韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相が29日、元日本軍慰安婦が共同で暮らす複数の民間施設を訪ね、慰労した。外相が慰安婦宅を訪れるのは異例だ。韓国政府は欧州議会や国連でも慰安婦問題をめぐる「日本の責任ある措置」を訴え、安倍政権の対応を迫る攻勢を強めている。

 この日、ソウル市内の施設を訪れた尹外相は「日本の指導層の歴史を歪曲(わいきょく)した妄言には断固対応する。(元慰安婦の)名誉が一日も早く回復されるように努力する」と述べた。日本大使館前での集会に参加している元慰安婦の金福童さん(87)は「日本の暴言がますますひどくなっている。私が死ぬ前に間違いを認めさせて欲しい」と訴えた。

 朴槿恵(パククネ)政権は対日関係で「慰安婦問題の解決」を課題に掲げ、最近、国内外でのアピールに力を入れる。朴大統領が信頼する趙允旋(チョユンソン)・女性家族相は28日、ブリュッセルの欧州議会で開かれた「日本軍慰安婦被害者特別セッション」で講演し、「世界の性暴力をなくすためにも慰安婦問題に力を向けて欲しい」と訴えた。外交省によれば、ニューヨークの国連安保理の29日の公開討議では、国連大使が「日本軍慰安婦問題は人類の良心に関わる問題」と指摘し、国際社会が被害者の求めに応えるよう訴える方針だ。韓国政府は関連資料の調査や収集にも力を入れ、「国際人権問題」と位置づけて攻勢を強める構えだ。(ソウル=中野晃)