ゲーテ いま、一番気になる仕事 - 連載

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いま、一番気になる仕事
滝川クリステル いま、一番気になる仕事 Redefining The JOB Special Vol.33 スペシャル対談 アーティスト・カイカイキキ代表 村上 隆 × 滝川クリステル

滝川クリステル いま、一番気になる仕事 Redefining The JOB Special Vol.33 スペシャル対談 アーティスト・カイカイキキ代表 村上 隆 × 滝川クリステル

天才肌なら、たった一本で世界が変わるかもしれないが僕は常に地道にコツコツです ベルサイユ宮殿での個展「MURAKAMI VERSAILLES」をはじめ、世界のアートシーンを常に震撼させるアーティスト、村上隆さん。初監督作品『めめめのくらげ』の公開を控え、そのビジネス哲学に迫った。 (c) 2013 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

滝川 映画『めめめのくらげ』、いよいよ始まりますね。

村上 手応えはあります。でもまだCGが制作中です。

滝川 公開直前ですよね!?

村上 この工房にある絵画作品も、海外での展覧会が始まる5日前、通関ギリギリまで描いているんです。映画もギリギリの進行。この映画は、パート2も制作するんですよ。

滝川 パート1がこれから公開なのに、すでにパート2を考えていらっしゃるんですか。

村上 昨年、撮り切りました。

滝川 ものすごいスピード感ですね(笑)。

村上 パート1のストーリーに未完の部分があったので、2を作る過程でそれを追いかけようと思ったんです。おかげで『めめめのくらげ』がどういう話なのか、明確になってきました。

滝川 尊敬している映画監督はいらっしゃるのでしょうか?

村上 宮崎駿さんです。

滝川 では今回の映画には、宮崎作品のイメージがあったと?

村上 敢えて言えば、『もののけ姫』の時に宮崎さんがテーマにした「日本人って何なの?」という問いかけを、僕なりに引き継いだ気がします。僕は以前、宮崎さんの『未来少年コナン』や『ルパン三世 カリオストロの城』を観て、アニメーションの仕事に就きたいなぁと思っていたんです。

滝川 でも映画監督にならずに、アーティストになりました。

村上 アニメーションや漫画を作る才能がありませんでした。パラパラと明滅するアイデアを1枚の絵にすることはできたけれど、それらを時間軸に編みこむことができなかったんです。それで挫折しました。でも、虚仮の一念で、今回の映画がなんとか完成しそうなので、続けて5本ぐらいは作りたいと思います。そこで真価を問いたい。

滝川 1本だけでの勝負は難しいですか?

村上 天才肌の人はたった1本で世界が変わるのかもしれませんが、僕は地味にコツコツやって、やっとわかってもらえるタイプ。地道にやっていこうと覚悟しています。

滝川 内容を子供向けにしたのも理由はそのあたりに?

村上 僕は「子供へのメッセージこそ未来を創るものだ」と信じています。だから現代美術の作品も、半分以上は専門的な小難しい内容ではなくて、カラフルで一見ハッピー。ちょっとした悪意もこもっていますが。そして、そんな作品を観に来るお客さんは、大部分が親子連れ。僕より以前には、その層へアプローチする作家がいなくて、僕がそこにスポッと収まった。

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