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第17回「最低接触戦争(5)」
人気好評につき連載を再開した絢爛世界の紹介であるが、ついに終わりの日がきてしまった。
なごりおしいが、読者の方が、おもしろいと思ってくれたら幸いである。

今回は、最低接触戦争の5回目、最低接触戦争が最低と言う名前になったいきさつである。

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最低接触戦争は、もとより最低接触戦争と呼ばれていた訳ではない。
最初のうち、それは単に接触戦争と呼ばれていた。
通りがいいし、大体分かりやすいネーミングが、好まれていたのである。

この戦いは、最初こそ負け気味に推移していたが、BALLSがその圧倒的な生産力を背景に物量戦に入ったことで、完全に太陽系総軍優位に推し進められた。

巨大軌道工場が次々に生産された結果である。 期せずしてこのことが、四半世紀ほど太陽系開発のタイムスケジュールを前倒しし、2230年には完全に冥王星までが太陽系の版図となった。

無論、敵であるネーバルウイッチも黙っていた訳ではない。
遅まきながら相手が与し易い蛮族ではなく、強敵であることを認めた彼女たちは、持てる全艦隊、すなわち彼女たちが頬を染めて言うグランドフリートを総動員し、太陽系を圧殺しにかかった。

彼女たちの狙いは、惑星、中でも中心地である地球である。
長い星間戦争の歴史から、ネーバルウイッチは母星が持つ政治的重要性をよく理解していた。

彼女たちは現在戦闘中の艦隊をそのままに、いまだ優位にある機動力をいかして大規模な迂回作戦を行った。
予想外、すなわち辺境銀河方向からの攻撃に、前線はあっさりやぶられることになった。総軍を相手にするグランドフリートの3分の1は足止めに使われて潰えたが、残る3分の2は、地球に殺到した。


その日からが、最低である。


ネーバルウイッチは十数発の光子魚雷を地上に叩き込んでアメリカ大陸を消滅させ、余波の大津波でいくつもの大都市を沈めたその上で降伏を迫った。 何億という民衆が、一瞬で消えた。

そして、狼狽した。
狼狽したのは知類ではない。ネーバルウイッチである。
出てきたのが丸いロボットではなく有機体だったのもそうだったが、ネーバルウイッチに、良く似ていたのである。なんのことはない。たまたまそのころ政府代表だったのが女性の人知類だっただけなのだが、彼女たちは自分たちのやった行為のおぞましさに震え、そして後悔した。

同族殺し。それは彼女たちにとって最大の禁忌である。

一方同族殺しには慣れたというか日常茶飯事である人以下の一部知類も、狼狽した。相手が美少女だったからである。彼らの戦意は大きくなえた。まあ、なんだ、太陽系総軍には夢見る独身男性が多かったのである。猫少女知類の頃から本質的にはなにも変わってないのであった。それがいいところかも知れぬ。
そのご先祖の一人である筆者も同じ立場ならすぐ看板をひっこめて世界平和を訴えるであろう。

多くの憎しみや殺し合いは相手を知らないことで発生する。これは、そういう例である。

この頃のネーバルウイッチは今よりもっともっと、うぶだった。
あるいは彼女たちが同族殺しの過程で母星を失ったこととかぶったせいもあったかもしれないが、とにかくネーバルウイッチはろくに交渉らしい交渉をすることもなく、撤退を開始した。

これに対し、一部の男性はまあ、なんだ、なえたにしても、それ以外の、家族を奪われた者たちは、黙っていなかった。
そしてそれ以上に、BALLSは黙っていなかった。

BALLSはこの様なことがないよう、鉄のカーテンで太陽系を保護することにした。いくつかの小惑星を粉々に砕き、太陽系全域を覆い始めたのである。
わずか20gの破片でも、超高速の宇宙船が接触する場合では最悪撃沈の憂き目にあうほどの大きな破孔があくときがある。
地球近方ではスペースデプリといわれるそれを、BALLSは戦術として使い始めたのである。

かくて、両軍ともに攻め手を失う形で、最低接触戦争は膠着状態に入ることになる。 この状態が動き出すのは、人形の登場まで、待たなければならない。

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