株を守る(くいぜをまもる)

 殷(いん)の王朝が周に滅ぼされると、周は殷の王族を宋(そう)の国に封じました。そこで、殷の人々も宋に移り住む事になりました。

 ところが、宋に移り住んだ人々は、時代が周に変わっているにもかかわらず、昔の殷の風習を止めようとしませんでした。そこで、周囲の国の人々は宋の国の人を時代遅れだとあざけり、挙句(あげく)の果てに「まぬけ」だと軽蔑(けいべつ)するようになってしまいました。

 こんなことから、まぬけな事柄を宋の人にかこつけた話がたくさん作られましたが、その一つにこのような話があります。 

宋の人、田を耕(たがや)す者あり。田の中に株あり。兎(うさぎ)、来たりて株に触(ふ)れ、頸(くび)を折りて死す。因(よ)ってその耒(すき)をおきて、株を守り、また兎を得ん事をねがう。兎は再び得るべからず。しかして身は宋国の笑いものとなる。

 この話は、いつ頃のものなのか、本当にあった話なのかはわかっていませんが、この話をどこかで聞いた事があるという人もいるのではないでしょうか。

待ちぼうけ 待ちぼうけ

ある日せっせと野良かせぎ

そこへ兎が跳んで出て

ころりころげた木の根っこ

 これは、北原白秋の童謡、「待ちぼうけ」です。この歌の元になっているのは、こんなお話だったのです。

 この、「株を守る」という故事は、「韓非子(かんぴし)」という書物に書かれていますが、後世になって様々な書物にも登場しています。

 古い習慣を守って進歩を知らない人のたとえとして使われています。

 

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