現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 文化
  4. 記事

さよならポップス界のピーターパン 栄光と奇行と

2009年6月26日21時41分

写真:25日、米ハリウッドにある歩道、通称「ウオーク・オブ・フェーム」には、マイケル・ジャクソンさんの死を惜しむ人びとがともしたろうそくや花束、寄せ書きのノートが並んだ=ロイター25日、米ハリウッドにある歩道、通称「ウオーク・オブ・フェーム」には、マイケル・ジャクソンさんの死を惜しむ人びとがともしたろうそくや花束、寄せ書きのノートが並んだ=ロイター

 25日(日本時間26日)に突然の訃報(ふほう)が世界中を駆け巡り、驚きと悲しみを呼んだマイケル・ジャクソンさんは、5歳から歌とダンスに非凡な才能を示した。11歳のとき4人の兄と出したデビュー曲「帰ってほしいの」や「ABC」が今なお多くのアーティストにカバーされるのは、その愛らしく躍動的な歌唱が多くの人を魅了した表れだ。

 クインシー・ジョーンズがプロデュースした「オフ・ザ・ウォール」で従来の黒人音楽の枠を超えたポップセンスを示し、さらに決定打となる「スリラー」で、白人も含め人種・国境を超えた爆発的な人気を獲得した。

 ジョン・ランディス監督による「スリラー」のプロモーションビデオは映画作品顔負けの完成度で視覚的にも大衆にアピール。巨匠マーティン・スコセッシやフランシス・コッポラとも手を組み、映像と音楽を融合したMTV時代をリードする存在だった。現在日本で人気を博しているジャニーズ系、エイベックス系などの「歌って踊れるアーティスト」の原型はマイケルのパフォーマンスにあるともいえる。

 アフリカの飢餓救済を目指し、世界的トップアーティスト40人以上が歌い上げた「ウィ・アー・ザ・ワールド」の中心人物として、華やかなエンターテインメントを通して社会問題に切り込んだ功績も大きい。

 一連のメガヒットによって黒人の社会的地位向上に大きな役割を果たしつつ、後年はハリウッド的セレブ幻想ゆえか自身の元来の容姿を否定した。ファミリーと力を合わせて世に出ながら、個人のファンタジーの世界に没入したかのような奇行を繰り返し、大衆との溝を深めた。子供という汚れのない存在への愛を抱きながら、虐待疑惑がつきまとった。喝采と批判が入り交じる現実と、タフに折り合いをつけてきたマドンナとは対照的だ。

 突然最期を迎えたかつての「1億枚を売った男」に、米メディアが贈った称号は「ポップス界のピーターパン」。50歳を迎えた天才アーティストの成熟と、奇行の裏にひそむ真意を知る機会が、永遠に失われてしまったことが悔やまれる。(藤崎昭子)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

朝日いつかは名人会ガイド

第5回公演の模様を収録したオーディオブック(音声のみ、有料)をダウンロード販売中です!
落語はもちろん、会場の爆笑を呼んだトークのコーナーを含む全編収録版と、柳家喬太郎「一日署長」だけの真打ち版、あわせて2種類です。詳しくはこちらのページをご覧ください。
オーディオブックの発売にあわせて、ダイジェスト版の動画も、インターネット上に流しています。オーディオブックと同様、こちらのページをご覧ください。