報告したり、患者側もまさか副作用とは気づかずに、泣き寝入りしているなどの理由によるものです。薬はまさに『静かな凶器』であり、本当に恐ろしいものなのです。
不幸なことに日本では、薬を多く処方する医者ほど、「いい医者、親切な医者」だと錯覚する悲しい現実があるといわれています。これはまさに自分の命を犠牲にして医療機関の経営を助け、ひいては製薬メーカー、医学界、厚生労働省などの体制を助長するという悪循環に一役買っているも同然です。
意外なことに、西洋医学の本場といわれるアメリカには、日本の医者なら猛反発しそうな、『ドクターズ・ルール』という権威ある医師用テキストがあります。次はその主要な項目です。
  1. できればすべての薬の使用をやめよ、困難ならできるだけ多くをやめよ
  2. 薬の数が増えれば副作用はネズミ算式に増える
  3. 4種類以上の薬を飲んでいる患者は、医学知識の及ばない危険な状態にいる
  4. 高齢者のほとんどは薬を中止すると体調がよくなる

ところが日本では体制擁護優先のもと、国が対策を怠っているため(薬事法規制が緩慢、医学教育を徹底しないなど)、依然としておびただしい量の薬が患者に与えられています。

ちなみに日本の薬剤費は世界一(年間医療費全体の三分の一にあたる7兆円)に膨張し、国民一人当たりで換算するとイギリスの3.2倍、アメリカの1.6倍、ドイツの1.5倍となっています。また国際的に効能が認可されている薬は500種であるのに対し、日本ではなんとその30倍の15,000種が認可されているのです。
このままでは、薬害が今後も増え続けることは必至です。今こそ行政や医薬品メーカー、医者を含めた医療関係者のすべてが薬害の実態を率直に認め、無益で危険きわまりない薬品の製造・販売・使用をキッパリやめるべきです。しかし、それには需要と供給、経済界の動揺や混乱、経営の存続などの問題があり、一朝一夕に実行することは無理かもしれません。
私たち一人ひとりが薬に対する認識を高め、安易に薬に頼らないことが問題解決の近道のように思われます。これについては後述します。

4. 免疫・自然治癒力の正体とはたらき

私たちは、人体には免疫や自然治癒力が備わっていることを、けっして忘れてはなりません。これらが正常に働いていれば、まず病気にはかかりませんし、薬など一切不要です。病気の原因がわからない現代医学は、病気と症状とを混同しています。そして薬で症状が消えると、それで病気が治った、あるいは治せると錯覚するのです。

しかし、症状は免疫や自然治癒力が働いている証拠でもあります。つまり、症状は生体機能を正常に戻そうとしている一時的な現象だと捉えるべきで、それを病気そのものと誤って解釈するから、薬という概念が必要になってくるのです。
他方、バクテリアやウイルスなどの病原体が病気を引き起こす(これも間違った理論→第四章で解説)という考え方から、まだ仕組みがよくわかっていない免疫に頼るより、手っ取り早く病原体を退治しようとして、次から次へ新しい薬品の開発に奔走するという事情があります。
新しい薬品ができるたびに薬剤耐性菌が増殖し、薬品の効果を上回る結果を招くことになります。こうして結局は病原体とのいたちごっこになって、どこまでいってもきりがありません。それを繰り返しているうち薬品の純度が強化され、正常な細胞に与えるダメージがますます大きくなっていくのです。
医薬品メーカーは、「副作用をなるべく軽減する研究や努力もしている」などといっていますが、そんな矛盾したことができるはずがありません。純度が高い、つまり効き目が強い薬は、副作用も強くなることは避けられないのです。その明白な事実を何とか隠すために、難解な理論をでっち上げたり、いい繕ったりしているだけで、そんなものに惑わされてはなりません。とにかく現代医学は問題をかえって複雑にし、取り返しのつかない迷路に入り込んでいます。
このような結末に至ってしまうのも、もとをただせば人体の基本構造を理解していないからです。ようするに造血の仕組みがわからない、すると病気の原因が体内にあることに気づかない、けっきょくは原因を外界に求めざるをえない、ということになっているのです。
先にも述べたように食物=血液=細胞、これが体の生理構造の基本中の基本です。それを医者が知らない、これはじつに由々しき問題です。紛れもない事実ですから、ぜひご自分でお確かめください。
血液と細胞を別物と考える現代医学は、同じく分割思考パターンによって、赤血球と白血球を別のものと考えています。じつはこの二つは同じものです。誤解のないように正確にいいますと、赤血球から白血球が誕生、生成されるのです。この事実は動かぬ証拠として、森下博士によってカラーフィルムに撮影され記録されています。白血球は「流動」、「分割」、「発芽」といわれる三つの方式で赤血球から新生され、それがさらに顆粒白血球とリンパ球に変化していきます。リンパ球とは赤血球の細胞質から核が独立したもので、それを新たな細胞膜が包んだ姿が顆粒白血球です。
これを知らない現代医学は、白血球は骨髄で、リンパ球はリンパ腺で作られるなどと、苦し紛れに事実に反することを平気で主張しています。そのために、つまり白血球生成の連続相を分割して見ているから、白血病の正体がわからなかったり、がんの発生のカラクリもわからないわけです。じつは、白血病は白血球が、がんはリンパ球がそれぞれ病変した細胞によって引き起こされるのです。
免疫とは、白血球の成分(つまり顆粒白血球とリンパ球)である好中球、マクロファージ、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞などがそれぞれ警備、捕獲、戦力増強、抗体ミサイルなどの役目を果たし、それらを統合して異物や細菌や病原体を攻撃し、殲滅するというものです。この免疫システムが正常に働くことによって、がん、白血病に限らず、その他の慢性病にもかからないよう体が防衛されるのです。そして先ほどのように血液生成を一元的に見ることで、免疫の健全性や強弱も、つまるところ赤血球の質的レベルによって決まるということがわかるのです。そして赤血球の材料になるのが食物ですから、食物の内容がいかに大切かということが再認識されるわけです。一方、自然治癒力は細胞の活性によってその機能が発揮されます。
ようするに免疫も自然治癒力も、その働きの大元は血液と細胞だということ、そして、もとは同じ血液でありながら、活動のステージによって、さまざまな成分がそれぞれ異なる役割を果たしている、ということが理解のポイントになります。こうして体の生理機能は、一つの物質が別の物質に分化(変化、発展するという意味の専門用語)したり、またもとの物質に逆戻りしたり、分化の途中で中途半端な状態のままでいたり、絶えず変化と流動を繰り返しながら循環しているわけです。
現代医学の考え方の特色である白か黒か、右か左か、正か反か、生か死かというような機械論(つまりは科学)の排中律的なものの考え方では、こうした流動的な生命現象を把握することはできないのです。最近になってようやく、安保教授らによって免疫については現代医学も仕組みをつかみかけていますが(せいぜいその程度なのです)、自然治癒力については、その実態は何もわかっていないのです。以下、それについてご参照ください。
細胞はその一つ一つが呼吸をしています。細胞が呼吸をすることによって、有機物を単純な化学構造の物質、つまり水や炭酸ガスに替えていく、その過程でエネルギーが生み出される、という仕組みです。細胞が健全な呼吸ができないと発酵現象を起こし、これががん細胞などの腫瘍や炎症に発展していくのです。そしてこの細胞の代謝に不可欠なのが酵素です。現代医学は、酵素は何万種類もあってすべてを解明できないとしていますが、正味の働きという点ではたったの一種類であることがわかっています。
ピレマーという化学者は、血液中にプロバージンという酵素を発見し、これがあらゆる物質にたいして代謝作用を促進することをすでに突き止めています。そしてこれを『非特異的生体防衛酵素系』と命名したのです。
じつは、これこそが自然治癒力の正体だったわけですが、この呼吸酵素というのは大変デリケートなもので、化学物質に触れると必ず阻害されます。薬、つまり化学薬剤のすべてのほか、ダイオキシンなどの環境ホルモン、農薬、食品添加物などは呼吸酵素を確実に破壊します。これらのことは現在、すでに生化学の分野では常識になっているにもかかわらず、現代医学はその事実にそっぽを向き、それを認めようとしないのです。
また酵素には、その働きを活発にするマグネシウムイオンの助けが必要とされています。マグネシウムは植物や野菜に広く含まれるミネラルで、とくに野性味の強い薬草、つまりハーブに豊富に含まれています。西洋医学には薬草の知識などまるでありませんが、それとは対照的に、東洋医学は何千年も前から薬草の健康効果に着目し、悠久の歴史と体験(臨床実験に相当する)から得られた知識をもとに、整然とした漢方体系をほぼ完成させています。残念ながら、科学がこの分野に介入しなかったため、漢方に対する関心や知識が普及しなかったのです。
アンドレボーザンという農学者は、「人間の体は土と一体である」(身土不二)と述べています。アンドレボーザンは土壌の質を研究するうち、農薬、特にカリ肥料を使用すると、農作物からマグネシウムが抜け落ちることに注目しました。そして土中のミネラルバランスが狂うと、野菜や植物のミネラルバランスも狂うことがわかったのです。
なにがなんでも生産効率を最優先するバイオや農薬によって、ビタミンやミネラルの含有量が激減していることは、農水省の実験テストによって確認されています。そしてそれら微量栄養素の欠乏が慢性病の原因になることは、分子矯正医学がすでに実証している事実です。
病気になってから薬で対症療法を行うのではなく、病気を未然に防ぐためのこうしたより本質的な問題の解決に、国や医学界は率先して取り組むべきではないでしょうか。しかし、国や医学界にはそのような動きは一向になく、依然として薬剤の普及や販売を促進し、新薬の開発にますます力を入れているのが現状です。

5. 薬害のもう一人の犯人

危険で不要な医薬品(95%以上)の製造をなぜ禁止できないのか、その理由は第三節で述べたとおりですが、じつはもっと根源的な理由があるのです。それは、国の薬務行政が禁止を決断できない立場にあるからです。もっとはっきりいえば、国が医学界や医薬品メーカーと「グル」になっているということです。グルとは言葉が悪くて申し訳ありませんが、事実ですからそういわざるをえません。

日本医師会や医薬品メーカーからの献金は莫大な政治資金になっており、政治家は医師会や医薬品メーカーのいうことに「ノー」とはいえないのです。こうして国民の命を犠牲にした権力構造が生まれ、それが因襲となって悪循環が繰り返されているわけです。そしていうまでもなく、権力構造をめぐる利権は、医薬品の売り上げから生じるものです。ということは、問題の根本を解決するには国民が医薬品を買わなければいいわけで、私は、国民が「薬の不買運動」を起こすことを提案したいのです。これは同時に薬害からの自己防衛にもなり、一石二鳥ではないでしょうか。
薬害の怖さをもっとおわかりいただくために、前章でご紹介した『医療ミス』のなかの薬害の実例と、それについての解説をここに転載させていただきます。

1. 74歳の女性が一昨年、胸椎の圧迫骨折で入院した。退院後に痛みを訴え続けたため、痛み止めのロキソニンが一日3錠処方された。8ヶ月飲み続けたところ、胃に穴があいて吐血し、血液が器官につまって窒息死した。
【解説】 ロキソニンやアスピリンは痛み止めによく使われる「非ステロイド系消炎剤」で、解熱剤や血栓予防としても用いられる。副作用として、胃・十二指腸潰瘍や消化管出血がある。New England Journal of Medicine(アメリカで最も権威ある医療ジャーナル)によると、この薬剤による消化管出血で死亡する人は毎年16,500人にのぼる。人口が半分の日本では、単純計算で8,000人となる。非ステロイド系消炎剤を服用する場合、この種の事故は不可避である。ロキソニンは、医家向けの解熱鎮痛剤では売り上げがトップであり、この種の薬害は数多く発生している。本件の場合、胃に穴があく前に、おそらく腹痛を訴えていたはずである。それを聞いていたら、医者は薬を中止すべきだったわけで、そうでなければミスがあったといえる。ロキソニンよりやや安全なアセトアミノフェンがあるが、量が増えると肝不全が発症するという問題がある。アスピリンやロキソニンと比較すれば安全という程度だ。世の中にまったく安全な薬は存在しない。したがって事故防止のためには、ある程度の痛みは我慢するという方策も考える必要がある。

2. 50代の女性が顔や首に発疹が出て痒みがあったため、近くの皮膚科医院で受診し、塗り薬をもらった。この軟膏をつけるとよくなるので、疑いもせずほとんど毎日使い続けた。ところが一年たったころ、顔の皮膚がただれはじめ、みるみるお化けのようになってしまい、結局仕事も辞めざるをえなくなった。国立病院の皮膚科にいくと、「薬の副作用です。その軟膏を使うのをやめなさい」といわれた。この軟膏にはステロイドが入っていて、長期間、しかも顔などに使いつづけるのは非常識とのこと。べつの薬を処方され、皮膚ケアの方法も指導してもらい、少しずつよくなっているが、すっかり治るには一年以上かかる。

【解説】 話だけからは、最初の発疹が何であったか不明である。アトピー性皮膚炎が発症した可能性もある。ステロイドは本来、人の細胞が分泌しているホルモンで、生体の生存に不可欠の物質だ。その類似物質を合成して飲み薬、注射薬、座薬、軟膏などにしたのがステロイド製剤である。その効き目は顕著で、膠原病、気管支ぜんそくなど、多くの病気の診療はステロイドなしでは考えられない。その反面、長く続けると誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、糖尿病、消化性潰瘍、膵炎、精神変調、うつ、痙攣、骨粗しょう症、大腿骨および上腕骨の骨頭無菌性壊死など、重大な副作用が生じる危険性がある。ステロイドは効き目が顕著なため、医者も患者もなかなかやめられなくなりがちで、かつては、危険性の認識なしに処方を続けた皮膚科医がたくさんいた。現在でも危ない使い方をしている医者が少なくないので要注意だ。

3. 85歳の男性が腹痛と下痢で受診したところ、感染症といわれ点滴をうけたが、その直後に死亡した。鎮痛剤も使われていたが、どんなことが考えられるか。
【解説】 ふつうは腹痛と下痢で死ぬことはない。点滴の直後というから、薬によるアナフラキシー・ショックが生じたのだろう。いわばアレルギー反応の劇症型で、いろいろな薬で生じるが、純粋な輸液成分だけでは生じない。何かの薬が入れられていたはずだ。本件では感染症と診断されているところから見て、点滴には抗生物質が入っていたのではないか。鎮痛剤というのは、おそらくロキソニンや、やはり非ステロイド系消炎剤のボルタレンなどだろう。ショックがおきると血圧が低下し、呼吸しなくなるが、的確な対処によって救命できる。ただし一刻を争うので、そばに医者がいないと難しい。したがって、抗生物質などショックを起こす可能性がある薬剤を点滴するときは、担当医はしばらくそばにいるべきである。本件ではナースが点滴して、医者がそばにいなかった、医者はいたけれども、対処法を知らなかったなどの可能性がある。そもそも細菌による感染でなければ、抗生物質は効かない。腹痛と下痢の場合、ウイルスによるものがほとんどで、かりに細菌性のものでもふつうは輸液だけで十分である。抗生物質を使うと腸内細菌が死滅して、べつの細菌がはびこる可能性がある。したがってこの男性は、不要な治療のために死亡した可能性が高いといえる。

4. 2歳9ヶ月の女児は先天性の心疾患を持っていたが、ふつうの生活を送っていた。ところが風邪をひいて二日目に、近所に小児科でセファメジンなどの点滴をうけた日に、容態が急変して死亡した。
【解説】 セファメジンは抗生物質なので、前のケースと同じくショックが起きた可能性がある。ただ点滴直後に生じたのではないようで、それから考えると抗生物質が原因ではない。風邪に非ステロイド系消炎剤を使う医者が多いので、それによるショックも考えられる。

5. 3歳の男児が日本脳炎の予防接種をうけた翌日の夜明け前、40度あまりの高熱を出してうわごとをいいはじめた。救急病院へ運び込んだが、嘔吐や痙攣を起こしているのに1時間も待たされ、簡単な診察と投薬(痙攣止めと解熱剤の座薬)だけで、入院は断られた。自宅へ戻っても熱は一向に下がらず、手足は冷たくなり、うわごとを頻繁にいうようになった。午前11時に再び救急車で病院へ向かったが、途中呼びかけても返答がなく、意識はなくなっていた。病院で人工呼吸器をつけるなどしたが、午前4時過ぎに死亡、死亡診断書には「ライ症候群」とあった。
【解説】 日本脳炎の予防接種後には、39度以上の発熱が時々みられ、脳炎や脳症が生じることもある。本件では予防接種のあと、べつの薬を使ってないとすれば、最初の高熱や痙攣は予防接種によるものだろう。ではライ症候群とは何か。ライ症候群の原因は種々の有害物質で、なかでも非ステロイド系消炎剤によるものが一番多い。ボルタレンのような強力な非ステロイド系消炎剤は、大人が鎮痛目的で使用した場合にもライ症候群を起こすことがある。発熱時に解熱目的で非ステロイド系消炎剤がよく使われるが、子供はもともと脳組織が未成熟なうえ、熱の影響で脳組織が弱っているだろうからライ症候群になりやすい。ライ症候群になると、重症度にもよるが、おしなべて3割程度が死亡し、生存者の半数に脳神経系の後遺症が生じる。そういった理由から、子供の発熱には解熱剤をなるべく使わない。使うとしても、比較的安全とされているアセトアミノフェンを使うというのが世界の常識になっている。しかし、日本の医者たちにはこの常識が欠けている。本件でも解熱剤が使われているが、おそらくボルタレン座薬で、それでライ症候群が生じたのである。この子供に座薬が使われたのは、北関東の県庁所在地にある県の救命救急センターだから、よその医療機関の状況はおして知るべしである。

本題に戻って、免疫や自然治癒力は血液と細胞の働きによるものです。ですから健康を維持する大原則は、その原料である食物への十分な配慮と同時に、症状をいちいち気にして薬に頼らないことです。

できれば薬とはキッパリ縁を切ったほうがいいのです。重ねて強調しますが、薬は免疫を低下させ、自然治癒力を破壊する作用をもっているのです。薬で病気そのものが治るなどということはまずありえませんし、それどころか、逆に病気を作り出す原因となる可能性のほうがはるかに高いのです。
こういった薬による治療医学、つまり対症療法の問題点や限界について、先述の安保教授はつぎのように述べています。

「抗生物質や抗がん剤に加えて、消炎鎮痛剤、ステロイドホルモン、制酸剤、血圧降下剤、精神安定剤など、多くの薬剤の開発競争が続いている。

薬の開発は、おもに化学や薬学の純粋なサイエンスの力でなされるので、医学の進歩より薬の進歩のほうがはるかに早い。たとえば、化学物質は基本構造を一定にしたままで、側鎖を変えると作用が変化するので、研究所で大々的な開発が進められる。
開発された薬は対症療法の大きな力となり、使われ続ける。降圧剤や向精神薬などがとめどなく処方され、対症療法がどんどん進歩していく。
じっさい医療の現場では、仕事に疲れた中高年男性や、肥満や運動不足の中高年女性、そして精神的に悩める多くの男女が、病気になって外来に列をなしている。また多くの老人たちが、仕事で通勤でもしているかのように病院に通っている。どこの病院の待合室にも長い行列ができている。
医者は、遅くても昼の1時か2時までには外来を終えたいので、患者からろくに病状やいきさつも聞かないで、すさまじい勢いで薬を処方し続ける。大病院の場合はこれに多くの検査が加わる。とても患者から病気の成り立ちを聞きだす暇はない。
働きすぎの猛烈サラリーマンが、毎日何時間、どのような仕事をどうがんばってしているのか聞き出すこともなく、ただ症状にあわせて、降圧剤など数種類の薬が処方される。
しかし血圧は下がっても、仕事量を減らすアドバイスはしないから、患者はやたらと疲れて元気がなくなり、さらに体調を崩すことが少なくない。
このように、薬剤が進歩すればするほど対症療法の力が増し、原因を無視した治療に磨きがかかる
現代医学が破綻し始めている理由の一つは、薬の進歩に、病気の本質を知る考えが追いついていないことにある。医療内容が確実に悪化していく危険性をはらんでいるのである」

それでもなお薬に頼ろうとする人が多いのは、薬を飲むと一時的に症状が収まったような気がして、それをつい「病気が治っている兆し」と錯覚してしまうからです。じっさいは、それは単に脳細胞を麻痺させる薬理効果(冒頭に説明した神経伝達をブロックする作用)にすぎず、決して病気が治っているわけではありません。これさえよく理解すれば、安易に薬を求める習慣はやめられるはずです。ただし、急性症状が起きた場合、発作や激痛を止める特殊な鎮痛剤の使用はやむをえないでしょう。急性疾患の問題については次章でご説明します。


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