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スクウェア・エニックスがドラクエ8無許諾攻略本を著作権侵害などで提訴

2005年03月28日

第1回口頭弁論で被告側は全面反論

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裁判に持ち込まれた無許諾攻略本『ドラゴンクエストVIII完全攻略データ集』(税込み定価980円)

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『ドラゴンクエストVIII 完全攻略データ集』はこのような形でマップを掲載している(同書6ページ)。同書のビジュアル要素は実質的にこうしたマップだけで、登場キャラクターやアイテムなどはテキストで表記されている。

 人気ゲームソフト「ドラゴンクエストVIII(以下ドラクエ8)」を開発・発売するスクウェア・エニックスが、同社の許諾を得ずに同ソフトの攻略本を出版した鉄人社(東京都千代田区)を相手取り、著作権や商標権を侵害されたとして、3億7551万円の損害賠償や出版差し止めなどを求める民事訴訟を東京地裁に起こした。3月10日に開かれた第1回口頭弁論で、被告側は全面的に争う姿勢を見せた。(文・佐藤晃洋)

 今回問題になっているのは、鉄人社が昨年12月24日に発売した『ドラゴンクエストVIII完全攻略データ集』だ。同書ではドラクエ8のオープニングからエンディングに至るまでにユーザーが取るべき行動やボスキャラの攻略法、アイテムやモンスターの一覧などといった、一般的にゲーム攻略に必要とされる情報が網羅されているほか、サードパーティー製のツールを利用してゲームの改造を行うためのコードなども掲載されている。

 従来、ゲームソフトの攻略本を発刊する際には、事前に当該ソフトの販売元に許諾を得るのが業界の慣習だったが、今回鉄人社は販売元であるスクウェア・エニックスの許諾なく同書を編集・発売した。このためスクウェア・エニックスは同書の刊行後すぐに、商標権侵害と不正競争防止法違反を理由に同書の発行差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。この仮処分は、記事を執筆している3月17日現在、結論が出ていない。

 続いて今年1月31日、スクウェア・エニックスは著作権侵害を新たに根拠に加え、同書の出版差し止めや謝罪広告の掲載、3億7551万円の損害賠償などを求める本訴を東京地裁に提起した。

真っ向から対立する両者の主張 仮処分申請は地裁から取り下げ勧告が?

 訴状によると、スクウェア・エニックス側の主張は次の5つにまとめられる。

(1)同書に掲載されているマップなどのイラスト(すべて鉄人社側で新たに描き起こしたもの)はドラクエ8内で使用されている画像に依拠しており、原告の複製権や同一性保持権などを侵害する。

(2)同書はドラクエ8のストーリーを網羅的に説明しており、読めば容易にストーリー全体を把握できるため、同書はドラクエ8の翻案物に該当し、翻案権・複製権・同一性保持権などを侵害する。

(3)同書はゲームの改造に使うコードを記載、改造に必要な「ドングルメモリー」と呼ばれるハードウエアの入手方法も紹介しており、著作権侵害行為の幇助・教唆ないし間接正犯的行為に当たる。

(4)ドラクエ8には、ゲームに登場するアイテムを作成するための「錬金釜レシピリスト」や、ゲームに登場するモンスターの「モンスターリスト」を表示する機能が存在し、それぞれが著作物に該当する。同書に掲載されている「錬金釜レシピリスト」「モンスターリスト」はこれらの著作権を侵害している。

(5)「ドラゴンクエスト」という名前がついた製品はスクウェア・エニックスの製品であると一般に広く認識されている。そのため同書はスクウェア・エニックスが発刊する公式ガイドブックと誤認される可能性が高く、商標権侵害並びに不正競争行為に該当する。

 損害賠償額については、公式攻略本上下巻セットでスクウェア・エニックスが得る利益を1419.5円と明かし、鉄人社の攻略本を購入した読者は公式攻略本を買わなくなると主張、鉄人社攻略本の発行部数を18万部と推算したうえで、両者を掛け合わせた2億5551万円を損害額として算出した。さらに人格権侵害の賠償金1億円、弁護士費用などが2000万円として、合計額を請求している。

 これらの主張に対し鉄人社側は「ワールドマップ等の輪郭は単なるアイデアに過ぎず、著作権の保護対象となる表現物には当たらない」「同書にはドラクエ8中で使用されるキャラクター画像や字幕・音楽などの情報は一切含まれておらず、掲載されているのはゲームとしてごくありふれたストーリーに過ぎないため、創作性は認められない」などと、スクウェア・エニックス側の主張に真っ向から反論する。(5)に関しては「ドラゴンクエスト」に関する書物がこの名称を使うは当然のことであり、また「公式攻略本」などとは一切表記していないため、読者が公式本と混同することは通常あり得ず、商標権侵害や不正競争行為には当たらないとしている。

 なお(5)については、前述のようにスクウェア・エニックスが同じ根拠で同書の出版・発行差し止めを求める仮処分を申請している。鉄人社側は今回提出した書面で、東京地裁がスクウェア・エニックスに対して仮処分申請の取り下げを勧告したことを挙げ、本訴での(5)の主張もその繰り返しで根拠がないと主張した。仮処分の手続きは基本的に当事者と裁判所の間でだけ進められ、情報は原則公開されない。本誌はスクウェア・エニックスに対して、地裁から勧告を受けたのが事実かどうか問い合わせたが、「裁判中であり、答えられない」という返事だった。

 知的財産権に詳しい小倉秀夫弁護士は、原告の主張には次のような課題があるとみる。

●ゲームのストーリー自体には著作物性はない。

●データ編集を可能とする商品の販売が同一性保持権侵害になるかどうかは、利用者が改変を容易に行えるか否かが重視されており、コードの掲載だけでは「容易」とはいえない。

●リストについては、ゲーム中で何をどのようにリスト化しているかについて創作性が確認できた上で、攻略本掲載のリストがその点で同一か類似していないと権利侵害にならない。

●書名に他人の登録商標を含んでいても、内容を表すためなら商標権侵害には当たらない。

 こうした点について、原告側が今後どのように論拠を積み上げていくか注目される。また著作者人格権侵害で1億円という慰謝料が認められた例はなく、「原告が勝つとしても、賠償額はかなり少なくなるのでは」と小倉さんはいう。

一太郎判決の高部裁判長が担当 提訴は両刃の剣の可能性も

 第1回口頭弁論は3月10日に同地裁で開かれた。高部真規子裁判長は、ワープロソフト「一太郎」が特許を侵害しているとして松下電器産業がジャストシステムを訴えた裁判を受け持つなど、知的財産関連の訴訟を多く担当している。

 法廷では上記(1)のマップの問題について、鉄人社側の弁護士が「個々のマップがどのような形で権利を侵害していると考えるのか、訴状は具体性を欠いている」と反論するなど、冒頭から対決ムードが色濃く漂った。高部裁判長は「訴状にドングルメモリーとありますが、これは何ですか? 被告が作っているものですか?」と質問、原告側弁護士が「市販されている汎用品です」と答えるなど、細かい確認が繰り返された。

 この裁判は、訴えたスクウェア・エニックス側にとっても、危険な一面を秘めている。というのは、ゲームの攻略本において守るべき著作権法上の具体的基準が裁判で示されてしまうと、その内容次第では逆に「その基準内なら許諾を取らなくても攻略本を出版できる」として無許諾攻略本の出版に踏み切る出版社が続く可能性も否定できないからだ。

 しかも今回の訴訟において、スクウェア・エニックスが著作権を侵害されたと主張している部分はページ数にして同書の約半分強に留まっている。同書は(1)〜(4)のほか、武器やアイテムリスト、メーンストーリーに直接影響しないサブシナリオ部分なども掲載しているが、これらについては提訴していない。民事訴訟では、原告が求めなかった論点を裁判所が踏み込んで判断することはなく、逆に言えば、こうした論点については、スクウェア・エニックス側が後から追加しない限り、違法とされることはない。この点についても本誌は「訴状に取り上げなかった部分についてはどう考えるのか」とスクウェア・エニックスに確認したが、具体的な回答はなかった。

 この裁判で、スクウェア・エニックスは公式攻略本がドラクエ7だけで約277万部、ドラクエシリーズ全体で約2256万部売れた事実を明らかにした。これだけの市場を他社が指をくわえて見ているはずもない。地裁の判断次第では、大きな影響を与える可能性もある。

(ASAHIパソコン2005年4月15日号News&Views;から)


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