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【愛知】

「豪雨が安城や岡崎だったからいいけど」 麻生氏失言 怒り渦巻く

2008年9月17日

「ご存じでしたか。麻生幹事長」増水で家屋が漬かり、復旧作業に懸命な市民たち=8月31日、岡崎市伊賀町で

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 「その発言はないよ。麻生さん」−。8月末の豪雨で甚大な被害が出た岡崎市。隣の安城市も名指した「(豪雨は)安城や岡崎だったからいいけど」失言に、両市と岡崎市議会は抗議文を送り、市民は怒りの声を上げた。「まだ復旧作業中だ」「被災者の気持ちを分かっていない」…。日本のリーダーたる総理・総裁を目指す自民党の麻生太郎幹事長(67)の発言は、被災地を揺るがせた。

 「家族中で怒った」と話すのは、床上浸水の被害にあった岡崎市上地の主婦加藤秋子さん(59)。同市欠町の民間非営利団体(NPO)スタッフ大尾嘉和也さん(33)は「岡崎に住む者として、ふざけるな、という感じ」と語気を強めた。

 被災者への影響を心配するのは、泥まみれになってボランティアの清掃や炊きだし活動に携わったNPO「レスキューストックヤード」(名古屋市千種区)の浦野愛事務局長(32)。「防災対策の充実を訴えるつもりで口が滑ったと思いたいが、今も苦しむ被災者にはショックのはず」と気遣う。

 あまりに配慮が足りない失言に、岡崎市議会の自民清風会・中根勝美会長もかばいきれない。「総理を目指す人がこんな不適当な発言をするとは許されない。くれぐれも慎重に話すようお願いしたい」と注文をつけざるを得ない。

 安城市民からも怒りの声が相次ぐ。買ったばかりの軽自動車が水に漬かった同市安城町、パート職員野崎弘さん(62)は「被害を受けた人間にすれば、腹が立つ。日本の政治家はこんなもんだ」とばっさり切った。

 床上浸水の被害にあった同所の主婦(61)も「やっぱり人ごと。自分の親せきが住んでいれば、そんな言い方はしないだろう」。市が抗議したことについて「公に声を出すのは大切。次に何かあっても気に掛けてもらえるかもしれない」と評価した。

 ■麻生太郎幹事長の発言 岡崎の豪雨は1時間に140ミリだった。安城や岡崎だったからいいけど、名古屋で同じことが起きたらこの辺、全部洪水よ。

  (西三河豪雨取材班)

 

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