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SET LIST

01.IGNITION,SEQUENCE,START
02.STILL LOVE HER(失われた風景)
03.MAJOR TURN−ROUND I FIRST IMPRESSION
04.MAJOR TURN−ROUND II SECOND IMPRESSION
05.MAJOR TURN−ROUND III THIRD IMPRESSION
06.PALE SHELTER
07.WE ARE STARTING OVER
08.ELECTRIC PROPHET(電気じかけの予言者)
09.MESSAGE
10.CUBE
TO COUNT DOWN


TM NETWORK 『TOUR Major Turn-Round』
2000.12.12(TUE) 大宮ソニックシティホールにて。



 1994年4月21日 TMN “プロジェクト終了”を表明・・・。4001日のTMの歴史は同年5月18、19日に行われた東京ドーム公演2DAYSを最後に幕を閉じた。あの日、会場に集まった5万人以上のファンたちの涙と叫び声を僕は未だに忘れられないでいる。ただファンの耳から離れることのなかった小室の言葉、
「3人が悪巧みをしていたら教えてあげてください」・・・1999年、彼らの悪巧みは各メディアから日本中に知りわたっていった。2000年、TM後初の全国ツアー「Major Turn-Round」のスタート、そして今夜はここ埼玉の大宮ソニックシティホールで彼らのコンサートが行われる。再結成後いくつかの新曲が発表されたが、そのいずれもが過去のTMとは違っていたのは言うまでもないが、本当の変化や進化が確信できるのはステージの他にないと僕は思っている。思い入れの強いユニットなので、通常より多めのテキスト枠で記事を書かせていただくが、感じたことの全てを素直にファンの皆さまに伝えていきたいと思う。

 ステージ上に用意された大きなスクリーンに突如川が流れ出す。その川に太陽の光が反射し、しばらく時間が経つとスクリーンの映像は徐々に河の中へ。まるで本当に会場ごと水の中に潜り込んだような錯覚を受ける。何かを切り裂くような音が聞こえると、先程のスクリーンには何やら数字がはじき出されていく・・・はじまりの予感!向かって左から小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登、その後方には、かつてからのサポートメンバーであり友人の葛城哲哉や山田わたるの姿、今夜は素晴らしい映像と音楽を融合したスタイルで感動を与えるコンセプトのようだが、僕らは、かつての旧友どうしが今こうして目の前に立ち並んでいる姿に何より感動する。ウツ、キネ、コムロ、いずれも一人のミュージシャンとしても充分格好良い人物だが、3人揃うと各々が通常の数倍も刺激的で格好良く見えるのだからバンドやユニットというのは不思議なものだ。

 このツアーは、「Major Turn-Round」はタイトルを見れば分かるように、ニューアルバム「Major Turn-Round」を引っ提げての全国ツアーだ。当然8割方はその新作からのナンバーが披露されるわけだが、この日はアルバムリリース前と言うことで、ファンの誰もが新曲をはじめて聴く形となった。ライヴやコンサートにファンが求めるものは「自分の知っている曲」だったりするのだが、それを叶えてくれる喜びと同等に新曲たちは会場中のファンに鳥肌を立たせていた。バカノリするわけでも、一緒に合唱できるわけでもないのだが、その凄まじさに顔がニヤける。特に顔をニヤけさせたのは「MAJOR TURN−ROUND I FIRST IMPRESSION」〜「MAJOR TURN−ROUND II SECOND IMPRESSION」〜「MAJOR TURN−ROUND III THIRD IMPRESSION」の組曲。60年代〜70年代にかけてアメリカやヨーロッパで市民権を得たあのプログレロックそのものの姿がそこにあった。しかも映像との融合がそのプログレッシブさに拍車をかけ、時には小室と木根のキーボード奏者としての共演(バトルといっても過言ではないプレイ)で驚かせ、今までのTM、いや、日本のポピュラーな音楽ではあり得なかった切り口でウツのボーカルが入ってきたり、正に息を付かせぬ展開と衝撃の嵐!
ここで僕はひとつの確信をした、「TMはめちゃくちゃ格好良く進化をした」。



 新曲で“進化”をファンに十二分にアピールしたTM、しかし、彼らは自己満足で終わる進化を好まない。20世紀が生んだ数々の感動をいつまでも大事にしたいと思っている。それはプログレッシブさと異なるようで同一だったりする。その辺の大人な考え方を感じさせたのは、1994年以前の持ち曲をまるで新曲のひとつのように披露した時だ。まずはオープニングナンバーから「MAJOR TURN−ROUND」の組曲の間に用意された「STILL LOVE HER」、もうひとつは本編の終盤に披露した「ELECTRIC PROPHET(電気じかけの予言者)」だ。懐かしい匂いに目頭が熱くなり、まるで毎日歌い続けていたかのように何年も前の曲の歌詞がファンの口から零れ出す一体感、当然僕もその中にドップリ浸かっていたわけだが、決して“古さ”というものは一切感じなかった。極端な例えをすれば、「今夜披露された全曲をはじめて聴く」という人にとっては、いずれも新しい匂いのする、今までに感じたことのない刺激・・・。「今でも聴ける」というより、「今だからこそ深く聴ける」といった、大袈裟に言うならばビートルズのような要素を持っているユニットであることを痛感した。

 今夜は本編でMCは一切用意されなかった。まるで一本のミュージカルでも見ているかのようなストーリー性がそこにあり、とても途中で「どうもこんばんわ」と言える雰囲気はなかったのは会場の誰もが感じていたかと思う。アンコールの懐かしい曲と曲の間に用意された時間が唯一のMC。相変わらず木根さんはトークがオモロイ!ということはこの日も感じることができました(笑)。まだ、書きたいことは山ほどあるんですが、ツアーはまだ終わっておりません。全てを語るのはその後ということで・・・。

Live Report:Tetsuo Hiraga

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