「(仮称)子どもを犯罪の被害から守る条例(案)」作成に関する
パブリックコメント(ご意見募集)結果について

 
  「(仮称)子どもを犯罪の被害から守る条例(案)」に関し、平成17年5月2日から平成17年5月20日までの間パブリックコメント(意見の募集)を実施しましたところ、皆様から貴重なご意見をいただき誠にありがとうございました。
 皆様からいただいたご意見の概要及びそれに対する安全やまとまちづくり推進本部の考え方をお示しいたします。 
1 ご意見の提出状況
(1) 意見提出者数    40名
(2) 意見総数       45件
(3) 意見提出方法内訳
郵便           4件
ファクシミリ      10件
電子メール      30件
持参            1件
(4) 意見提出者の住所
奈良県        15件(14名)
奈良県以外     19件(18名)
記載なし       11件( 8名)
結果公表の方法
ご意見の募集結果については、以下の場所で閲覧できます。
奈良県警察本部及び各警察署の警察情報公開窓口
県政情報センター及び県政情報コーナー
奈良県警察ホームページ
結果公表の期間
平成17年6月16日(木)から同年6月30日(木)までの間
主な意見と推進本部の考え方
※同様のご意見については集約の上掲載しております。
項 目 ご意見の概要 推進本部の考え方
全般 条例の制定は必要ない。 昨今の治安情勢の深刻化及び平成16年11月17日の「女子児童被害にかかる誘拐・殺人並びに死体遺棄事件」発生に伴い、保護者、地域住民及び学校関係者等の間において、学校周辺通学路等における児童の安全確保が重要視されています。私たち県民一人ひとりが今回の事件を自らの教訓として、全ての子どもが犯罪に巻き込まれることのない安全で安心なまちづくりを進めることが求められています。今後、すべての県民が一体となって、子どもを犯罪の被害から守るための取り組みを展開するため、条例の制定が必要と考えます。
家庭での性的虐待や学校におけるいじめの問題なども含んだ総合的な視点からみた「総合的な子どもの人権条例」の制定が必要である。 本条例の目的は、子どもに対する犯罪を未然防止すること、子どもの安全を確保することにあり、県、県民、事業者の責務をはじめ、必要な施策について定めます。
総合的な子どもの人権に関しては、より一層関係機関等との連携に努めていきます。
地域における見守り活動が重要である。  子どもを犯罪の被害から守るための見守り活動は非常に重要なことです。現在、自主的に、あるいは公的機関の呼びかけにより広く県内で実施されています。今後条例に規定し、一層強化していきます。
子どもが犯罪に巻き込まれない教育が必要である。 既に実施してきたところでありますが、条例に規定し、今後、より一層充実していきます。
性犯罪前歴者の更正、監視のシステムの構築が必要である。 法務省から警察庁に対する「子どもを対象とした暴力的性犯罪者」についての情報提供が既に実施されております。
対象を限定すると、その反面空洞化が起こる可能性がある。通学等の安全を考えるなら、高校生か中学生まで対象にしてはいかがか。 一般にいう「児童(18歳未満の者)」の中でも、とりわけ小学生以下については、@身体的及び精神的に未成熟であること、A知識・経験等の不足により、その判断能力についても確立していないこと、B児童の中でも、特に犯罪の回避能力が低いため、犯罪に遭う危険性が高いこと、C犯罪に対する抵抗力も乏しいために、その被害程度も大きいことから、対象年齢を「13歳未満の者」と設定しました。趣旨を十分踏まえて、中学生・高校生の安全確保にも取り組んでいきます。
県等の責務について ボランティア等各種団体がうまく活動するよう、資格研修制度を条例で定めてほしい。 ボランティア活動は、自主的・自立的に行われるものと考えます。なお、研修については現在実施しており、ご提案については、今後の参考とします。
国・自治体・事業者の責務ではあるが、その責務を県民に転嫁してはならない。 子どもを守り、健やかにはぐくむことは社会全体の使命であると考えており、本条例は、子どもの安全確保を県民に責任転嫁するものではありません。
子どもの安全確保に関する施策について 自主防犯につながるので、性犯罪や子どもに対する犯罪の情報をリアルタイムで公開してほしい。 現在、警察本部のホームページにおいて「不審者情報マップ(子どもに不安を与える事案マップ)」、教育委員会ホームページにおいて「不審者情報」を掲載しています。今後より一層充実していきます。
引退した高齢者などに率先して散歩やパトロールを行ってもらい、それに住民税などの軽減を行ってはどうか。 自主的に又は公的機関の呼びかけにより、高齢者によるパトロール等の取り組みが既に行われております。また、行政機関による活動に対する助言や活動物品の貸し出しなどの支援も行っています。
子どもに対する犯罪を助長する行為の禁止等について 定義が曖昧である。
実効性が乏しい。
一般人には挨拶や注意などと区別がつかない。
冤罪を恐れて人々が子どもに声をかけなくなり、かえって子どもを危険にさらす。
法令において一定の行為を禁止し刑罰を科す際には、法文上、犯罪の構成要件をより限定的かつ外形的に明確に規定することが求められており、本条例も、これに従って規定し、実効性のあるものとします。
なお、日常行われる挨拶等の声かけ及び従来から地域において自主防犯活動や健全育成活動等として行われているいわゆる「声かけ運動」が規制対象とならないよう、みなさんのご意見を踏まえて、工夫した内容の条文とします。
禁止行為を明確にすると、変質者に抜け道を与える口実を考えられる危険性がある。
保護者等が身近にいる場合に堂々と禁止行為がされる可能性もあるので、ない方がいい。 本条例の目的は、保護者等が直ちに危害を排除できない状態にある子どもの生命又は身体に危害を及ぼす犯罪を未然に防止し、もって子どもの安全を確保することとしています。なお、第一義的には、保護者等が子どもの安全を確保することが重要であると考えています。
子どもポルノ所持の規制に、アニメやマンガ、文章などの創作物が含まれるなら、憲法第21条の表現の自由を侵害する。 本条例では、想像により作製されたアニメやコミック等は、規制対象としません。
憲法違反ではないか。
刑法175条(わいせつ物頒布等の罪)、児童買春・児童ポルノ法7条(販売等目的所持)との関係から、法を超える規制となる。
憲法の保障する内心の自由、プライバシーを侵害する。
   
「子どもポルノ」は、その作成段階において行われた性的同意が成立しない子どもの性交又は性交類似行為等の子どもに対する「強姦」又は「強制わいせつ」等の性的犯罪行為が記録されたものです。このような子どもに対する性的犯罪行為を記録した「子どもポルノ」を閲覧し、又は閲覧することを目的として所持又は保管することは、その性的犯罪行為を容認していることになり、明らかにその性的犯罪行為を助長する行為でもあります。その「子どもポルノ」の所持又は保管を禁止することは、本条例の目的達成のための正当かつ合理的な手段であると考えます。
子どもの成長記録を持つ父母や、取材をするマスメディアも規制されるのか。 刑法第35条(正当行為)に規定する法令又は正当業務行為に当たる場合は、除外されます。それ以外は、社会通念上、個別具体的に判断することとなりますが、通常の子どもの成長記録を撮ることや、正当な取材活動が規制されることはありません。
他人に送りつけられたり、インターネット上で図らずも所持した場合、冤罪となる。 捜査機関において、適正に捜査した上、判断することとします。
密告の奨励である。気に入らない人を簡単に犯人扱いできる。
子どもの写真を撮影(盗撮)する行為が増加しており、インターネットサイトで販売されたり掲示されたりしている。軽犯罪法や迷惑防止条例の隙間をかいくぐった行為であるので、禁止行為に追記すべき。 本条例おいては、より悪質で違法性の強い子どもポルノの所持を禁止します。ご意見については、議論のあるところであるので、今後検討がなされていくものと考えます。
罰則について 通報が義務ならば、義務を果たさなかった人にも罰則があるのか。 本条例においては、通報を行わなかった人に対する罰則は規定しません。
「(仮称)子どもを犯罪の被害から守る条例(案)」の要旨
「(仮称)子どもを犯罪の被害から守る条例(案)要旨」(PDFファイル)