電撃大賞受賞作のアクションファンタジー「アクセル・ワールド」(川原礫著、HIMA画)

 話題の小説の魅力を担当編集者が語る「編集部に質問状」。今回は、電撃文庫大賞受賞作で、いじめられっ子の中学生が仮想空間でヒーローとなり、伝説の戦士として活躍するアクションファンタジー「アクセル・ワールド」(川原礫著、HIMA画)です。アスキー・メディアワークス電撃文庫の三木一馬さんに話を聞きました。(回答はほぼ原文のまま掲載)

 −−「アクセル・ワールド」とはどんな作品ですか。

 舞台は近未来。太っていて内向的な中学生のハルユキは、学内のエリート少女「黒雪姫」との出会いによって、その人生が一変します。少女が転送してきた謎のソフトウェアを介し、通常の1000倍の速度で進む「加速世界」の存在を知ったハルユキ。中学内格差(スクールカースト)の最底辺にいる彼も、その世界では「シルバー・クロウ」と呼ばれる華奢(きゃしゃ)なレア・アバターに姿を変えます。仮想現実の中で巻き起こるハイスペックバトルを中心に、「いじめられっ子」であるハルユキが、少女を守る騎士「バーストリンカー」として成長していく……そんな青春ストーリーです。黒雪姫の優雅な美しさ、それに隠された可愛らしさに存分にもだえていただき(笑い)、内向的だったハルユキが困難を乗り越えながら成長していくところを読んで、熱くたぎってください! おすすめです!

 −−作品が誕生した経緯は。

 作者の川原さんは、以前から自身のサイトで「ソードアート・オンライン」(SAO)というオリジナル小説を発表しており、実力は折り紙付きでした。さらに、別のペンネームで小説投稿サイトにも作品を発表しており、それが本作「アクセル・ワールド」でした。そして、その原稿を川原さんが第15回電撃小説大賞に応募され、「大賞」を受賞して出版された……という経緯です。さまざまなジャンルや特徴を持つ小説が応募されてくる電撃小説大賞の中で、真正面から突破して“頂点”をもぎ取った本作は、まさに王道のエンターテイメントでした。余談ながら編集部内では、川原さんの担当を希望する編集者が殺到したのですが、幸運にも自分が担当させていただきましたので、「他の編集者の方がよかったよな」と思われないよう、より面白く、売れる本にしようと心掛けています。

 −−作者の川原さんの人柄などについて教えてください。

 とにかく恐ろしいくらい謙虚な方です。打ち合わせ中もお互い平身低頭で、「すいません」「いえ、すいません」「いえいえ、こちらこそすいません」「いえいえいえ……(以下略)」と無限ループです(笑い)。ただ全体的には、川原さんのご意見を尊重して打ち合わせを行っています。とにかく、こんな感じですごーく腰低い人です! あと趣味の自転車が超速いです。やばいです。走行中は多分ブレインバーストがインストールされているんだと思います。

 −−イラストにHIMAさんを起用した理由は?

 元々はマンガ誌「電撃萌王」でイラストをお描きになっていて、それを見て決めました。絶対にこの人しかいない!と思いましたので、無駄に気持ちのこもった暑苦しいメールと電話をした覚えがあります。HIMAさん、あの時はすみませんでした。そして幸運にもご快諾いただき、現在に至ります。HIMAさんを起用したポイントとしては、「今まで文庫の挿し絵を担当したことがない」かつ「黒雪姫を最も可愛く描く」ことができる絵師さん、という感じです。これは編集としては(言葉は失礼ですが)うれしい誤算だったのですが、いかつい「デュエルアバター」や「バトルフィールド」などもHIMAさんによって実に巧みに表現してもらいまして、こちらは大変助かっております。ちなみに川原さんはマンガ家でもあったので、キャラ設定資料は川原さんが描いたイラストでもらっています。

 −−読者にひと言お願いします。

 川原さんは昔からネットでオンライン小説をずっと書き続けてきた作家さんですので、その時代からのファンがたくさんいらっしゃいます。川原さん自身も「彼ら(ファンが)がいなければ今の自分は無かった」と公言されています。そのファンを裏切らないよう、できるかぎり川原さんの意見をくみ取って作品作りをしていきますので、どうぞ今後発売される電撃文庫を楽しみにしていてください! もちろん、受賞によって本作を知った読者の皆さんや今ここで初めて知った方も、全然遅くはありません。ぜひ「アクセル・ワールド」を読んで楽しんでください!

 最後に余談ながら、川原さんの別シリーズ「ソードアート・オンライン」も、abecさんをイラストレーターに迎えて電撃文庫で刊行していますので、合わせてよろしくお願いいたします。こちらの作品は、「オススメのオンライン小説は?」と聞かれたとき「有名すぎて逆に『SAO』は紹介しない」といわれるほど質の高い作品です。

アクセル・ワールド」 川原礫著 HIMA画 電撃文庫