高架化1年を迎える大分駅。利用客でにぎわう大分駅のコンコース=15日
完全高架化した新しいJR大分駅(大分市)が開業し17日で1年。商業機能の充実もあって、1日平均700人増えた利用者には好評のようだ。注目される中心市街地への人の流れは「今のところ、増えもせず減りもせず」(商店街関係者)だが、2015年春に控える駅ビル開業に、期待と不安が入り交じる。
15日午後の駅構内。駅近くに住む自営業男性(65)は「にぎやかで便利。買い物によく来るようになった」。近くの駐車場に車を止め、駅構内のスーパーに息子(1)を連れて来た大分市内の主婦(29)は「利用しやすい。商店街での買い物のついで」。鉄道を使わない利用者も増えている。
JR九州によると、大分駅の乗降客は昨年より2%増え1日約3万4千人。主に半径50キロ以内の利用客への売り上げが伸びたという。スーパーや飲食の店が入る構内の商業施設には、約490万人(レジ通過延べ数)が来場。売上額は目標を14%上回っている。
JR九州大分支社の津高守支社長は「駅南北の人の流れがスムーズになり、1年目の手応えは90点以上」と評価。2年後に駅ビルが開業することを踏まえ、「よそから大分市の中心市街地に人が集まる仕掛けづくりが重要。周辺自治体や商店街とも連携しなければ」と意気込んでいる。
にぎわいの波及効果に期待する駅北側の商店街。市中央町商店街振興組合の阿部満理事長は駅ビルについて「郊外に流れた客を引き戻す力はあるが、既存商店街の売り上げまで持っていってしまうのでは」と不安を拭えない様子だ。駅ビル開業が先行した鹿児島市の商店街を参考に、個店の魅力をアップさせる支援策を模索しているという。
大分駅を中心にホルトホール大分の完成、大分パルコ跡の病院建設、道路整備など動きが慌ただしい。不動産鑑定士の安東正二さん(大分市)は「景気回復の兆しも見え、駅周辺は土地の取引が活発化しそう。中心市街地活性化は、このムードを府内、中央町にどう波及させられるかにかかっている」と指摘している。
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