第051回国会 科学技術振興対策特別委員会宇宙開発に関する小委員会 第2号
昭和四十一年五月十一日(水曜日)
   午後二時四十八分開議
 出席小委員
   小委員長 中曽根康弘君
      西村 英一君    岡  良一君
      田中 武夫君    原   茂君
      山内  広君    内海  清君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       田川 誠一君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   小林 貞雄君
        総理府技官
        (科学技術庁研
        究調整局長)  高橋 正春君
    ―――――――――――――
三月二十三日
 小委員内海清君同日委員辞任につき、その補欠
 として佐々木良作君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
同日
 小委員佐々木良作君同日委員辞任につき、その
 補欠として内海清君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
同月三十日
 小委員山内広君同日委員辞任につき、その補欠
 として西宮弘君が委員長の指名で小委員に選任
 された。
同日
 小委員西宮弘君同日委員辞任につき、その補欠
 として山内広君が委員長の指名で小委員に選任
 された。
四月十三日
 小委員内海清君同日委員辞任につき、その補欠
 として稲富稜人君が委員長の指名で小委員に選
 任された。
同日
 小委員稲富稜人君同日委員辞任につき、その補
 欠として内海清君が委員長の指名で小委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 宇宙開発に関する件
     ――――◇―――――
○中曽根小委員長 これより宇宙開発に関する小委員会を開会いたします。
 宇宙開発に関する件について調査を進めます。
 本小委員会は、本年二月十日設置されてより、関係各方面より参考人を招致し、意見を聴取する等、わが国の宇宙開発のあり方について調査してまいったのでありますが、調査の経過について委員会に報告する小委員長報告要旨がまとまりました。
 まず、案文を朗読いたします。
   宇宙開発に関する小委員長報告要旨(案)
 世界の主要先進国の宇宙開発は急速な進展をとげ、特に人工衛星による実用面への進出はめざましく通信衛星、気象衛星、測地衛星等が開発され、実用化され、又放送衛星等が開発と実用化の対象に上っている。
 これらの先進諸国の動向に照らしてわが国においても宇宙開発を国の重要施策の一となし、強い決意と明確なる重点開発目標及び三十年から五十年に亘る長期的予測と長期的年次計画をもって至急に効率的な開発体制を整え、宇宙の開発及び利用を強力に推進すべきである。
 これがため必要な推進方策及び予算措置については、政府において責任をもつて措置するものとする。
 一 当面の宇宙開発の目標
 世界の宇宙開発の進展に対応し、宇宙科学技術の発達、国民福祉の向上等を図るため、宇宙平和利用の原則の下に、国は、その重要施策として強力に宇宙開発を推進する必要がある。
 政府は、差し当たり昭和四十二年度に科学衛星を、昭和四十五年度に実用人工衛星を打ち上げることを目標とし、次の事項について開発を進めるものとする。
 (1) 人工衛星打上げ用ロケット
 現在開発中のミューロケットを更に改良発展させるとともに硝酸ヒドラジンロケットおよびFRPロケットを開発し、取り敢ず重量約一五〇キログラムの人工衛星を高度約一、〇〇〇キロメートルの円軌道にのせるロケット能力を開発し、順次打上げ能力を発展させてゆくこと。
 (2) 人工衛星について
 放送配給、通信、気象等広く一般の利用に役立つ実用人工衛星を中心に検討し、具体的な用途及び実用衛星の種類を早急に決定して、その開発を推進すること。当面は、実用人工衛星に関する基礎的、共通的事項の開発研究および科学衛星の開発研究を進めること。
 (3) 射場設備
 実用人工衛星の打上げに必要な適当な条件を備えた発射場を調査、選定して、早急に新設し、必要な関連施設設備を整備すること。
 (4) 誘導制御、追跡等
 人工衛星打上げに必要な誘導制御技術、追跡技術、電波割当等について、開発研究を進め、必要な施設設備を整備すること。これがため国際的協力を必要とする場合に備えて予め研究と調査を進め、実施に関する諸般の対策を講ずること。
 二 宇宙開発体制の一元化
 宇宙開発を急速かつ効率的に推進するためには、各方面における知識、技術、資金等を計画的、組織的に動員し、強力かつ一元的に実施することが必要である。このため、次にのべる開発体制の整備方針により、今後の宇宙開発を推進すること。
 (1) 人工衛星打上げのための宇宙開発の体制としては、昭和四十二年度までは科学技術庁および東京大学が中心となって、現在進めている開発・研究を引き続き行なうが、その後の実用衛星の開発は、科学技術庁、宇宙開発推進本部が中心となって一元的に推進すること。この一元的国家的機関(特殊法人設立を検討する。)には、企画の総合調整、計画評価、決定、実施、結果整理等の機構を整え、システム・エンジニヤリングの体系を確立する必要がある。この場合において、科学技術庁は、政府機関、東京大学および民間企業等と協力し、各界の研究者の技術的能力を結集して、宇宙開発の体系を整えるものとし、従来東京大学等が進めてきた宇宙開発の成果を充分活用し、効率的な開発を行なうこと。また、従来東京大学において宇宙空間物理を主とする宇宙研究開発に携ってきた研究者が一元的体制のもとにおいて引き続きその研究を進められるよう配慮すること。
 (2) 大型ロケットについては、東京大学は、昭和四十二年度まで、直径一・四メートルのミューロケットの開発を行ない、以後これを超えるロケットの開発は行なわないものとする。その後、前項の原則のもとに、宇宙空間物理等研究及び開発のため、直径一・四メートルのミューロケットの改良を引き続き行なうことおよび科学衛星を利用して宇宙の科学的研究を行なうことは、従前通りとする。
 (3) 直径一・四メートルを超えるロケットおよび液体燃料ロケットの開発およびこのための射場追跡施設等の整備については、科学技術庁が中心となって推進すること。
 (4) 人工衛星およびロケットの追跡、技術施設(データ・センター、計算センター等も含む。)の研究開発については、科学技術庁が中心となり政府機関、東京大学その他の協力を得て推進すること。
 (5) 宇宙開発の国際情報交換、人工衛星追跡の国際協力等についても、科学技術庁が中心となって政府機関、東京大学その他の協力を得て積極的に推進すること。
 三 宇宙法の制定促進
   国連及び列国議会同盟を中心にして宇宙法の制定が推進されているが、特に我国は列国議会同盟会議における同法制定促進の提案者でもあり、本法制定に関する諸般の国内研究体制を整え、又国際的に制定促進のための努力を更に積極的に推進すべきである。以上でございます。
 何か御質問ございますか。――それでは、おはかりいたします。
 ただいま御説明いたしました要旨で委員会に対して小委員長報告をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中曽根小委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時五十五分散会