阿智村出身の写真家で童画家の熊谷元一(くまがい・もといち)さんが6日夜、老衰のため東京都内の介護老人保健施設で死去した。101歳だった。自宅は東京都清瀬市野塩1―168。通夜は11日午後6時、告別式は12日午前10時半から、東京都東久留米市大門町1―3―4の浄牧院大空会館で執り行う。喪主は長男でブックデザイナーの熊谷博人(ひろと)氏。
旧制飯田中学を卒業後、小学校勤務のかたわら描いた童画が、童画家の武井武雄氏に認められ、数々の児童誌や教科書に作品を掲載する一方、武井氏の勧めで子どもの写真や農村記録写真の撮影も開始。教え子の表情をとらえた写真集「一年生」で第1回毎日写真賞を受賞した。
小学校教員を退職した1966(昭和41)年に清瀬町(現清瀬市)に転居したが、その後も阿智村の記録写真を撮り続け、88年に昼神温泉郷に完成した「村立ふるさと童画写真館」(現熊谷元一写真童画館)には、記録写真のネガフィルム約5万点を寄贈。93年に同村の名誉村民となり、94年には地域文化功労者の文部大臣表彰を受けている。
村が98年から始めた「熊谷元一写真賞コンクール」の表彰式には04年まで訪れていた。