DRAGONS TOPICS 【2002年7月31日(水)】

 7月31日(水) >>
バンチ続投 なぜだ

 中日は2本塁打で1度は逆転しながら、先発したメルビン・バンチ投手(30)が踏ん張れなかった。30日の東京ドーム。4−6の逆転負けで、巨人戦は8連敗。山田久志監督(54)の怒りの矛先はバンチに向けられたが、投手の交代機がちょっと遅かったのでは…。ショックなことに、中日の自力優勝の可能性はこの日、一時消えた。

 中日は77年以来、25年ぶりの巨人戦8連敗。自力優勝がひとたび消えてしまった。

巨人-中日 4回表1死、バンチが左越えに本塁打を放つ(川北眞三撮影)

独り相撲だった

 山田監督はベンチから出てくると「ちっ、クソ」と吐き捨てた。怒っている。その矛先は試合をぶち壊したバンチに当然向けられた。「独り相撲だった。ランナーを出すと抑えられない。特に巨人とやるときはランナーを出すとおろおろしてしまう。打線の強いチームだとひどい。やっと逆転したのに、チームの雰囲気を悪くする。それを平気でやっている」。

 4回、流れは中日に一度は傾いていた。リナレスのヒットで始まり、谷繁の同点3ラン、バンチまでが勝ち越しの2号本塁打を放った。得点した直後を抑えるのが勝利の鉄則。それなのにバンチはうろたえ続け、速球の威力を自ら半減させた。守りのミスも拍車をかけた。4回2死を取りながら井上が右前に飛んだ元木の打球にスライディングキャッチを試みて後逸。続く阿部に左翼フェンス直撃二塁打を許して同点。5回には川中のボテボテのゴロを処理しきれず、四球と敬遠で満塁にした後、斉藤に勝ち越し打を許した。

 試合後は「ノーコメント」を貫いたバンチ。“投手のセ本塁打王”(2本)は被本塁打でも14本となりワーストタイの記録だけが残った。

岩瀬も落合も…

 早めにバンチを見切れ、という見方もあるだろう。これについて山田監督は「きょうは6連戦の初戦だし、岩瀬も落合も(阪神戦で)3連投しているからね。その事情をバンチに分かってほしかった。それだけに頑張ってほしかった。残念でならない」と言った。精神面の強化という難題だけが今後に大きく残った。

 2リーグ分立後、中日は1959年と65年に9連敗したのが球団ワースト記録。31日、仮に敗れた場合は、それに並ぶ。投打とも地力のなさを露呈している中日。このピンチに意地を見せられるか。(増田護)



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