2011年05月29日

映画:『レッド・バロン』を見る

 5月21日(土)に公開が始まった映画『レッド・バロン』を有楽町の丸の内ルーブルまで見に行ってきました。

 この映画は第一次世界大戦にドイツ陸軍航空士官として参戦し、80機の連合軍機を撃墜したマンフレート・フォン・リヒトホーフェンの戦いの記録を描いたもの。

 内容が地味なせいか、最初から2週間の限定公開だったため、あわてて出かけたのですが、空中戦シーンは迫力があったものの(ただし、CGを使っているせいもあり、複葉機の飛び方は、どこかジブリ的な雰囲気もある)、内容については、ちょっとノリが悪かった。

 俳優に馴染みがないせいか、誰が主人公なのか理解できるまでに時間がかかった。小池一夫先生の『キャラクター新論』にも書かれているが、映画の場合は、俳優でキャラの認知がすぐできる。しかし、馴染みのない俳優の場合はマンガと同じで、「キャラ起ち」を早めに、かつ明確にやってくれないと、物語への没入に時間がかかる。登場する俳優の顔立ち、背格好、服装などが、もう少し個性的だったら、もう少しわかりやすかったかも……というのは顔の見分けがつかない日本人観客だからか?

 それにしても航空映画は、短期間で終わってしまうなあ。単館公開のせいもあるけれど。

『ダーク・ブルー』『アメリア永遠の翼』も……。

 三枚翼のフォッカーDr.Iの空戦シーンも含め、航空映画としては悪くありません。飛行機ファンの方は、お早めに。東京での公開は6月3日(金)までです。



  

Posted by すがやみつる/菅谷充 at 17:09テレビ/映画/特撮

2011年05月25日

読書『伊上勝評伝 昭和ヒーロー像を作った男』

仮面ライダー・仮面の忍者赤影・隠密剣士……伊上勝評伝 昭和ヒーロー像を作った男仮面ライダー・仮面の忍者赤影・隠密剣士……伊上勝評伝 昭和ヒーロー像を作った男(井上敏樹・竹中清/徳間書店/2011年2月刊/2,300円)

 昨日、読了した本。途中まで読んでいたのですが、修士論文があったり、震災があったりで、なかなか読めずにおりました。『隠密剣士』や『仮面ライダー』『人造人間キカイダー』などの脚本を書いていた伊上勝氏の評伝です。

 テレビ版『仮面ライダー』の脚本は、ほとんど目を通していましたが、この本に書かれているとおり、アクションなどは現場にまかせるようなものが多かったかなあ。あまり強い印象がないのは、本当に目を通すだけに終わっていたからです。というのも、ぼくが描いていた「テレビマガジン」や「冒険王」の『仮面ライダー』は、キャラクターのデザイン画だけを見て、ストーリーは勝手に作っていたからです。他の特撮テレビ番組やアニメのコミカライズ作品が、テレビ局や制作プロとの関係で、脚本に沿ったストーリーにしかできなかったのに対し、こちらは原作者のお膝元にいたせいで、たとえば「冒険王」あたりですと、1話にショッカーの怪人が3体も4体も出てくる大盤振る舞いをすることができました。

 当然、脚本に沿ったストーリーなんかできるわけがありません。怪人の能力まで改変してオリジナルのストーリーを作るわけですが、当然、オリジナルのアイデアも必要になります。動物や昆虫の図鑑をながめたりして、うんうんとうなりながら怪人の性格づけをしたものですが、これが、その後のオリジナル作品を組み立てていくうえでの勉強になりました。

『仮面ライダー』が途中から幼児向けの様相を強めたこと(本書にも出てくるショッカーの幼稚園バスジャックなど)も、参考にしなかった一因だったかもしれません。こちらは、もう少し上の年齢層を想定していたからです。

 伊上氏のことは、脚本を通じてしか存知あげませんでしたが、いかにも昭和の脚本家という感じでしょうか。ご子息の井上敏樹氏が書かれたところが、やはり圧巻でしたが、あのような父親は、昔は多かったのではないでしょうか。ぼくの父も似たようなものでした。

 インタビューには、東映の平山亨、阿部征司両プロデューサーという懐かしい方々も。5/1に出演したトークイベント『石ノ森章太郎スピリッツ』では、平山さんの息子さんもゲスト出演してくれました。

『遊星王子』『怪傑ハリマオ』『隠密剣士』『光速エスパー』……子ども時代の方がお世話になっていたのかも。ちなみに「平成ライダー」は、わかりません(;_;)。

  

Posted by すがやみつる/菅谷充 at 15:29本/雑誌

2011年05月24日

読書:『小池一夫のキャラクター新論』

『小池一夫のキャラクター新論 ソーシャルメディアが動かすキャラクターの力』
『小池一夫のキャラクター新論 ソーシャルメディアが動かすキャラクターの力』
(小池一夫/小池書院/2011年5月25日刊/1,260円)


 昨年、このブログで小池一夫先生の『人を惹きつける技術』(講談社プラスアルファ新書)という本を紹介させていただきましたが、その紹介を読んで直接アマゾンで購入してくださった方が14名もいらっしゃり、昨年、このブログを通じて売れた本の第3位にランクされました

 ぼくがブログで紹介させていただいたことは小池先生もご存じだったようで、Twitterでツイートされておりました。

 そんなご縁からなのか、このたび、小池先生の新刊『小池一夫のキャラクター新論 ソーシャルメディアが動かすキャラクターの力』(小池書院/2011年5月25日刊/1,260円)を版元の小池書院をご恵送いただきました。

 3月から4月にかけて中止か延期になっていた仕事が、ここに来てまとめて再開されたため、目先の仕事に追われて届いた本を読めずにいたのですが、昨日、ようやく手にとりページを開いてみたら、そこからはノンストップ。一気呵成に読了しました。

 いや、その前に驚いたのが、表紙が初音ミクだったこと。「ツンデレは俺が創った!?」という帯のコピーは、Twitterで話題になったので、「ああ、あのことだな」と思いましたが、初音ミクの方は予想外。「どうなってるの?」と興味シンシンで読みはじめたわけですが、いやあ、すごい。近頃、キャラクターやインターネットにまつわる新しい潮流やビジネスの本が大量に出版されていますが、この本1冊で間に合ってしまう感じです。

 第1章から第2章にかけては、小池先生のキャラクター論。これだけキャラクターの創り方が凝縮されていれば、ほかの本は不要かもしれません。『キャラクター原論』などで何度も接している理論なのに、あらためて読みふけってしまいました。これは描き手としての心情ですね。キャラクターと「キャラ」の違いも、単刀直入でストンと腑に落ちます。

 圧巻なのは第3章「ソーシャルメディアとキャラクターの世界」、第4章「キャラクター思考のススメ」。ここでビックリなのは小池先生の新しいメディアに対する積極性と、しかも、あっというまに馴染み、そして、本質を見抜いている点だ。CGMやフリーミアムといった言葉に振りまわされている「週刊東洋経済」や「週刊ダイヤモンド」を愛読するオジサンたちも多いと思うのだが、そんな方たちは、この本1冊読めば、たぶん、「ああ、そういうことだったのか」と理解できちゃうところもあるはずです。

 しかし、小池先生が若いのにも驚き。若いというのは新しいメディアに対する感性についてです。すっかり溶け込み、しかも使いこなしていらっしゃる。ぼくは60歳ですが、マイコン時代からコンピューターに触れ、コンピューター・ネットワークにも創成期から身を投じてきました。そのおかげで世界に目が向き、一種の覚醒状態になって、マンガから離れてしまったようなところがあります。そんな意味では年齢の割にデジタルにも抵抗がありません(抵抗がないどころか、デジタルじゃなきゃイヤだ、みたいなところもある)。

 でも、60歳でぼくのようなマンガ家は異色の存在で、極めて少数派であることも自覚しています。まあ、最近でこそ同年代のマンガ家や編集者も、メールくらいは当たり前に使う時代になりましたが、でも、同年代あたりでSNSやCGMに親しんでいる同業者は、あまり多くありません。年長のマンガ家で、いちはやく、この世界に親しんでおられたのは平田弘史先生くらいだったでしょうか。そんな意味でも、小池先生の若さに感服です。

 ところで、この本、「ニコニコ生放送」で放映された『小池一夫のニコニコキャラクター塾』のDVDもフロクについているんです。『シグルイ』の山口貴由さん、ゲーム『桃太郎伝説』『桃太郎電鉄』のさくまあきらさんとの対談が収録されていて、こちらも見応え・聞き応えがありました。これで税込1,200円というのは、破格のお買い得ではないでしょうか。

 DVDを視聴していて思ったのですが、小池先生主宰の「劇画村塾」は、トキワ荘や大泉サロンを大規模にしたような「場」だったんだなあ……ということです。いまの同人誌は、こんな「場」の役割を果たしているのかなあ……?

 というわけで、この本、マンガ家・小説家・ゲーム作家……といったクリエイター志望者だけでなく、デジタルの世界が見通せないで困っているビジネスマンの皆さんにもオススメです。とりわけマンガ家・ライトノベル作家を志す人は、この本に出てくる「キャラクターボックス」を、自分の作品のチェックシート代わりに使ってもいいかもしれませんね。ぼくも、使わせていただきます(^_^)。


  

Posted by すがやみつる/菅谷充 at 14:03マンガ/アニメ

2011年05月21日

落語:古今亭菊之丞師匠芸歴20周年記念公演

『古今亭菊之丞芸歴二十周年記念公演チラシ』 あたくしがサイトを管理している落語家・古今亭菊之丞師匠が、今年の秋、芸歴20周年になるのを記念して、日本橋の三越劇場で記念公演を開くことになりました。

 詳細については、画像をクリックしてください。「古今亭菊之丞さいと」の「お知らせ」ページにジャンプします。予約についての案内もあります。


  

Posted by すがやみつる/菅谷充 at 19:21落語/お笑い

2011年05月18日

『マンガが人に与えるポジティブな影響』の発表はマンガ学会で

 3月19日に登壇予定だった日本パーソナリティ心理学会の公開シンポジウム『マンガが人に与えるポジティブな影響』のために、一般のマンガ読者の皆さんが、どのようなマンガに影響を受けたかを知りたくて、こちらのブログとTwitterを通じてアンケートを実施させていただきました

 おかげさまで3日ほどで363名の方が協力してくださり、貴重なデータを集めることができました。ご協力いただいた方々には、あらためて御礼申し上げます。

 ところが、この結果を集計し、分析を終えたところで東日本大震災が発生したため、残念ながらシンポジウムは中止となってしまいました。

 その結果、ご協力いただいたデータの発表の場もなくなってしまったのですが、貴重なデータでもあるので、7月初旬に高知市で開催される日本マンガ学会大会のポスター発表の場において、アンケートの分析結果を発表させていただくことにいたしました。

 また、アンケートの分析結果は、マンガ学会大会での発表後、このブログでも公開させていただきますので、しばらくお待ちください(画像は解析結果の一部です)。

 日本マンガ学会第11回大会(高知大会)は、7月2日(土)~3日(日)の2日間、高知市文化プラザかるぽーと(高知県高知市)において開催されます。マンガ研究の成果を発表する口頭発表、およびポスター発表は7月2日(土)に行われます(すがや〈菅谷〉は口頭発表も行います)。

 詳細なプログラムなどは、マンガ学会の告知ページをご覧ください。

まんが甲子園20回記念関連事業 日本マンガ学会第11回大会(高知大会)

 ……あらら、長谷川法世さんも出るんだ。お久しぶりです。いま気がついた。

 高知出身のマンガ家だったら、西谷祥子さん、安倍夜郎さんも……。あ、でも、地方を舞台にしたマンガは描いてないのかな? 安倍さんは『山本耳かき店』が地方を舞台にしていたけれど……。

  

Posted by すがやみつる/菅谷充 at 12:10マンガ/アニメ