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イタリア:自警団巡視の合法化めぐり南北で温度差 対立も

 【ローマ藤原章生】7月に大統領が調印したイタリア・ベルルスコーニ右派政権による治安法の施行で、自警団による市内巡回が合法化された。だが、これを推し進める北部の自治体に反し、南部は「必要ない」と異を唱え、外国人排斥を招きかねない治安法そのものをめぐる対立が浮上している。

 7月施行の治安法は不法滞在外国人に罰金刑、その協力者に禁固刑を科し、元警察官らが指導する自警団の巡視が合法化された。

 だがナポリターノ大統領は調印に際し、暴力や私刑を招きかねないと、自警団の合法化に懸念を示す意見書を首相や発案者のマローニ内相(北部同盟)に手渡した。

 これを受けマローニ内相は、自警団について(1)地方自治体が認定(2)団員は無給で25歳以上の精神健常者(3)特定の政党や労組、サッカーのサポーターと無関係(4)軍や警察官のような記章や制服、武器の不使用(5)1カ所に徒党を組んで歩けるのは3人まで--など、細かな条件を課した。

 イタリアには、15年前にミラノで発足した「シティ・エンジェルス」(構成員100人)をはじめ、北部を中心に未認定の巡回集団がすでに68ある。

 だが、北部同盟の党員団体など、条件を満たさない例が多い。また中南部では「巡回という形がなじまない」(ローマ市長)、「住民にあつれきを生む」(ナポリ市長)と反発する声が強い。

 左派の野党、民主党やバチカン(ローマ法王庁)は、自警団が増長すれば外国人狩りをする恐れがあると非難している。

 伊レプブリカ紙の調査では、人口10万人以上の全国48市のうち自警団認定に賛同するのは、北部の12市で、残る24市が反対、12市が検討中と答えている。治安法は外国人排斥を目指す北部同盟の政党色が濃く、寛容な中南部が疑問視している形だ。

 中北部のマッサ市では7月末、自警団反対の左派と右派の若者が衝突し、警官3人が負傷する事件も起きた。

毎日新聞 2009年8月13日 13時55分

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