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Hotwired / Column & Interview index / 「クレヨンしんちゃん」の逆襲はあるか
浜野保樹の「日本発のマンガ・アニメの行方」
第12回 「クレヨンしんちゃん」の逆襲はあるか
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本物が商標権侵害として撤去処分

『クレヨンしんちゃん』の商標を管理する双葉社が、中国でキャラクター商品を販売したところ、商標権侵害として撤去処分を受けた。双葉社が調べたところ、『クレヨンしんちゃん』の中国名の「蝋筆小新」や、『クレヨンしんちゃん』の絵柄が、既に中国国内で商標登録されていた。『週刊朝日』にも、そのことを述べているが、ここでは時間的経緯をたどり、中国における海賊版の実態のデータを示すことにする。

山田康男氏の資料をもとに経緯を整理する次のようになる。
http://www.sanzeebaa.co.jp/tsukihitokoto/hitokoto_200503.html

1991年 双葉社の雑誌に『クレヨンしんちゃん』連載開始。
1992年 テレビ朝日がテレビ・アニメーション放映開始。
1994年 双葉社、日本国内でおもちゃ、衣類、文具など20種類以上のカテゴリーで「クレヨンしんちゃん」の商標登録。
1995年 双葉社、台湾で台湾版の中国語タイトル「蝋筆小新」を商標登録。
1997年 広東省、福建省、香港などにある企業4社が、絵柄と「蝋筆小新」を商標登録し、それらの企業からライセンス供与を受けた中国企業がキャラクター商品を発売。
2002年 双葉社、海賊版漫画退治のために、中国に正規の漫画を発売開始。
2004年4月 双葉社がライセンス供与した上海の企業を通じ、『クレヨンしんちゃん』のキャラクター商品を中国で販売開始。
2004年6月 上海商工管理行政局は双葉社のキャラクター商品が「コピー商品」として店頭から撤去を命ずる。
2005年1月 双葉社、中国当局に対し商標登録の取り消し請求。

原作の著作権を管理している双葉社の商品が海賊版と認定されるという、日本では理解しがたいことが起こったのである。双葉社が商標登録をしておけばよかったという意見もあるが、双葉社が漫画を発売したのも海賊版に手を焼いて、それを駆逐するための手段であり、アニメーションにいたっては、正式には中国国内で未だに放映もされていないのだ。しかし正式の漫画が発売される以前に、「クレヨンしんちゃん」が既に高い人気を得ていたことを示す調査がある。

中国で2001年12月に行なわれた20代以上の男女を対象としたキャラクター人気ランキングの結果、一位となったのは「クレヨンしんちゃん」であった (サイバーブレンズ社調査)。正規の漫画が発売される2002年以前に、すでに最も人気の高いキャラクターに選ばれている。中国での海賊版がいかにすごいかが分かろう。



中国における海賊版の実態

MPAAが発表したデータによると、2002年、中国のホーム・エンターテインメント市場の91%が海賊版で、その損失は1,68億ドルにあたる。『朝日新聞』(2005年5月3日)には、新作映画の海賊版のすごさを次のように紹介している。「香港映画に打撃を与える海賊版の最大供給地は大陸(中国)とされる。ヒット作1本につき200万枚ほどのDVDなどが出回る(日刊紙「信息時報」)。交流が深まるほど知的財産権侵害が増えるのも現実だ。」
http://www.asahi.com/international/weekly-asia/TKY200505030116.html

映像ではないが、国際レコード産業連盟(IFPI)が毎年、海賊版レポートを出している。それによると、中国のCDの海賊版率は報告書が公表された1999年から最新の報告書にある2003年まで一貫して、中国の音楽市場に占める海賊版率は90%であり、この数値を見る限りにおいては改善されているとは言い難い。2003年、中国における音楽の正規市場は0.76億ドルであるのに対し、海賊版市場は5.91億ドルである。ちなみに、日本はアメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどとともに海賊版率が10%以下に分類されており、アジアでは10%以下に入っているのは日本だけである。

知的財産こそが最大の輸出産業となっているアメリカは、中国にたびたび海賊版への対処を働きかけてきたが、一向に改善されない状況に業を煮やし、今年の4月12日、米国商務省ウィリアム・ラッシュ(William Lash)次官補が北京に乗り込み、記者会見で中国のコピー商品を破り捨てるというパーフォーマンスさえも行ってみせた。その時の次官補は、「中国国内の海賊版によって米国は毎年、200億ドルから240億ドルの損失を被っており、その状況は悪化の一途を辿っていると確信している」と述べている。されにこう付け加えている。欧米や日本の企業は、収益の0.05%にすぎず、手にしたのは0.3億ドル、つまり2003年600億ドルの収入を失った。
http://www.caltradereport.com/eWebPages/front-page-1113806582.html



クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!本物の逆襲

これらの資料が正しいとすれば、中国が海賊版大国であると言われてもいたしかたない。しかし一方で中国は、映画や音楽などのすぐれた作品を生み出す国でもある。国内人口や世界に散らばった華僑の人口の大きさを考えると、アメリカに並ぶエンターテイメント大国になる可能性は高いし、最近の中国映画を見ると、ハリウッド映画を凌駕しつつあると思うことすらある。

『朝日新聞』(2005年5月10日)には、フィリピン映画界が大量の海賊版の流入で疲弊したことが描かれているが、中国にとっても他人事ではない。国内の海賊版業者が外国映画だけをターゲットにするとは考えられない。中国映画が力をつければつけるほど、海賊版の被害は大きくなっていく。
http://www.asahi.com/international/weekly-asia/TKY200505100145.html

今回の「クレヨンしんちゃん」事件は、中国自身が厳正に対処しなければ、自らの首を絞めるのも同然の結果を招きかねない。映画では、巨悪と闘うことになるしんちゃんだから、この事件を題材として、海賊版業者と闘い、笑い飛ばすような痛快娯楽作品を作ってほしい。その内容は、海賊版業者がこの映画の海賊版を作るのを躊躇するようなものでなければならない。

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