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【ハウツー】

「革命シリーズ」で新SSD環境 -「HD革命/CopyDrive Ver.3 for Windows7」でSSDに換装する

2010/05/20

沢渡和希

    「SSDのすゝめ」

    「ちょっとした投資で現行のコンピュータをパワーアップさせたい」と考えているユーザーに大人気なのが、Flash SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)である。2.5インチのきょう体にフラッシュメモリを搭載し、HDDと同様の感覚で使用可能ながらも、圧倒的なアクセススピードを持ち、Windows 7のパフォーマンスを著しく高める優れものだ。

    一般的なSSDには、SLC(Single Level Cell)タイプと、MLC(Multi Level Cell)タイプの二種類が存在するものの、一般的に普及しているのは比較的安価な後者。詳しくは後述するが、SLCタイプは書き込み速度の書き換え可能な上限回数が大きいため、本来はこちらの方が優れているものの、購入価格もMLCタイプの数倍と個人用コンピュータに用いる場合、MLCを選択することになる。まずはSSDの長所から見ていこう。

    SSDが持つ最大の長所は、その構造から生み出される静音性とパフォーマンス。SSDは物理的な可動部分がないため、HDDのような騒音や可動部分に起因するような故障が発生せず、プラッタ(磁性体を塗布した円盤)に対してアクセスを行なうHDDと異なり、直接フラッシュメモリに対して読み書きを行なうことで、圧倒的なパフォーマンスを実現している。このほかにも物理的駆動部分が存在しないことから発熱性も低く、消費電力も比較的低い。バッテリ駆動時間も若干ながら延長されるのは、モバイルコンピュータユーザーには大きなメリットとなるだろう。

    その一方で、短所となるのが書き換え可能回数の上限。前述のとおりSSDはフラッシュメモリをストレージデバイスとして見なし、メモリ上で読み書きを行なっているが、記憶素子(記憶し保持する役割を担う半導体回路)には、書き換え回数の上限が設けられている。この上限を超えた領域は、不良回避用に用意された冗長記憶領域と交換することで問題を回避しているが、SSDをHDDのように長年使い続けることは難しくなる。もっともHDDですら「いつか壊れるデバイス」であることは違いないため、パフォーマンスを取るか安全性を優先するか、と割り切るべきだろう。

    もう一つのデメリットとして、記憶容量あたりの単価が高い点があげられる。当然価格差はあるが現在2TB HDDは12,000円程度で、GB単価に直すと約6円となる。Intel製メインストリームSSDの場合、80GBモデルで約2万円。GB単価に直すと260円程度と43倍もの価格になってしまう。また、近年登場した新しいデバイスなので、前述の書き換え可能回数の上限問題やパフォーマンス低下を防ぐための処置がOS側に求められる。現時点でSSDサポートを表明しているのはWindows 7のみでだ(Chrome OSもSSDのサポートを表明しているが、正式にリリースされたOSではないため、カウントには含めていない)。

    このように長短併せ持つSSDは、現時点で強く安定性を求めるユーザー向けではないものの、その速度や消費電力など十二分に魅力的で現行のコンピュータをパワーアップできるデバイスであることは明確である。そこで今回はHDDからSSDへの換装を行ない、市販ソフトウェアを交えたSSD環境の構築にチャレンジしてみよう。

    HDDの内容をコピーする

    SSDの導入シナリオは、コンピュータの使用環境によって様々なものがある。あらかじめHDDをイメージファイル化し、SSD接続後にディスクイメージを書き戻すというものや、移行するファイルはユーザーが作成したデータファイルのみというケースもあるだろう。しかしここでは、もっとも単純かつ簡単なディスク間のコピー操作を解説しよう。

    この手の操作を行なうツールは数多く存在するが、初めてディスク換装を行なうユーザーにお勧めなのが、「HD革命/CopyDrive Ver.3 for Windows7」(以下、HD革命CopyDrive)である。文字どおりコンピュータ初心者にもわかりやすい操作性を持ちながら、細部までこだわって作成されたHDDコピーツールだ。スケジュール設定を行なえば、指定した日時にHDD全体のコピーが実行できるバックアップツールとしての機能や、デバイス障害の早期発見のため、HDDに搭載されているS.M.A.R.T.情報を取得して、稼働時間や温度から健康状態を表示するメンテナンスツールとして機能なども併せ持つ。

    なお、HD革命CopyDriveは自身をインストールして使用する方法と、製品CD-ROMから起動し、Windows PE環境で使用する方法の二種類が用意されているが、Windows PE環境では全セクタのコピーやスケジュール機能を用いたコピー機能は使用できない。

    まずはコンピュータにHD革命CopyDriveをインストールし、必要なデバイスドライバを有効にするため、コンピュータを一度再起動。HD革命CopyDriveを起動し、「コピー元ハードディスク」でHDDを、「コピー先ハードディスク」でSSDを選択する。なお、ここではコピー方式の選択が可能だ。EWF方式とはEnhanced Write Filterという書き込み関するパフォーマンスを改善するためのロジック。通常はこちらを選択するが、一時ファイルを作成するためコピー元HDDに300MBの空き容量と、コピー元HDDの使用容量1GBに対して1MBのメモリが必要となる。もっとも後者の制限はあくまでも使用容量なので、HDD容量が120GBでも実際の使用量が30GB程度ならば、必要なメモリは30MBとなるので、それほど神経質になる必要はない。

    リブート方式とはコンピュータを再起動し、Windows 7が起動する前の状態でコピーを行なう方法。メリットとしてディスク全体のセクタを対象にコピーを行なうことが可能なので、コピー元となるHDDをホストドライブとして使用し、外付けしたSSDにドライブコピーを行なう際に有用な方式だ。今回は別のコンピュータにHDDおよびSSDを接続してコピーを行なっているため、EWF方式を使用しているが、前述のような条件でコンピュータを使用している場合や、HDDにエラーが発生している場合、こちらの方式を用いて全セクタのコピーを行なうとよい(図01)。

    図01 HD革命CopyDriveを起動したら「コピー元ハードディスク」でHDDをクリックし、「コピー先ハードディスク」でSSDをクリックする

    デバイスの選択を終えると、ドライブコピーの条件が視覚的に表示される。HDD→SSDというシナリオを想定すると、HDDの方が容量が大きく、SSDの方が容量も小さくなるのが一般的。HD革命CopyDriveには容量の小さいデバイスに縮小コピーを行なう機能が備わっているため、今回のようなケースでは自動的に<コピー先にサイズを合わせる>のチェックが有効になるので、細かく気にする必要はない(図02)。

    するとコピー元およびコピー先デバイスの状態が表示されるので、そのまま<次へ>ボタンをクリックする

    一連の準備を終えるとチェックディスクの実行をうながされる。これはコピー元となるディスクエラーがないか事前に確認するというものだ。<ファイルシステムエラーを自動的に修復する>にチェックを入れ、ディスクチェックを実行しよう。また、HDDに読み書きエラーが発生した経験がある場合、<不良なセクタをスキャンして、回復する>にチェックを入れることをお勧めしたい。ただし、ディスク全体のセクタスキャンはかなりの時間を要するので、空き時間を確保してから実行しよう。あとは画面の指示に従って薦めればドライブコピーが実行される(図03〜05)。

    図03 最初にディスクチェックをうながされるので<ファイルシステムエラーを自動的に修復する>にチェックを入れてから<開始>ボタンをクリックする

    図04a ディスクチェックを終えればドライブコピーの準備完了。

    図04b<開始>ボタンをクリックすると確認をうながすダイアログが表示されるので<はい>ボタンをクリック

    図05 これでドライブコピーが実行される。所要時間は接続形式によって異なるがUSB接続を併用する場合、30分程度はかかると思った方がよい

    ドライブコピーを終えると、完了を示すメッセージが表示される。ドライブを認識させるために<はい>ボタンをクリックし、コンピュータを再起動し、ドライブコピーが正しく完了していることを確認したら、HDDからSSDへの換装を行なおう。方法はお使いのコンピュータによって異なるので、詳しくはコンピュータに付属するマニュアルを参考にして欲しい(図06〜07)。

    図06 完了を示すダイアログが起動したら、<はい>ボタンをクリックしてコンピュータを再起動する

    図07 コンピュータの電源を切ってから、HDDからSSDへの換装を行なう

    SSDからHDDと同じ環境が正しく起動すれば作業完了となる。ご覧のようにHDD→SSDの換装はさほど難しいものではないが、データを直接操作するため、細心の注意を払って実行して欲しい。


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