北海道炭礦汽船滝之上発電所
●竣工:大正14年1月
●平成6年4月北海道企業局譲渡
●発電能力:1,200KW×2(完成時)

 国道274号線を札幌から帯広方面に向かうと、栗山町と夕張市の境界に竜仙峡がある。
 夕張川の両岸に山が迫り、約3000〜1400万年前の海の証拠でもある礫岩・砂岩・泥岩の積層(タービダイト)が千鳥が滝を中心とした渓谷美を創りあげている。この千鳥が滝の落差を利用したのが北炭の滝之上発電所である。


 滝之上発電所は大正13年12月20日に千鳥が滝上流に取水堰堤(ダム)を築き、水路を掘削、1.200キロワット×2台の堅型軸長18メートルの水車を設置したもので翌14年1月より発電を開始した。
 この水圧鉄管を省略しヘッドタンクを深くしたオーブンフリューム式は、水力発電所の草創期においては水量が多く低落差発電所に多く用いられた。
滝の上発電所
発電機・水車据付図

 煉瓦壁と白色で縁取るアーチ窓が印象的な上屋は煉瓦造であり、内部を吹き抜けとし、小屋を鉄骨トラスで組み、切妻屋根をかけている。
 ファーサード中央の窓には、北炭の社章を型どった星印の色ガラスを収めている。外壁は戦争中に迷彩のため黒くタールが塗られていたがその痕跡はいまでも確認できる。



滝之上水力発電所立面図



 清水沢水力発電所とともに平成6年4月北海道企業局に譲渡されたが、周辺は滝の上公園として整備されており赤い煉瓦の建物は四季折々変化する竜仙峡の光景と共に行楽客に親しまれている。




参考文献

●70年史   北海道炭礦汽船株式会社(昭和33年)
●北海道の近代化遺産  北海道教育委員会(平成7年)
●総覧日本の建築 第1巻 北海道・東北       
       日本建築学会編 新建築社(昭和61年)


協 力

●奥山 道紀氏

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