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研究速報

福岡県西方沖の地震の韓国を含めた震度分布

石川有三
気象庁精密地震観測室

 福岡県西方沖の地震では,韓国の大部分の地域でも有感であったが,日本で流布している震度分布図(例えば「なゐふる」50号)には日本国内の震度しか表記されていない.これでは地震の全体像を正しく理解するには不十分である.国境に近い場所で起きた地震については国際的なデータ収集の重要性をこれまでも繰り返し指摘してきたが(秋・石川,1998,石川ほか,1998,2004),今回もその必要性を痛感した.そこで福岡県西方沖の地震でも北西側の震度情報を得るため,とりあえず韓国気象庁がホームページで公表している震度(http://www.kmaneis.go.kr/depth02/depth02_4n2.htm)を用いて,両国にまたがる震度分布を求めた.韓国気象庁の震度階は,2000年末までは日本の旧気象庁震度階(1949)に準じていた.ただ研究者は,2000年以前からも改正メルカリ震度階を用いており,論文などでも改正メルカリ震度階が使われていた.そのためか,2001年からは韓国気象庁も改正メルカリ震度階を用いるようになった.このため統合して表示するためには気象庁震度階への変換が必要になる.ここでは通常とは異なるが,MM震度から1を減じた値を用いた.将来は,観測波形から正確な計測震度を求めることが望ましい.また,地点については,HPでは地域名と北部,南部などの表記しかされていないので,それらは適当な観測点の位置で代用した.なお,北朝鮮側については,地震観測は行われているもののデータは公表されていないので震度の分布も分からない.

KMAホームページに示されている各地の震度
MM震度
震度4 : 慶尚南道の南東部,慶尚北道の東部
震度3 : 慶尚南北道の西部,全羅南北道,忠清南北道,済州道
震度2 : ソウル,京畿道,江原道の南部

<参考文献>

秋 教昇・石川有三,1998,韓国史料からみた日本の歴史地震―国際協力の重要性(その1.朝鮮王朝実録にみられる1596年慶長地震),東京大学地震研究所共同利用シンポジウム「地震現象の解明と震災軽減のための史料地震学の役割」報告,1998年7月1日,東京大学地震研究所
石川有三・M. Jun・秋 教昇,1998,韓国史料からみた日本の歴史地震―国際協力の重要性(その2.1700年壱岐・対馬の地震の再評価),東京大学地震研究所共同利用シンポジウム「地震現象の解明と震災軽減のための史料地震学の役割」報告,1998年7月1日,東京大学地震研究所
石川有三・秋 教昇,2004,日本と韓国の両国で有感になった地震について,験震時報,68,37−46.

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