2012.6.30 05:05

「ちい散歩」天国でも…地井武男さん死去(2/2ページ)

「ちい散歩」5周年記念で番組中で描いた絵手紙が1冊の本になり、地井武男さんも満足そうな表情。絵は番組終了までの6年間で全563枚になった=2011年6月

「ちい散歩」5周年記念で番組中で描いた絵手紙が1冊の本になり、地井武男さんも満足そうな表情。絵は番組終了までの6年間で全563枚になった=2011年6月【拡大】

 冠番組のテレビ朝日系紀行バラエティー「ちい散歩」では6年間で約322万7000歩を歩いたというが、この日静かに“歩み”を止めた。

 地井さんは1月末に目の不調を訴えて検査入院したが、「無理をすれば心不全を引き起こす可能性がある」と診断され療養に専念。3月中旬に退院して自宅療養となり、外出できるようになるなど回復の様子も見せていたが、今月に入って入退院を繰り返すように。

 所属事務所関係者によると、ここ数日は2004年2月に再婚した12歳年下の妻が入院先の都内病院で付き添っていたが、病状は回復せず29日午前7時過ぎ、妻、死別した前妻との間の長女(35)らに看取られながら息を引き取ったという。

 1966年に俳優座養成所に入所。故原田芳雄さんや故太地喜和子さん、栗原小巻(67)、村井國夫(67)らそうそうたるメンバーが同期だった。68年の「斬る」で映画デビューし、70年「沖縄」で初主演。善人から悪役まで、時代劇から2時間ドラマまで幅広く演じる貴重な俳優だった。

 日本テレビ系刑事ドラマ「太陽にほえろ!」には“トシさん”役で、途中の82年から最終話まで出演。「北の国から」では田中邦衛(79)演じる主人公・黒板五郎の親友・中畑和夫役で、81年の連ドラスタートから02年の最終スペシャル版「遺言」まで出演し、日本ドラマ史に残る2本の名作を脇で支え続けた。

 一方、バラエティーやクイズ番組などにも多く出演。お笑いコンビ、ダウンタウンの番組でパンダの着ぐるみを着て「チイチイ」と呼ばれたことで、お茶の間でもこの愛称が定着。女性誌で「女子高生の理想のお父さん」に選ばれたり、2006年上半期のタレント別CM量で1位の仲間由紀恵(32)に次ぐ2位になったことも。

 人気を決定づけたのは「ちい散歩」だ。東京近郊を歩きながら気さくに周囲の人々と触れ合い、実直で庶民的な人柄が視聴者を魅了。06年4月から今年5月まで、スペシャル版や名場面集も含め1531回出演した。

 私生活では74年に元女優の佐和子さんと結婚し1女をもうけたが、01年6月にがんによる心不全で死別。04年2月に再婚した際は、「『助けてください』とプロポーズした」とうれしそうに明かしていたが…。

 「ちい散歩」では地井さんが復帰した場合はスペシャル版の制作も検討していたという。それがかなわなくなった今、早くも天国での散歩を始めているのかもしれない。

「ちい散歩」休止を受けて放送を開始した「若大将のゆうゆう散歩」に出演中の歌手、加山雄三(75) 「信じられません…ついこないだ彼と2回も話をしたばっかりなのに…。彼とは5年も一緒に時代劇をやっていたので、彼が体調をくずして散歩を続けられないと聞いた時、いずれ彼が戻ってくるまで、僕に出来ることなら頑張ってみようと、番組をお引き受けしました。ゆっくり静養してもらおうと思っていたのに、まさかこんなことになるとは…大変ショックです。これからは彼の分まで、彼に喜んでもらえるよう、散歩を頑張りたいと思っています。ほんとうにお疲れ様でした。どうぞゆっくりお休みください」

テレビ東京系バラエティー「和風総本家」でレギュラーとして共演していた女優、萬田久子(54) 「突然の訃報で驚くばかりで言葉にもなりません…。地井さんの思いやりのある言葉、そしてあの優しい笑顔に私自身何度も勇気づけられました。昨年(萬田の夫が死去した際に)奥さんとともに励ましのお手紙を直筆でいただき、その地井さんならではの心づかいが大変にありがたかったです。今度は私が地井さんを元気づける番だと思っていましたので、本当に残念です」

葬儀・告別式

 葬儀・告別式は近親者のみで執り行う。所属事務所によると、後日お別れの会を開く予定という。

(紙面から)