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コラム
 番外編 吉田茄矢:文

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秋葉原エンタまつり 「富士ミス企画を考えてみよう!」イベントレポート

 10月23日。12:30。
 秋葉原エンタまつり。ダイビル7Fデジタルハリウッド大学会場。
 「富士ミス企画を考えよう!」の控え室は、昼下がりのまったりとした空気と、いくらかの緊張感に満ちておりました。
 机を囲むゲスト作家6名――築地俊彦、水城正太郎、新井輝、師走トオル、田代裕彦、吉田茄矢(敬称略)
 そこにひょっこり現れる編集長。
 編集長「じゃ、今日どうしよっか?
 今から決めるんですか!
 時計見て時計。イベント開始13:30だから。あと1時間しかないから!
 他の作家さんは、唸りつつも慣れた反応。
 編集長「まあ、僕が進行役で流れを作るから、あとは臨機応変に」
 プロだ……。常習犯の貫禄だ……。
 熟練作家陣「臨機応変で2時間もたせるの?」
 そんなバナナ。
 続いて、お隣りファンタジア文庫のK藤氏がご登場。
 K藤氏「昨日さあ、1時間のイベントでも、けっこう長く感じたよ」
 うわー、聞きたくなかったそれー。
 いきなりスリル満点な展開です。編集長、大船じゃないですやん、タイタニックですやん。
 編集長「そういえば、見た感じ、お客さん、男女半々くらいだった」
 一同「半分も!?」(かなりの食いつき)
 編集長「……3割くらいだったかも」
 新井「それ、隣のサイン会の行列じゃなくて?」
 思わず納得のオチがついたところで、イベント開始の刻限に。

 今回のイベントに参加してくださった読者の方々は、(3+α)人です。
 女性だけ数えるな。全体で50人くらいでしょうか。参加ありがとうございます。
 まずはゲスト作家をざらっと紹介。そのあと、編集長が作家陣に投じる第一問。

 編集長「富士ミスの良いところと悪いところってどこだと思う?」
 富士ミスの良いとこ:ミステリー文庫なのに、ミステリー作品じゃなくてもOKだったりする、なんでもござれな気風?
 富士ミスの悪いとこ:近所の本屋で見つからない。他、内部告発続出。こんな繊細なネタ、新人に書けるかあほー。でもイベント通してそんな繊細なネタばっかりだったりしてー。
 初っぱなから夢も希望もない内容になって参りました、「富士ミスバカ売れ企画を考える」の会。

 プロットはやっぱり、現代学園ものがいいかなという流れに。
 編集長「主人公は男の子? 女の子? どちらが感情移入しやすい?」
 会場の皆さんに挙手してもらうと、圧倒的に男の子。
 すると師走先生がひょっこり挙手。前々から読者の皆さんに聞いてみたいことがあったのだとか。
 師走「みなさん、机の上に伏せて挙手してもらえますか。顔上げたままやると、傷つく人が出るので
 ……なんですかその生々しい発言は。戸惑いながらも俯せていく参加者の皆さん。作家陣サイドには痛い予感。
 師走「いまこの場に並んでいる先生のうち、○○先生の△△シリーズを持っている人、手を挙げてください。――はい。ではその中で、主人公が恰好よいと思う人だけ、手を挙げ続けてください」
 激痛ッ! しかも二段斬り!
 出席したゲスト作家が全員毒牙にかかりました。なんちゅー乱れ斬りでしょう。
 そして我々は、山鹿弁護士(師走先生の代表作主人公)の正義パワーの前に跪く結果となったのです。この俯せ方式は、コピーライト師走挙手と名付けられ、以降、会場で猛威を振るいました。

 編集長「じゃあヒロインはどんな子がいい?」
 学園ラブコメといえば、築地先生。
 編集長「築地先生の好きなタイプは?」
 築地「僕が好きなのは奥さんなんで。奥さんが、好きなタイプですから。僕は奥さんを誰より愛してるので」(力)
 水城、新井「なんで3回も言ってんの!」(刺)
 さらには他の作家さんの意見も聞いてみようという話になり、おもむろに携帯電話を取り上げる新井先生。
 新井「現在はファンタジア文庫で活躍中の、あざの耕平先生に生電話してみます」
 すると、会場内でぷるぷると鳴り響く着信音。参加者の一番後ろの席から、真打ち、あざの先生登場です。
 実は。
 あざの先生は、スペシャルゲストではなく、イベントに遊びに来たお客様だったのです。が、イベント前の控え室に立ち寄られたのが運の尽き。壇上へ引きずり出される展開に。そりゃあカモがネギしょってくるようなもんです。あざの先生は、最後の最後まで、本当に電話を鳴らされことはないと信じていたそうです。南無南無(ちーん)

 スペシャルゲストあざの先生も交え、宴もたけなわとなるプロット大会。
 ふとホワイトボードを見ると、そこにはとりとめのないプロットの断片が並んでいました。
 学園物。現代。主人公は男の子。ヒロインは普通がいい。電波な女の子は脇役に回して。主人公とヒロインはちゃんとくっつく。殺しはNG。ツンデレいっとく? それとも素直クール? ネコとか、ミミとか、エトセトラ。
 新井「……これさあ、うちらがプロットとして出したら、ぜったい没くらうよね
 あ、やっぱし……。熟練の作家さんから見てもそうなんだ……。
 そこには、どこをつまみ上げたらいいかわからない、ユニクロ路線の雑煮みたいなもんが出来上がっておりました。
 アドリブに任せすぎました。ここでは公言できない脱線話も多すぎました。どちらかっていうとそれメインでした。
 終了時間も迫ってきたし、そろそろまとめなきゃまずかんべ?
 さすがの編集長にも焦りの色が見え始めたとき、客席から神の一言が。
 お客さん「“□□×××”ってどうですか?」
 水城「え!? “ネコ×××”!?」
 いける! それはいける! じゃなくて今までに並んでいたネタがショボ過ぎた。消去法したらそれしか残らん!
 “□□×××”を提案したお客さんと、それを“ネコ×××”にもっていった水城先生が眩しく光ります(ピカっ)
 急遽、“×××”が次々に学生の手を渡っていく物語にしようと瞬間決定。嗚呼、プロット作成現場のイメージが。
 題材さえ決まってしまえば、あとは編集長が鶴の一声です。
 編集長「じゃあ、作家さん全員が1章ずつ書いて、合計7章で、一冊の本にしよう」
 あざの「それ僕もカウントされてません!?
 おーイエイ。
 編集長「トリは、あざの先生にお願いしたいな」(流し目)
 それでは可愛そうだという民主的な判断がくだり、七人でじゃんけん大会実施。
 一番手は新井先生に決定。その後、先手からの指名制で、新井→築地→水城→師走→田代→吉田→あざの、の順に落ち着きます。トリに注目。作家約1名をのぞく、6名の作為がひしひしと感じられます。
 新井「じゃあ1章は、主人公が童貞喪失するところから」
 築地「なら2章は、女教師出します」
 水城「そして3章で、宇宙が降りてくると」
 ……仕上がり読めません。読ませません。トリの苦しみだけはなんとなく垣間見えます。
 田代「5章は、人が死にます
 さららっと殺人予告の田代先生。ホワイトボードに殺人NGって書いてありますやん!? さすが富士ミスの殺し担当ミステリー担当。
 編集長「順調にいけば、1年以内に発売できると思います。もし1年経っても出ないときは、出来がいまいちだったということで――」
 どうぞ1年目を境に、ご期待下さい。
 最後はあざの先生の「騙された」の台詞で、2時間に渡るイベントも無事閉会とあいなりました。

 他にも、あんなこととか、こんなこととか、聞き捨てならない貴重なトークがいっぱいあったんですけども、自主規制したら書けるとこ減っちゃったよ。というより、ほんとそんな会話ばっかりなんですよ。書きたい! ぶちまけてしまいたい! でも世の中のしがらみに屈服。だめじゃん……。
 あの場でどんな会話が繰り広げられていたかは、会場に居合わせた方のみぞ知る。
 このレポートだけでは物足りんという方は、どうかぜひ、次回の富士ミス企画イベントにお越し下さい。笑えない本音トークが待ってます。なにが怖いって、お客さんの前でセーブしてあれってのが一番怖い……。

 以上、秋葉原エンタまつり「富士ミス企画を考えてみよう!」より、不肖、吉田茄矢がレポートさせていただきました。乱筆乱文、ご容赦ください。当日お目に掛かったすべての方と、ここまでお付き合いくださった皆様に、この場を借りて御礼申し上げます
 (このレポートに登場する人物・事件・出来事などは、ほぼノンフィクションです)


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