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特集・平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震から2年

発表日時:平成25年3月8日(金)

資料一覧

GEONETによる観測結果

地震時の地殻変動

 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の発生により、 電子基準点「牡鹿」(宮城県石巻市)が、東南東方向へ約5.4m動き、約1.1m沈降するなど、 北海道から近畿地方にかけて広い範囲で地殻変動が観測されました。
 なお、当ページの資料では、GEONETの最終解を基に地殻変動を計算しており、 地震後の余効変動を十数時間分含んだものになっています。 また、2011年3月9日三陸沖の地震(M7.3)及び同月12日長野県北部の地震(M6.7)による地殻変動も含んでいます。
水平変動量上下変動量上下(等値線図)
地震時の地殻変動(水平) 地震時の地殻変動(上下) 地震時の地殻変動(上下)

地震後の地殻変動(余効変動)

 本震発生後、東北地方を中心に、東向きの地殻変動が継続して見られています。 電子基準点で観測された本震後の変動の大きさは、約2年間で大きいところで90cmを超えています。 また、地震時に大きく沈降した宮城県沿岸では、地震後に20cm程度隆起しています。
 地震後に地殻変動が継続する現象は、大規模な地震の後によく見られ、 その原因には様々なものが考えられますが、 余震に伴う変動に加え、地震の震源域あるいはその周辺で発生する断層面の滑り(余効すべり)が原因の一つとして考えられています。
水平変動量上下変動量上下(等値線図)
余効変動(水平) 余効変動(上下) 余効変動(上下)

地震時の地殻変動と地震後の余効変動の累積変動量

 地震時の地殻変動と地震後の余効変動を加算し、地震前から見た累積の地殻変動量を示しています。
 宮城県沿岸は、地震後の2年間で隆起しているとはいえ、地震時の大きな沈降を回復するには至っておらず、依然80cm程度沈下したままです。
水平変動量上下変動量上下(等値線図)
地震前からの累積変動量(水平) 地震前からの累積変動量(上下) 地震前からの累積変動量(上下)

詳しい資料はこちら。(資料[PDF形式 799KB])

地震後の基線変化(時系列)

 太平洋沿岸の観測点について、地震後の地殻変動の時間変化を示しています。 地震発生から約2年が経過しましたが、地殻変動(余効変動)は継続しています。
山田M牡鹿銚子
山田 M牡鹿 銚子
詳しい資料はこちら。(資料[PDF形式 261KB])

地震前後の速度変化(時系列)

 地震発生前はほぼ一定の速度で地殻変動が生じていました。 地震発生後は大きく速度が変化し、徐々に地震発生前の速度に戻っていますが、 依然として地震発生前と比べて大きな地殻変動が継続しています。
山田M牡鹿矢本銚子
山田 M牡鹿 矢本 銚子
詳しい資料はこちら。(資料[PDF形式 950KB])

余効変動の対数関数での近似(上下)

M牡鹿
 地震後に見られる余効変動は、時間とともに徐々に減衰すると考えられています。 これは、一つの考えとして、地震によって破壊された断層の周辺部に蓄積した歪が, 地震後にゆっくりとすべることで徐々に解消していくという理論に基づくものです。 この場合、地殻変動の時間変化は概ね対数関数で近似されます。
 東北地方太平洋沖地震の場合も、実際の余効変動の時間変化が対数関数でよく 表現されていることが左のグラフからわかります。
詳しい資料はこちら。(資料[PDF形式 133KB])

地震時の太平洋プレート境界面におけるすべり分布

すべり分布図

 国土地理院のGNSS観測に加え、海上保安庁の海底地殻変動観測及び東北大学の海底圧力観測を用いて、 太平洋プレート上面における地震時のすべり分布を推定しました。 これによると、震央付近では約60mのすべりが推定されました。

詳しい資料はこちら。(資料[PDF形式 211KB])

地震後の太平洋プレート境界面におけるすべり分布

 国土地理院のGNSS観測による地震後の地殻変動データから、太平洋プレート上面における地震後のすべり分布を推定しました。 この結果、本震の周辺では地震後にすべりが起きていることがわかりました。 これまでに解放されたモーメントのマグニチュードは8.6(Mw)を超えましたが、解放速度は次第に小さくなっています。

すべり分布図解放されたモーメント量
すべり分布図 解放されたモーメント量

詳しい資料はこちら。(資料[PDF形式 134KB])

その他の観測結果

VLBI観測結果

 VLBI(Very Long Baseline Interferometry:超長基線電波干渉法)とは、はるか数十億光年の彼方から、 地球に届く電波を複数のパラボラアンテナで同時に受信し、その到達時刻の差から、 数千km離れたアンテナの距離を、数mmの精度で測る測量技術です。

 地震時にVLBI 観測局で観測された地殻変動は、つくばVLBI観測局では東方向に約0.6mでした(左図)。 また、地震後から約2年が経過しましたが地殻変動(余効変動)は継続し、 つくばVLBI観測局では東方向に約0.2mとなっています(右図)。

観測された位置の変動量つくばVLBI観測局の時系列変化
VLBI 地震時の変動 VLBI つくばの時系列

詳しい資料はこちら。(資料[PDF形式 1234KB])

「だいち」が捉えた地震前後の地殻変動

地球観測衛星「だいち」(宇宙航空研究開発機構:JAXA)が観測した合成開口レーダー(SAR)画像を用いて干渉SAR解析を行ったところ、 地震に伴う地殻変動の面的分布が明らかになりました。

  1. 地震に伴う変動は東北地方から関東地方および中部地方まで及んでいます。
  2. 最も変動が大きかった牡鹿半島では、衛星と地表の間で、距離が最大で約4m伸びる変動がみられました。これは、GNSSの観測結果とも整合します。
  3. 茨城県北部(3月19日 M6.1)、福島県浜通り(4月11日 M7.0等)及び長野県北部(3月12日 M6.7)の地震に伴う地殻変動がみられます。

北行軌道南行軌道
InSAR 北行軌道 InSAR 南行軌道

詳しい資料はこちら。(資料[PDF形式 390KB])

水準測量による地震前後の地殻変動(上下)

地震後、東北地方から関東地方で実施した水準測量の結果、東北地方の太平洋岸には特に大きな地殻変動が見られます。
水準測量

 水準点は、全国の主な国道又は主要地方道に沿って約2?ごとに設置されており、高さが正確に求められています。 水準点を利用して測量することにより、土地の高さを精密(?単位)に求めることができます。
 また、この水準点を繰返し測量することで、土地の上下変動が求められ、地殻変動監視、地盤沈下対策等に利用されています。

2000年に取りまとめた結果(地震前)と2011年に観測した結果(地震後)の差分による東北〜関東の地殻変動量です。 ただし、地殻変動量には、地震前までに蓄積していた地殻変動及び地震後の余効変動等を含みます。

詳しい資料はこちら。(資料[PDF形式 382KB])

地震前後の重力変化

重力変化

 国土地理院は全国に34点の基準重力点と80点の一等重力点を整備し、重力測量を繰り返し実施しています。

 地震後に、東北地方から千葉県にかけて重力測量を実施し、 地震前の重力値と地震後の重力値を比較することで、地震に伴う重力変化を検出しました。
 重力の変化は、主に観測点の高さの変化によって生じます。高さ1mの変化は、重力0.3mGalの変化に相当します。
 また、観測点の地下で質量の大きなものが移動することによっても、重力値に変化が生じます。

 地震後には、太平洋沿岸部の観測点では重力が増加し、少し内陸に入った観測点では重力が減少する傾向が見られました。 また、房総半島では増加、下北半島では減少の傾向が見られます。

詳しい資料はこちら。(資料[PDF形式 227KB])

問合せ先

GEONETについて地理地殻活動研究センター地殻変動研究室長畑中 雄樹TEL 029-864-6925
測地観測センター地殻監視課長飯塚 豊久TEL 029-864-5971
測地観測センター地震調査官宮川 康平TEL 029-864-4825
VLBI,SARについて測地部宇宙測地課長田邉  正TEL 029-864-4813
水準測量について測地部機動観測課長根本 惠造TEL 029-864-5977
重力観測について測地部物理測地課長海老名?利TEL 029-864-4767

関連リンク


図の一部は、GMT(Generic Mapping Tool [Wessel, P., and W.H.F. Smith, New, improved version of Generic Mapping Tools released, EOS Trans. Amer. Geophys. U., vol.79 (47), pp.579, 1998]) を使用して作成した。

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