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大切な「その後」のプロセス
 皆さん、こんばんは。今日は楽しみにしていた鄭さんとの再会。わたし的には随分前から懇意にさせて頂いているつもりだったのですが、今日改めて伺うと初めてお目にかかったのがH15年の10月だということで随分意外な感じがしました。定期的に遊びにいらして下さるのと日々のメールのやりとりで物理的,心理的距離を感じないかもしれません。今回は日本で学会があったということで短い時間ではありましたが楽しく過ごさせて頂きました。

 台湾におけるオーディオ状況は日本と良く似ています。所謂「ハイエンド」的な拝金主義、といったら叱られるかな・・・高額品ほど有難がられる傾向にあるのは或る意味日本以上かもしれません。台湾からは(近いということもあるのかもしれないですが)個人のお客さまだけでなく、ディーラさんからも大変よくお問い合わせを頂きます。或る時など「サンバレさんのアンプは台湾だったら倍の値段で売れる思うよ。わたし日本語だいじょぶ、台湾でのビジネスオッケー。安く卸して下さいよ」と言われ丁重にご辞退したこともあったのですが、実際のところ、ここ数年日本で急速に根付いたドメスティックな真空管アンプの楽しみ、つまりセットでそれこそ10万円前後でシステムアップ出来る3ピースのシステム(プレーヤ,真空管プリメイン,小型SP)で気楽に豊かな音を愉しむ、という文化ではなくてドーンと大きなSPがあってゴージャスな機器が麗々しく並ぶ、みたいな光景がまだまだ基本のようです。実際ヨーロッパのハイエンドメーカからの製品の輸入はひょっとしたら日本よりも活発なのかもしれません。そんな中鄭さんのような広い視野を持ったコスモポリタンが私どもの製品に着目して下さり台湾のオーディオ市場に一石を投じているのはとても素晴らしい事だと思います。一部の台湾の好事家の間でも私どもの製品を知って下さる方が増えてきて、耳たぶが真っ赤になるくらい照れちゃうような呼ばれ方をすることもあったりします。ひょっとしたら10年後あたり、台湾でも大きく流れが変わっているのかもしれません。

 そういえば今日、或る海外メーカが作った6V6ppアンプがサンプルとして届いたので鄭さんを駅までお送りしたあと、暫し試聴してみました。回路的にもオーソドックスで電源部がセパレートされている可愛いアンプです。出力は13W+13Wもあるので実力的にも十分。以前から注目していたのですが突っ込んで試聴するのは初めて事です。
 結論から言うと、電気製品としては全く言うことなし。大変良く出来ています。参考すべきポイントが幾つもあり「こ値段でよくやるよなあ」と思わせられる出来でした。但し残念ながらヴォイシングという見地から言うとまだまだツメが甘いというのが実感です。以前からこの日記でも何度と無く申し上げていることですが、デザイン,使う真空管,回路・・・そういうフィロソフィの前に音のフォーカスがきちんと決まっていないアンプがまだまだ多いのが現実です。写真で言えばどんなにモデルが良くても、どんなに構図が決まっても、どんなに良い機材を使っても肝心のピントが決まっていなければ写真としての価値が無いのと同じです。せっかくここまで作りこんでるのに勿体無いなあ、もう少し追い込めば素晴らしいアンプになるのになあ、というのが正直な印象でした。
 2年ほど前の話になるんですが試作アンプの評価に際し、メーカに「ここのカップリングは**に、パスコンは**、球は**製に替えて下さい」とお願いしたところ、「何で同じモノなのにわざわざ何倍も値段のするものに替えなければならないんですか、ナンセンスだと思うけど」と憤慨されたことがあります。結局のところ回路図と測定結果でアンプ開発が完結してしまっているんですね。一番大切なその後の工程がすっかり抜け落ちてしまっているのです。そういう意味では中国を中心とした真空管アンプ第三勢力がヴォイシングの耳を持ち始めたら、これは手強い強敵なるのは間違いありません。楽しみですね。

どうなる?名古屋のフェア
 皆さん、こんばんは。今日は名古屋で打ち合わせ。来年2月初めに予定されている「オーディオフェスタ・イン・名古屋2007(仮称)」の全体会議(内容説明会)に参加して来ました。場所は名古屋ドームの直ぐ近く。アクセスは今までの伏見の方がいいような気もしますが、今日はともかく事務局さんのお手並み拝見という感じで大人しく話を伺うことにしました。参加者はいずれも名だたる大メーカーの方ばかり。出展者で知り合いといえばトライオードの山崎さんくらいで、何だか心細い感じです。実際サンバレーなんて誰も知らない(まあ、よくよく考えてみれば当たり前か)。そのうち「サウンド・バレーさん」なんて間違って呼ばれたり(そっちの方が格好いいかも、なんて思ったり)。

 配られた資料を見ると高級オーディオ試聴会と銘打たれてはいるものの、中身はVA(ヴィジュアル&オーディオ、最近はAVじゃなくてVAらしいですよ)の匂いがプンプンで「本当に真空管アンプを好きな方が来場されるのだろうか」と一抹の不安を覚えます。以前事務局の方と一対一でお話した時には「名古屋でも真空管アンプのイベントをやってみたい。聞くところによるとこの辺りでも真空管アンプのメーカは7つや8つはあるらしいので声を掛けていきますから是非大橋さんのところも参加してください」と言われ、その気になっていたのですが実際今日説明会に参加してみると真空管関係は書いたとおり山崎さんと私だけ。山崎さんは今までも出ておられたので実質ダボハゼみたく食いついたのはウチだけか・・・そう思うとだんだん腹が立ってきて「説明会は聞くだけ聞いて終わったら出展を断ろう」と思っていました。
 でも途中から「何もしないで撤収するのはやっぱり沽券に関わるな。やるだけの事をやってもの申すのが男というもんだ」と気が変わってきて、このイベントへの道筋を引いてくれた山崎さんへの筋を通すことにしました。しかし余りに企画内容が見えなさ過ぎで一体何がどうなるのか良く分からないのが少々不安です。まあ「製品並べとくから見においで」というスタンスでは上手くいかない訳ですから自分なりによく考えて来られた方が「行って良かったなあ」と思って下さったような内容にしなければと思っています。
 副次的に「これは後々効いてくるかも」と思ったのは各メーカさんの中心的役割を果たされている重鎮の方々とのパイプです。A社,P社.M社,L社,S社,Y社,D社,V社,T社・・・多分頭文字だけ書いても皆さん分かってしまうような錚々たる大メーカの諸先輩方から直接教えを乞うことが出来るというのは願ってもない話です。実際会議終了後にお話をさせて頂く機会もあって、まあそれだけでも何かのきっかけになるのかなと思いました。まあ、出る以上はベストを尽くします!当日来て下さるお客さんに喜んで頂く為にも。

 ところでウインズさんの件。何やらその後も村瀬さんに沢山の引き合いが来ているみたいで、嬉しい悲鳴を上げている様子がヒシヒシと伝わってきました。ただ実際のところ、もうこれ以上無理、という位お部屋もツメツメの状態で、日帰り参加の方も全てお断りせざるを得ない状態のようです。今回チャンスを逃された方は是非次回お越し下さいね。そうそう皆さんに申し遅れましたが、今回のスペシャルゲストは根津さんです!これは楽しいオフ会になりそうですね。実際はまだ二ヶ月近くも先の事なのにとても待ち遠しいです。

 最後に7/10から価格改定が決まっておりますSV-310,SV-91B,SV-2(2003),SV-2PP,SV-9T,SV-275に関してお引き合い,お問い合わせが大変増えているようです。間違いないように念のため今いちど確認させて頂きますと、7/9までの「ご注文分」(納品分ではありません)は全て旧価格適用となります。つまり例えば現状全然製造が追いつかなくてご迷惑をお掛けしているSV-2/2PPについても7/9までにご注文(ご予約)だけ上げておいて頂ければ、納品が仮に10月になったとしても旧価格を適用させていただくことになりますから宜しくお願いします(詳しくはWEBの製品情報をご参照下さい)。因みに845関連ではPrime845ver.2への移行に伴う価格改定という要素が大きいのですが、今から7/9までにご予約の方はver.2が付いて価格据置ですからこれは正味なはなしメチャメチャお得です(逆に言うとウチ的にはボランティアもしくは・・・)。別に自分で儲からない話をする必要も無いわけですが、皆さんにとってはビッグなチャンスでもある訳ですので、改めてお知らせのみ申し上げます。

 明日は鄭教授が台湾からいらっしゃる日です。久々にお目にかかれるので嬉しいです。何たってこの商売の最高の魅力は色んな人と出会えること。だから止められないんです。

Prime845ver.2登場!
 皆さん、こんばんは。いきなりで恐縮ですがウインズ合宿、お昼過ぎに村瀬さんから電話が入って「満室です」だって!凄いですねえ。僅か半日ですよ、皆さんのハイエナジーぶりに私も超ハイテンションです。今回は初めてお目にかかる方も結構いらっしゃるようで、新しい出会いを楽しみにしています。多分お別れする時には旧知の友のようになっているんでしょうね。ちょっと気が早いですが、どうぞ宜しくお願い致します。

 そんななか、早くも今日は持ち込み予定のアンプを聴かせていただくことが出来ましたのでちょっとご紹介させて頂きます。丸善のN村さんの力作、6SL7GT(WE名義のJAN-CNUもの)-2A3の終段直結のロフチンタイプ。整流管はGD/5AR4。PT/OPTはタンゴ,CHはタムラです。

N村さんの力作。シャーシに苦労の跡が・・・。

 自らロードラインを引いて完全に一から設計した初めてのアンプということでN村さんは半分自信なさ気でありましたが回路図を拝見する限り大変オーソドックス且つ、細かい部分まで配慮が行き届いたバランスの良い設計で「これなら大丈夫そうだな」と思い早速接続に掛かりました。機器のラインアップはいつもの定番TL-51X+model2+SV-310,SPはstirlingです。
 一聴して2A3シングルらしい素朴で素直な良いねいろです。同行されたS津兄も「いいじゃん!」とご満悦。シャーシの穴あけを手伝った功労も報われたようですね。多分このアンプのゲインは25dB程度。軽くNFBを掛けているのが大変効いていて音がベタッと潰れていないのに好感を持ちました。やはり適度な薄化粧は必須と考えるべきでしょう。

 弦,ピアノなどを聴かせて頂いて少し思うところがあり、何も申し上げずに91Bに繋ぎ替えて聴いていただくことにしました。何も出力倍の300Bを聴かせて「どうだ、凄いだろう?」と威張る為ではありません。最初の曲を掛け、冒頭の旋律が流れただけでN村さんは私の意図を汲み取って頂けたようです。「強弱感が全然違いますね」・・・そう、何が言いたかったかというとまさにこの聴感上のダイナミックレンジ感が設計(特に電圧増幅段)で全く別物になるんですよ、ということをお伝えしたかったのです。
 出力3.5W,ゲイン25dB・・・極めて標準的な2A3シングルのデータです。これ自体に全く問題ありません。でももし私ならもう少し電圧増幅段で利得を稼いでも良かったのかな、という気がします。さすがに91Bのように電圧増幅段だけで40dB以上も裸ゲインがあり、MLF(マルチループフィードバック)で適正化するなんてのは極端な例ですが、今日N村さん,S津兄が体験されたように電圧増幅段の設計で聴感上のダイナミックレンジ,抑揚感、表現の彫りの深さ,ローレベルのリニアリティ・・・根本的な「出音」が変化してきます。私どものアンプがかなり贅沢な電圧増幅段を有していたり、パワー管ドライブを積極的に採用するのも、全てはこの「音の彫りの深さ」の為。ff とppをしっかりと体で感じ分ける為の絶対条件なのです。

 N村さん、どうやらWE310Aをお持ちのようで「今度は310Aドライブに挑戦します」と仰ってました。実は今日の91Bは新仕様のtypeIIでWE337Aを4本挿していました。基本的な音の佇まいは全く変わりません。ただ全体の倍音感は心持ち310Aよりも多いかな、という気はしますね。tsのゾリゾリ!というサブトーン、チェロの胴鳴りがバッチリ決まる良い球で大変気に入っています!

 そうそう今日はPrime845ver.2の試聴報告もしなければなりませんでしたね。ご心配なく。バッチリやりました。結論から先に言ってしまうと今まで聴いてきたあらゆる845と大きく音色が違います。ひと言で申し上げると「ハイパワーな211」。845の音を最も特徴付けていた高域の抜けの良さを残しながらも、中域の色の濃さ、球面波的な実体感ある表現が大変印象的です。

 左から旧845,新Prime,そしてPremiumです。銅ベースが神々しい!







そしてこれが実装の様子。フィラメントはPremiumと同等のようです。

私の愛聴盤の一つでもある庄司紗矢香さんのパガニーニ:VN協奏曲第1番では庄司さんのヴァイオリンがオケから離れてすっと前に出て浮かび上がり、ツヤツヤした音像を浮き上がらせてくれます。
 従来の845よりもより三極管的な肌合いが明確になった新Prime845。「211のタッチは大好きだけど出力が落ちちゃうのが勿体無いよなあ」と思っていた方、また「845は凄く高域が綺麗だけど中低域の量感がちょっと足らないんだよね、SPによっては神経質な響きが乗ってさあ」という方には絶対のお奨め。明日中にはWEB上でも販売を開始できると思いますので、今お手元の845アンプのグレードアップの決定打として是非憶えておいて頂ければと思います・・・正直ここまで良いとは思っていなかったので凄く得した気分です。皆さんもお試しあれ!

いきなり決定!ウインズ「自作アンプ持ち寄りの会」
 皆さん、こんばんは。早速ですが今日、待望の曙光845Bベース、Prime845ver.2が入荷して参りました。いやあ、この日をどれだけ待ったことか!ワクワクしながらダンボールを開けてみると、おお!845premiumと同じしっかりした外箱に入り麗々しく「Prime845 selected in Japan」とプリントが施された845Bが顔を出しました。プレートはカーボン,電極の支持構造は845premiumと同じです。つまりGD/845グラファイトと全く同じものですね。今後私どものアンプや単品で販売させていただく845はこれが基本となります。ペア税込19800円を予定しておりますのでどうぞ宜しくお願い致します。写真や肝心の音質評価についてはキッチリ時間を掛けて行い、明日の日記でご報告させていただく予定です。私も845Bは始めてですのでとても楽しみです!

 ところで突然ですがウインズでのオフ会「聴くだけの方も歓迎!自作アンプ持ち寄りの会」ですが昨日村瀬さんと話していて9/2(土)・3(日)、完全貸切で行うことになりました。初秋の風を乗鞍で一緒に味わいながら真空管の温かい音色で暫しリラックスしてみませんか。噂ではドバイ氏の誕生会も併せてやろう、ということになっているようです。我こそは!という方は直ぐウインズへ電話をお願いします。前回の流れでいくとかなり早く満室になってしまうと思いますので。勿論私も伺いますよ!私はWEランドセル+403A辺りを持ち込んで皆さんに聴いて頂こうかなと思ったり。9月も後半になると真空管オーディオフェアの準備で土日も無くなってしまうので、私にとっては良い骨休めにしたいと考えております。皆さん、楽しくやりましょう!

愛情とメンテナンス
 皆さん、こんばんは。今日は数日後に台湾のT教授に引き取って頂く事が決まっている845PPモノ*2(WE352A-WE352A-WE311B-845PP)の点検&メンテナンスでほぼ一日過ぎてしまいました。製作後既に6年近く経っている歴戦の勇士ですが、真空管,アンプ内部ともに全く問題なく、この状態であれば安心して使って頂けそうです。
 昔からタンノイユーザは300B派と845派に分かれます。中低域のコク,重厚さを重んじる向きには300B,高域の明るさ,抜けを向上させたいという事であれば845がいいでしょう。個人的には現行のウエストミンスター系であれば845,オートグラフ系であれば300Bが合うと思いますがこれは好みの問題でしょう。それぞれに良さがあるものです。
 今日、お別れに暫しこの845PPでオートグラフを鳴らしていたのですが、このアンプと長い蜜月を振り返って非常に感慨深かったです。企画の発端はM社の845PP。ペア500万という法外なプライスタグがついたそのアンプ、一体誰が買うんだろう?というヒガミ根性が先行して無視しようとすればするほど気になってしょうがない・・・ついにはM社に押しかけて「聴かせて下さい」とお願いしたのが昨日の事のようです。全段トランス結合,300Bドライブの845PPが出すブ厚いサウンドにはからずもノックアウトされてしまいました。「よし!この音を自分の手で作ってみよう。1/10の値段でこの音を超えてみよう」と限定30ペアだけ完成品のみで販売したのがこのSV-5なのです。



 そのSV-5の魂は現在、SV-2PPver.2に受け継がれ、これからも多くの皆さんにご愛用頂けるでしょう。今は亡き私どもの過去の製品も全て現行製品に受け継がれていることを忘れまい・・・今日はそんな気持ちでした。このアンプに限らず全ての製品には私どもの歴史と情熱が詰まっているのです。

 その後夕方になって少し涼しくなったので外へ出て久々にラジコンのエンジンを回してみました。


 ずっと火を入れていなかったのでひょっとしたらシリンダ内がドロドロになっているのでは、と思ったのですが幸い綺麗な状態でプラグも生きていましたのでほどなくエンジンが掛かりました。京商のオフローダマシンですので庭でビュンビュン走って暫し楽しみました。アンプもラジコンも日頃の愛情とメンテナンスで思いのほか長く使えるものですね。何だかとても嬉しかったです。

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