ホークスナインにトレーニングを指導する高野氏(右)

ホークスナインにトレーニングを指導する高野氏(右)

 日本記録ホルダーの指導は、やっぱり甘くなかった!? 日本陸連強化委員長の高野進氏(46=東海大准教授)による走法指導が始まった。約1時間半のウオーミングアップ、午後の個別チェックに加え、夕食後は宿舎で講義と質量ともにヘビーな内容。ナインからは「尻が張ってる」などと悲鳴が上がり、地獄の陸上キャンプの様相だ。

 様子がおかしい。まだボールにも触っていないのに、選手の様子がおかしい。尻を拳でたたく者。太ももの裏や、ふくらはぎをさする者もいる。練習開始の午前9時半から始まった「高野式ウオーミングアップ」。約1時間半という長さより、むしろその密度に鷹ナインが悲鳴を上げた。

 さながら全体練習後の補強運動だった。高さ30センチのミニハードルを飛び越えるジャンプに、ダッシュの組み合わせ。パイロンを使ってのジグザグ走や背面走、そして右手と右足、左手と左足を同時に出す「ナンバ走法」。「ジャンプの動きでバネがつく。今年はこういうテーマなんだから、どんどんね」。今季指針の軸に「0・1秒スピードアップ」を掲げる王監督は、息を上げる選手を満足げに見守った。

 脳裏には現役時代の経験がある。「川上さん(監督)の時に高橋さんという五輪の強化選手に、宮崎(キャンプ)で鍛えられてね。それがものすごくプラスになった。現役でミスター(長嶋氏)が17年、おれが22年か。それだけ長くやることにも、V9にもつながった」。昨季の故障禍克服と、常勝軍団の再形成。栄光のV9時代と重ね合わせて理想を描く。

 代表を務めるアスレティクス・ジャパン社のスタッフ3人を従えた高野氏は「選手はやはり運動能力が高く、のみ込みが早い」と午後の個別指導でも精力的。「動きの洗練性を高めるモチベーションと関心を持ってもらい、野球の動きにつなげる調整力があれば」。城島との佐世保自主トレで走り込んできた馬原ですら「筋肉痛になると思う」と苦笑い。スタンドリッジは「今のおれに必要な練習だ! 」と叫んだ。

 高野氏の参加は第2クールまでの予定だが、その後もスタッフが残り指導する。この日の夕食後に選手宿舎で行われた約1時間の講義は、今後も必要に応じ開かれるもようだ。“鬼の陸上部キャンプ”は初日を終えたにすぎない。
 (森 淳)


=2008/02/02付 西日本スポーツ=