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「正恩氏落ち着いていた」金大中氏三男単独インタビュー

2012年1月5日23時9分

写真拡大1日、朝鮮人民軍部隊の寝室を視察する金正恩氏。朝鮮中央通信が配信した=朝鮮通信

写真金弘傑氏

 北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の弔問で訪朝した故金大中(キム・デジュン)元韓国大統領の三男の弘傑(ホンゴル)さん(48)が5日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。間近で見た後継者の正恩(ジョンウン)氏の印象について「外見も声もやはり若い感じがしたが、対応は落ち着いていた」と語った。

 弘傑さんは母の李姫鎬(イ・ヒホ)元大統領夫人らと12月26日、ソウル郊外から陸路北朝鮮入りし、遺体が安置された錦繍山(クムスサン)記念宮殿を訪れた。到着前、北朝鮮当局者から「(正恩氏は)喪中なので個別の面談はできないが、かけたい言葉があればいくらでも言ってください」と告げられた。

 宮殿内は葬送曲が響き、総書記の遺体に向かって左手に北朝鮮の高官が並んで立っていた。一番手前に正恩氏の姿があった。正恩氏は弔問者一人ひとりにお辞儀をして握手し、「来ていただき、ありがとうございます」と礼儀正しく感謝の言葉を述べた。身長は170センチ強。写真などで見たよりも若く見えた。周りの高官らの表情は比較的冷静に見えたという。

 宿泊先の百花園迎賓館では、当局幹部は、李夫人を2000年の南北首脳会談時に金元大統領と泊まったスイートルームに案内。正恩氏から「首脳会談時と同じもてなしをするように」との指示があったと説明したという。移動は当局が用意したベンツなどの外車。食事はキジ肉などの豪勢な料理が出され、北朝鮮製の高級酒も振る舞われた。

 27日朝に会談した金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長は正恩氏を「敬愛する領導者」と呼んだ。前日に応対した幹部たちは「尊敬する指導者、金正恩大将同志」としており、一夜で呼称が変わったことに驚いた。金永南氏は韓国政府批判はせず、南北関係について「うまく行くことを望んでいる」と語ったという。

 弘傑さんは「北朝鮮の指導層は体制の安定化を最優先していると感じた。われわれの弔問を受け入れたのも、後継体制が安定していることを示す意味もあったのではないか」と話した。(ソウル=中野晃)

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