2006/02/01 No.8496

 

水曜日

徳島で初の展覧会 漫画家 竹宮惠子 詳細 >> 

ゲスト出演者 三浦真美さん(県立文学書道館)

竹宮惠子さんへのインタビューなど、以後掲載の予定です

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漫画家をめざしたきっかについて

 

最近のホットラインから 10本足の大根
仙波教授の阿波弁講座 しびる=凍る
うちのペット自慢 *チワワ
なつかしの徳島 *日赤看護学校入試

けさの生け花 

*池坊・中川佐和子さん

 

>詳細

徳島で初の展覧会 漫画家 竹宮惠子

(VTR)
「風と木の詩」や「地球へ・・・」などの名作で知られる徳島市出身の漫画家、竹宮惠子さん。
徳島では初めてとなる展覧会「竹宮惠子の世界展」が県立文学書道館で開催されています。

デビュー前の作品やデジタル複製した原画を展示するなど、見所満載の今回の個展を見ようと県外からも多くの人が訪れています。

*来場者の声

来月3日まで開催される「世界展」を機に徳島が誇る偉大な漫画家の足跡とその作品世界を振り返ります。

(スタジオ)
今、ご覧いただいているのは竹宮惠子さんが描いた漫画の原画をコンピューターで複製したものです。

竹宮さんの絵は繊細だが目が印象的、華やかで緻密で夢があると評されます。
40代、50代の方、懐かしいなあと思いながらご覧になっている方も多いんじゃないでしょうか。

けさは県立文学書道館の三浦真美さんに来ていただきました。

三浦さん、竹宮さんの、絵の特徴はどんなところにありますか?

*竹宮さんの絵について・・・

徳島出身の竹宮さんについて知っているようで知らない方、多いかもしれません。
こちらにプロフィールをまとめました。
竹宮惠子さんは1950年、徳島市生まれの現在55歳。
城東高校に通っていた18歳のとき漫画雑誌「週刊マーガレット」の新人賞に入選、その後、徳島大学教育学部在学中に「少女コミック」に作品を連載するようになりました。
1980年には「風と木の詩(うた)」「地球(てら)へ・・・」で小学館漫画賞を受賞。
デビューから38年の間、漫画界の第一線で活躍してきました。
これまでに発表した作品は150を超えます。
2000年には京都精華大学マンガ学科の教授に就任し次代を担う漫画家を育てるという仕事も始めました。

現役の漫画家でありながら大学教授、教育者でもあるということですね。

三浦さん、今回の世界展は竹宮さんにとって徳島で初めての展覧会とは意外でした。
今回の世界展の見所は?

*初個展ということで竹宮さんの半生を振り返ることにした
*こちらにも展示した原画の複製が見られる

それでは先月、世界展の会場で収録した竹宮さんのインタビューを交えながら竹宮さんの足跡を振り返ってみたいと思います。

(VTR)
竹宮惠子さんは1950年2月23日、徳島市に二人姉妹の長女として生まれました。
おとなしい少女でしたが子どものころから絵が好きでした。

*インタビュー

「紙を与えればおとなしい子ども」

小学1年生のときに描いた絵日記をみるとグランドピアノが立体的に描かれすでに奥行きが表現されています。
絵が好きだった少女が「マンガ」に目覚めたきっかけはある1冊の本との出会いでした。

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*石森章太郎の本「マンガ家入門」
「物語になる興奮」

「どんな苦労をしても、どんな貧乏をしてもやっていくつもりである」

竹宮さんは高校2年生の時、文集に漫画家になる決意を記しています。

*インタビュー

高校時代、竹宮さんの楽しみは高校の友人に自分の作品を見せ感想を聞くことでした。
マンガ雑誌への投稿を繰り返していた竹宮さんの作品はいつも高い評価を受けました。
「これならやれる」
漫画家になりたいという気持ちが高まります。

そしてついに高校3年生のとき「週刊マーガレット」に投稿した作品が入選し掲載されました。
漫画家、竹宮惠子のデビューです。

*インタビュー

しかし、予想以上に原稿の以来が増えつづけました。
竹宮さんはマンガをかくことに集中するため大学を2年で中退し上京します。
本格的な漫画家生活の始まり。

ところが、東京で思うような作品が描けず、3年もの間スランプに苦しみます。

*インタビュー

自分らしいマンガのスタイルを思い悩むうちに竹宮さんは自律神経失調症という病に襲われ体重が40キロを切ってしまいました。

この病気を克服するために、彼女はペンを置くのでなく、今まで以上にマンガを描くことに時間を費やします。
自分で選んだ荒療治。
この結果行き着いた作品がヒット作「ファラオの墓」でした。

*インタビュー

(スタジオ)

大学時代には連載を持っていたという才能あふれる竹宮さんにもスランプがあったんですね。

*三浦さん:スランプについて

このスランプを抜けたことで成長を遂げた竹宮さん、いよいよ代表作となる作品を書き上げます。
竹宮さんの作品について見てみましょう。

(VTR)
「ジルベールこんなことは君にとってほんの火遊びなんだろう?」

「からかったが、どうした?」

「なんてやつなんだ。それなのに、それなのに・・・きみが好きだったよ!」

1976年に発表された「風と木の詩」。
少年同士の愛をテーマとした衝撃的な作品で二人の激しい運命を中心に、彼らを取り巻く人々の人生も描ききった作品です。
構想から発表されるまでに7年の歳月を要しました。
竹宮さんの代表作として知られる永遠の名作です。

*インタビュー

この作品はそれまでの少女マンガの常識を破る作品で様々な賞賛の声が寄せられました。

詩人で劇作家の寺山修二はこの作品の解説の中で
「竹宮惠子の作品は従来のような人形コミックではなく人間のコミックである。
これからのコミックはたぶん「風と木の詩」以後という呼び方で変わっていくであろう。」と絶賛しています。

竹宮さんはこの作品を振り返り次のように語っています。
「私はこの作品の中だけで私は漫画家として完成できたと思う。」

竹宮さんは、同じ時期にもうひとつの作品を少年誌で連載していました。

SF作品「地球(てら)へ・・・」です。
少女漫画家が少年誌にマンガを連載することは画期的なことでした。

*インタビュー

1980年、竹宮さんは「風と木の詩」、「地球(てら)へ・・・」の二つの作品で第25回小学館漫画賞を受賞します。
漫画家としての人気を決定付けた瞬間でした。

(スタジオ)
三浦さん、1970年代後半から80年代にかけて描かれた竹宮さんの二つの作品、どのような作品だったのでしょう。

*(解説)少女漫画家のタブーを破った作品。可能性を広げた

このあとも竹宮さんの活躍は続きます。

1996年、フランスの高級ブランド「エルメス」の社長の依頼を受け日本人にエルメスの歴史を紹介するためのマンガを
描きました。
その名も「エルメスの道」。
そして1998年には徳島の観光PRのため、祖谷地方を取材し平家の落人伝説をマンガ化したりしました。

常に新しい挑戦を続けてきたわけです。
そして2000年にも新しい試み。
京都精華大学マンガ学科の新設に合わせて教授に就任。
漫画家として日本で初めて大学の専任教授となりました。

(VTR)
京都市左京区にある京都精華大学。
人文学部や芸術学部がありおよそ3800人の学生が学びます。
竹宮さんは芸術学部マンガ学科の教授です。
この学科には6倍の競争率を勝ち抜いた、漫画家志望の学生288人が集まっています。
中にはすでにプロとしてデビューしている学生もいます。
人気を集める「マンガ学部」へと昇格することになっています。

竹宮さんは、マンガのストーリー作りを教える「脚本概論」の授業を担当しています。

この日は学生が描いたマンガの下書きを批評しながら授業が進められました。

*授業の様子

竹宮さんは穏やかな口調で時に厳しく批評します。
歯に衣着せぬところが学生達には好評です。

*生徒の声、竹宮教授の声

竹宮さんの研究室のドアはいつも開いています。
授業のない時間には学生や卒業生が次々と訪ねてくるからです。

卒業生が訪ねてきました。
プロとして仕事を始めたばかりの中空さんは、業者からの以来を受けて、京仏壇の製造工程をマンガでを描いています。

*インタビュー

子どもや観光客に伝統産業をわかりやすく解説するためのマンガです。

竹宮さんは教壇に立つ時の気持ちをホームページに、次のように記しています。

「自分がなんでこんなに長いことやってこられたのか、その秘密を教えておきたいだけ。
それを握ってくれさえしたら、あとはみながそれぞれの道を行けるとこまで行くだけだと思ってる。」

(スタジオ)

この大学の卒業生は、プロの漫画家として活躍している人も多いそうです。

漫画家と大学教授。
二足の草鞋を見事にこなしているんですね。

竹宮さんは、大学のある京都と自宅のある鎌倉を行き来しながら生活しています。
教授になってからは、大学の夏休みに集中して作品を描くようにしているそうです。

三浦さんも、展覧会の準備のために竹宮さんにもお会いする機会があったと思いますがどんな印象でしたか?

*トライをやめない方
55歳の今でも知識を身につけ技術を向上させたいと思っている。
向上心の塊。

さて今、徳島で竹宮さんの半生を振り返るための資料、そして、数々の作品の原画や下書きなど貴重な品々を見ることができます。
「竹宮惠子の世界展」は徳島市中前川町の県立文学書道館で3月3日まで開催されています。
入場料は一般500円、高校・大学生は350円、小・中学生は250円です。
小・中・高校生は土・日・祝日は無料です。

けさは徳島出身の漫画家、竹宮惠子さんについて振り返りました。
三浦さん、ありがとうございました。

(VTR)

会場に飾られた一枚の絵。
竹宮さんが去年の秋、この展覧会のために書き下ろした一枚です。

意欲みなぎる大きな瞳はまっすぐ前を見つめています。
この絵を見た人たちは、
今も輝きを失わず、活躍を続ける竹宮さんの姿を思い浮かべることでしょう。

前へ。前へ。
漫画家、竹宮惠子55歳。
まだ足を止めるつもりはありません。

 

 

おはようとくしま 2006年の放送