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5月閉鎖 JR北海道江差線・上ノ国駅の維持管理28年の内海さん 「最後まで」除雪、掃除

(02/14 11:00)

早朝のまだ暗い上ノ国駅で除雪に励む内海律子さん

早朝のまだ暗い上ノ国駅で除雪に励む内海律子さん

 【上ノ国】5月11日のJR江差線木古内―江差間の廃止に伴い閉鎖される上ノ国駅の維持管理を、同駅近くに住む内海律子さん(61)が30年近く一人で支えている。駅が無人化された1986年から、JRの臨時社員として毎日欠かさず出入り口の施錠や清掃、除雪などを続けてきた。廃止まで3カ月、内海さんは「最後まで気持ちよく利用してもらいたい」と、業務に励んでいる。

 5日午前6時ごろ、まだ薄暗い駅構内で、黙々と除雪を行う内海さんの姿があった。スコップを手に、駅舎からホームに通じる約20メートルの通路に5センチほど積もった雪を丁寧にかき分けていた。手作業での除雪は重労働だが、内海さんは「今年は雪が少なくて楽な方です」。この日は昼すぎに再び訪れ、駅舎の床をモップで磨いた。

 内海さんの主な業務は駅舎の鍵の管理と清掃、冬季の除雪。毎日午前6時に自宅から約100メートル離れた駅舎の出入り口を開け、午後10時ごろに施錠する。この間に駅舎などを清掃し、除雪も行う。

 JR北海道によると、同区間には無人駅が七つあり、それぞれ住民を臨時社員に採用して除雪を頼んでいるが、通年で管理業務があるのは比較的利用者が多い上ノ国駅だけという。

 内海さんは鹿児島県の旧菱刈町(現伊佐市)出身。結婚を機に26歳で町内に移り、夫が国鉄関連会社に勤務していた縁もあって同駅で荷物配達の受け付け業務に就いた。34歳の時に無人駅となり、駅の管理を引き受けた。

 28年の間に、駅舎は古びた木造から現在のブロック造りに変わったが、1日に数十人いた利用者が、いまは10人程度に減った。

 それでも、駅舎周辺に花を植えて喜ばれたこと、喫煙を叱った高校生が成人して話しかけてくれ「自分の思いが通じた」と感じたこと―。人生の半分近くの時間をともに歩んできた駅の思い出はつきない。

 そんな、駅との関わりも残り3カ月。28年間、遠出もできなかったが、内海さんは「最後の日には、やっぱり寂しさが込み上げてくるんでしょうね」と話している。(山田一輝)

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