Semi-Leotax 


 軽快小型6x4.5セミ判の SEMI LEOTAX

 ライカそのまんまコピー機で有名なLEOTAX のセミ判カメラ。時々インターネット上のサイトを覗いていると、「まるまる他国のコピーをするようなソ連製のカメラはけしからん」などと宣う偏狭なご意見を目にするが、ロシア人に「じゃあ、お前んとこの、これはなんなのだ!」と言われると困るカメラが日本にはたくさんあるし、ドイツ嫌いなユダヤ系アメリカ人バイヤー(アメリカのカメラバイヤーはユダヤ系の人が多い)に助けられて、さしたる障害もなくドイツコピーを堂々と輸出して、現在の基礎を作ったことを忘れちゃいけません。
 そんな日本メーカーの代表LEOTAXの6x4.5セミ判スプリングカメラ、セミレオタックス。ガシャッ!と言う音と共に、レンズが飛び出てくる姿を見るとカメラの蛇腹というのは、実に巧妙にできた仕掛けだなあ、と感心させられる。特にこれがセミ判だと折りたたむと片手に収まり、とても中判のカメラとは思えない大きさになる。製造当時、一般化し始めた国内旅行のお供として使われたのだろう。本機は、単独距離計内蔵、巻き上げは裏窓数字合わせで、必要最小限の機能しかないので、特にシンプルかつコンパクトにまとまっている。

セミ判スプリングの大御所、小西六のセミパールの連動距離計には負けるが、単独距離計が内蔵されていて、測定した数値をレンズに移せば良い。6x4.5になると距離計が無いと不安、コンパクトにまとまった内蔵距離計は、実用性が高い。

付属のレンズは、3枚玉自社ブランド?S-REGINON 7.5cmF3.5距離は前玉回転式、1.2mから無限遠、シャッターユニットはN.K.K.製のWESTERブランド、B ・1・1/2 〜1/200。当時のフィルム事情を考えれば、必要十分な性能だろう。シンプルな機能なので、ボディーはフィルム室+α程度の大きさに収まっていて小さい。作りを詳細に見てみると、本機はもしかするとNKKで製造されたのかもしれない。LEOTAXのメインは、フォーカルプレーンのライカ型なので、まったく系統の違うこのシリーズを自社製造できるほどの会社規模ではなかっただろうと想像する。

左:蛇腹を伸ばした状態。右;折りたたんだ状態。カメラの蛇腹は、カメラの小型化には効果抜群、これを考えついた人には敬意を表したい。

 


レンズ・カビ/シャッター不動/距離計分離せず/

オークションで落札した本機は、外観はそこそこ綺麗な状態を保持していたが、子細にチェックすると錆が各部に発生していて、動きが悪くなっている、レンズ内部にカビが生えている、シャッターは粘ってスローは動かない、距離計の2重像は全く見えない、と言ったところで、中程度の要修理品。しかしこの手のシンプルなレンズシャッター機はこつを覚えれば修理はしやすいので、あまり悩むことはない。スプリングカメラの要、蛇腹はこの機械の場合非常に状態が良く角の擦れもなかった。蛇腹がダメだと修理はかなり難易度が上がるだろう。

レンズは丸ごとはずしたかったが、ボード側のネジがどうやっても全く動かず、いたしかたなく前面側からばらして、カビの生えたレンズを清掃する。カビは中性洗剤が一番良く落ちる、中性洗剤漬けがお勧め!
スプリングなど金属部にはさび止めを少量注油。ボディー内部など錆の浮いているところは、小さなワイヤーブラシで錆を落としたあと、さび止め注油して拭き上げる。シャッターは、スローガバナーをベンジン洗浄、注油で復活。

距離計は、軍艦部人工皮革をはがすと、固定ネジが見えるので、これをはずしてカバーをはずす。単独距離計なので中身はきわめてシンプル。
ハーフミラーは劣化していて全く役に立たないので、メッキを完全に落としてからマジックミラーシールを貼って再生する。 所定の位置に戻し調整。調整ネジ等はいっさい無いので、バネで位置を保持された枠を少しずつ動かして調整。

最後組み上げたあと、ピントグラスで無限遠を確認して終了。清々しいくらいシンプルだが、要点を押さえて、カメラとしての機能がバランス良く仕上げられている。コンパクトにまとまって使いやすい、蛇腹の強みを最も発揮できるカメラかもしれない。レオタックスでのこの出来なら、ちまたの評判の良い小西六のセミパールはさぞかし良いんだろうな・・・多分次は、セミパールの修理となるだろう!

 


フィルム フジ リアラエース100 サンプル写真をクリックすると画像は大きくなります。

この日は風が強くて、木々が大きく揺れていた。上がりを見ると、高速シャッターが無いので、ブレなんだか、流れなんだか判断できない部分がある。 赤蓋を閉めるのを忘れると、色が薄くなっているせいか光かぶりが起きる。
色再現は全く問題がなさそうだ、黄色かぶりもなくナチュラルな発色。

 



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