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【鈍機翁のため息】(47)間奏 Ⅱ 人間は進歩しない
2014.2.27 08:56
ラス・カサスの告発は『インディアスの破壊についての簡潔な報告』(染田秀藤訳、岩波文庫)としてまとめられている。人間はどこまで残忍になれるか-。その問いに答えてくれるまことに貴重な報告である。そのほんの一部を紹介しよう。
インディオたちは当初、征服者たちを天から舞い降りてきた人びとと見なして友好的に迎えた。ところが征服者たちは…。
《キリスト教徒はインディオの身体を一刀両断にしたり、一太刀で首を斬りおとしたり、内臓を破裂させたりしてその腕を競いあい、それを賭け事にして楽しんだ。母親から乳飲み子を奪い取り、その子の足をつかんで岩に頭を叩(たた)きつけたキリスト教徒もいた》
《キリスト教徒は次々と新しいさまざまな殺し方や拷問の方法を編み出して、数え切れない人びとを生きたまま火あぶりにしたり、めった斬りにしたり、拷問したりしていた。また、彼らは生け捕りにしたインディオを全員、奴隷にした》
これが16世紀の出来事である。キリスト教徒による先住民虐殺はなおも続く。前回にも少しだけ触れたが、18、19世紀、イギリス人はオーストラリアのアボリジニを狩りの対象にしてスポーツ感覚で殺戮(さつりく)し、アメリカ人はあらゆる手段を講じてインディアンから土地を奪い、直接・間接に虐殺した。
歴史は繰り返すというべきか、人間は進歩しないというべきか…。悲しくなる。(桑原聡)
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