過去放送記録

FILE050: 「“あ〜疲れた”の正体」

2008年10月7日放送

 

近藤一博(ウイルス学・免疫学)

人はなぜ疲れるのか?この身近な疑問の正体と疲労の知られざるメカニズムを探る。
「疲労の正体」とそれにまつわるウイルスの研究で世界的に注目されているのが、慈恵医科大学ウイルス学講座の近藤一博教授。
近藤教授は疲労感や欝や不眠、過眠などの症状を伴う病、慢性疲労症候群の原因が人間を自然宿主とするウイルスHHV−6(ヒトヘルペスウイルス6)の再活性化によって引き起こされていることを世界ではじめて突き止めたウイルス学者。
HHV−6は人間のすべてが幼児期に感染、その後脳内などに潜伏し、ヒトになんの害も与えないと考えられていた。この発見によって、HHV−6が疲労と密接な関係のあることがわかり、そこから近藤教授は疲労物質そのものも世界に先駆けて発見した。
さらに、HHV−6の持つ特有の遺伝子とウツ病との関連性も発見し、疲労が及ぼす心の病への影響を解明した。
いまもっとも忙しい爆笑問題はどれだけ疲れているのか?近藤教授によって二人の疲労度が明らかにされる。そして過労死のメカニズムやHHV−6の不思議な生態をめぐって爆笑問題とのトークが炸裂する。


近藤一博(こんどうかずひろ)
慈恵医科大学ウイルス学講座教授。大阪大学医学部卒業。私たちとなじみの深いウイルスHHV−6(ヒトヘルペスウイルス6)と疲労との関係を追い続け、疲労伝達物質を世界で初めて発見した。さらに精神と肉体の混合疲労など、より複雑な疲労の仕組みを発表し世界から注目を集めている研究者。爆笑問題のデビュー以来からの大ファン

今回の対戦内容

近藤一博(こんどうかずひろ)/爆笑問題(太田/田中)


太田:たまに休みがあって、家にいたりすると、そっちの方が疲れたなって感じになるんですけど。
近藤:普段忙しくやっていると、忙しくやっていない時は疲れていないんだけど、たまに休むとドッと疲れるでしょ。だから、太田さんなんか、それが嫌で休まないでしょ。そういう人多いんですけど、それ、典型的に過労死に陥るパターン。
田中 :そうだろうね、でも確かにね。
太田:休んだら余計に疲れるならどうすりゃいいんですか。
近藤 :脳の中がようやく、多少こっちがまともになってきて、体の疲れがまともになってきて、ようやく脳が回復して、それで疲れているっていうことがやっと感じられるようになったってい うやつですよ。
太田:不感症だ。
田中:不感症だよ。感じられるっていうのは、実はもう回復しているっていう証拠だ。
近藤: 正座してずっと長く座っていると、足別に痛くないでしょ。一番痛いのは崩した時でしょ。
太田:ああ、そうかそうか。麻痺しちゃう。
近藤:麻痺しちゃっているから感じないけど。で、ちょっと崩して、血が流れ出すじゃないですか。やっと。あれでずっと正座し続けていたらだんだん死んじゃうわけ。それと似ているんです。
太田:そっちの方が調子がいいんですよ。
田中:調子いいんだけど、それがあと数年で例えば死んでしまうみたいなことなわけですね、言ってみればね。
太田:いやあ、おれは先生の方が早く死ぬと思う。
田中:どっちってそういう勝負じゃねえから、別に。
太田:おれ、過労死すると思う? 絶対死なないと思うんだよ。
田中:だからそう言っているやつがなるっていう話だから。楽しんで仕事をやって、ストレスなんかないもんって言っているやつの方が、過労死するっていうことなんじゃない?
太田:本当にそうですか?
近藤 :統計的に今のような研究からすると。
田中:世界一なんですよ、先生は。
太田:うそですよ。
田中:だからそれを信じないやつが、更に。おまえ、あした死ぬわ、多分。このまま行くと。
太田:本当かなあ。

先生の対戦感想

近藤一博(こんどうかずひろ)


とにかくファンだったので、お会い出来てすごくうれしかったですけれども、太田さんやっぱりすごく突っ込みがすごくて、かなり疲れました。
普段我々があまり着目しないようなところに、かなり鋭い突っ込みが入りましたね。
1週間ぐらいかなり緊張していたので、今、唾液検査をしたらHHV6の量はかなり上がっているんじゃないかと思います。

爆笑問題の対戦感想

田中:随分。話は分かりやすかったね、最後の方はいろいろあったけど、言っていることは分かりやすい感じだった。ただ、確かに数値でね、いろいろやっていくんだけど、今日も唾液から取られた数値、一応それが元になっていろいろ判断をされたけど、それがどこまでね、信用出来るのかね。
太田:要するに自覚の部分に関しては、こっちの体の数字が細かい分子レベルまで行っているのだとすれば、質問ももっと100問ぐらいやって、頭が痛いですかとか、腰はどうですかとかっていう、単に疲労を感じますかっていう部分の言葉の大ざっぱさが、恐らくあっちとバランスが取りにくいのかなと思ったね。
田中:ちょっとそういうことは考えさせられるようなところがあったけど、言っている内容はすごく僕は分かりやすかったよね、先生が言っている内容は。
太田:おれが疲労を感じていないって本当に言い切れるのかというと、疲労っていう意味では、おれは疲労を感じていますかと聞かれれば、感じていないって言うんだけど、じゃあ頭痛はしますかとか、おなかが痛くどのぐらいの頻度でなりますかとか、筋肉痛はどうですかとか、寝覚めはどうですかとかね。何かそういうことで細かく区切っていったら、もしかしたらおれは疲労を感じている方になるかもしれないじゃない。そのギャップで判断するんだったら、もっと厳密にやらないと駄目なのかなっていう気がしたけどね。
田中:でも、メタボじゃないっていうところが、オチとしては面白かったなと思って。先生がメタボじゃないっていう数字は信用していいのかっていう話になると、疑わしい気はするよね。ぜったいメタボだね・・・。

ディレクター観戦後記

「世界でもっとも頭の悪いウイルスですら、世界でもっとも頭の良い学者より賢い」。取材前に近藤教授が語ってくれたこの言葉が、いまは実感できるようになりました。
人間が疲労した時にもっとも早く感知するHHV−6というウイルス、そしてなんと体内から逃げ出そうと活動をはじめるという。そんなウイルスに誰しもが感染しているという事実を一体どれだけの人が知っているのだろう。さらには、HHV−6は感染すると真っ先に脳を目指すのだそうです。なぜなのか?近藤教授のあくまでも推論という前置きで語ってくれたのは、もっとも早く疲労を感知するのに脳がもっとも合理的な場所だという説でした。推論ではありますが、合点がいきます。HHV−6ならやりかねない、そんな賢さを感じます。今回でウイルスは2本目。感染症ウイルスの過激さとHHV−6のしたたかさ。考えればかんがえるほど、ウイルスは不思議な存在であります。

プロデューサーの編集後記

どーも、番組中で「最も疲れている」と判定されたMです。まさか今日本で最も忙しい漫才師、爆笑問題さんより疲れているなんて!・・・・。ただ私の場合、仕事でというより間違いなく日頃の不摂生のせいだと思います。反省!
「なんとなく疲れた」は気の問題ではなかった。疲労伝達物質なるものがあり、それを敏感に察していたのが、人体の中で何の役割も持たないと思われていたウイルスHHV6だった!・・・。疲労の正体を見破った近藤先生の研究は、学問界で「旬」の事件です。そしてこの発見に続く思考の連鎖こそが、近藤先生ならではのものだと思いました。
○もしかするとこれまで「気もちの問題だ」として片付けられていたことで、実はウイルスのしわざであることが他にもあるかもしれない。
○疲れがたまっている時にこそ何かがひらめいたりすることがある。HHV6というウイルスは、疲労を感じるだけでなく、何か「ひらめき」のカギを握っているのでは・・・。
 こうした思考のプロセスは、科学的なものと文学的なものが幸福に入り混じっているようです。近藤先生とお話ししましたが、お笑い、テレビ、マンガ、音楽と様々な分野にアンテナがはりめぐらされている方だとお見受けしました。異分野へのたくさんのチャンネルが、様々な角度の発想を生んでいるのかもしれません。
みなさまはこんな経験ないでしょうか?私たちテレビの制作現場は佳境になると毎日深夜までかかったり、徹夜をすることもあります。スタッフが睡眠不足で疲労が限界に来た時、それが起こります。突然、くだらない冗談でバカ受けしたり、ふと浮かんだアイデアがものすごい名案に思えたりするのです。
そして翌日、なぜあんなにいいと思ったのか全くわからない。

あれは、大量のHHV6ウイルスがいたずらをしてるんですね。うん、きっとそうだ。

つぶやき


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