石川のニュース 【3月26日03時13分更新】

舳倉島へ提言続々 本社調査団が最終報告会

花が咲き誇る島北側の海岸で調査を進める団員。島南側の港周辺には外来植物も見られる=2008年6月、舳倉島
 北國新聞社の舳倉島・七ツ島自然環境調査団(団長=藤則雄金大・金沢学院大名誉教授 )は25日、金沢市の北國新聞会館で、2年間の調査活動のまとめとなる最終報告会を開 いた。各分野の専門家が島の現状をデータで示しながら、野鳥や植物など島の貴重な自然 を保護するための具体的な提言を出した。

 野鳥班の矢田新平氏(日本野鳥の会石川支部長)は県内の鳥類の約87.4%にあたる 361種が周囲約5キロの舳倉島で確認されているとし、「島の環境保全がわれわれの責 務だ」と強調。動物班の水野昭憲氏(県立自然史資料館長)は「野良猫が増えれば、体力 が衰えて島にたどり着く渡り鳥への影響が大きい」と個体数抑制の必要性を指摘した。七 ツ島・大島の植生や海鳥への悪影響が懸念される外来動物カイウサギの駆除も訴えた。

 外来植物についてはバードウオッチャーや釣り人に伴って舳倉島に侵入している恐れが あり、植物班の木政喜氏(石川植物の会理事)は白山の登山道入り口に植物種子除去マ ットが設置されている事例を挙げながら「島へ渡る乗船時にも対策を検討してはどうか」 と指摘した。

 各専門家からは道路工事や植林、防虫などが舳倉島の自然に及ぼす影響を心配する意見 も出された。

 一方、金大医薬保健研究域の唐寧助教は中国北部で使用される石炭暖房で発生したとみ られる発がん性物質が舳倉島で観測されたことを報告。国境を越えた環境対策の必要性が 浮かび上がった。

 藤団長は「舳倉島は海の定点として大事だ」と強調し、観測データを将来の調査に生か す重要性を説いた。調査団は今後、学術書や普及本などで調査成果を発信していく。


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