Steam

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Steam
Steam logo.svg
開発元 Valve Corporation
初版 2003年09月12日 (2003-09-12)[1]
最新版 API: v012
Package: 1386799583/1386799583 - 2013年12月11日(3か月前) (2013-12-11[±]
最新評価版 API: v012
Package: 1384386598/1384386598 - 2013年11月13日(4か月前) (2013-11-13[±]
プログラミング言語 C++
プラットフォーム デスクトップクライアント:
Microsoft Windows
Mac OS X[2]
Linux[3]
機能が限定的なクライアント:
PlayStation 3[4]
iOS
Android
サイズ 41.5MB (Windows)
153.5MB (Mac)
対応言語 25ヶ国語
サポート状況 運営中
種別 ダウンロード販売
デジタル著作権管理
SNS
ライセンス Steam Subscriber Agreement (プロプライエタリ・ソフトウェア)
公式サイト store.steampowered.com
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Steam(スチーム[5])は、コンピュータゲームダウンロード販売デジタル著作権管理マルチプレイヤーゲームのサポート、ユーザの交流補助を目的としたプラットフォームである。開発および運営はValve Corporationによって行なわれている。

特徴[編集]

Steamで購入、または、ゲームの使用権を登録してしまえば、インターネット環境のあるどのPCからでもインストール、及びプレイが可能になる。メディアも必要なくなるため、ディスクの保管などの手間が省ける。PCを買い換えたときやシステムをクリーンインストールしたとき、別のPCで手持ちのゲームを遊びたいとき、既にアンインストールした昔のタイトルを再度プレイしたいといった際に容易にプレイ環境を整えることが可能である。アップデートも自動で行われるため、管理の手間がなく、マルチプレイでバージョン不一致で撥ねられるなどの問題も発生しない。

加えて、パッケージやディスクなどの物理的なメディアもいらず、商品流通にあたってはSteam以外の中間業者を挟むことなく販売できるため、販売価格が安く設定でき、また開発者が得られる利率も多い。これはパブリッシャーや店頭販売を引き受けてくれる販売代理店を見つけるのが困難な中小の独立系開発会社にとっては大きな利点であり、実際これらの会社の制作による冒険的な作品も数多く配信されている。

反面、一度購入すればゲームの転売は事実上不可能となるので、特に対応タイトルで中古パッケージを買うときなどには注意が必要となる。(既に誰かのSteamアカウントに登録されているパッケージは空箱に等しく、これを中古で買ってもプレイすることはできない。) また、製品の購入にはクレジットカードもしくはPayPalアカウントが、初回認証にはインターネット接続が不可欠となるため、これらを使えないユーザーは利用できない。

配信[編集]

配信されているゲームの例としては、ファーストパーソン・シューティングゲームロールプレイングゲームレースゲーム、ミニゲームなどがある。

ゲームの配信元は、アクティビジョンElectronic ArtsTake-Two InteractiveIntroversion SoftwareStrategy FirstPopCap Gamesid SoftwareTHQロックスター・ゲームズアイドスカプコンスクウェア・エニックスソニーオンラインエンタテインメントなどの大手企業[6][7][8][9][10][11]の他、様々な国の中小規模の独立系開発会社もSteamを通じて作品を配信している。

2012年1月の時点で、1800以上のコンピュータゲームが配信されており、約4000万人のユーザが登録している[12]。SteamはMicrosoft Windowsをプラットフォームとしてスタートしたが、現在ではその他に、Mac OS XLinuxiOSAndroidPlayStation 3(部分的)をサポートしている。

Steamの機能・利点[編集]

アカウント統合型のダウンロード購入システム[編集]

ユーザはSteamのネット配信システムを利用してゲームを購入することができる。パッケージやゲームディスク、CDキーすら使わず、購入したソフトウェアは直ちにSteamへ追加され、購入したユーザのアカウントで利用できるようになる(アカウント登録は無料)。ゲームを購入した後は、Steamを通してどのPCからでもゲームをダウンロードし、プレイすることが可能となる。(ただし、複数のPCで単一のSteamアカウントを同時に利用することは出来ない。)

ユーザビリティ[編集]

ユーザが所持するゲームはSteamクライアント上のライブラリと呼ばれるタブにリスト表示されており、初めてプレイする際にはここからインストールを選ぶとダウンロードのプロセスが開始される。この時、もしゲームに複数のバージョン(64ビット32ビット版など)や対応言語がある場合は、Steamがコンピュータの環境(ハードウェアソフトウェア)を調べた上で、自動的に適切なバージョンが選択される。例えば複数言語として日本語版のデータが含まれるゲームの場合、Steamクライアントが日本語に設定されていれば、インストールされるゲームも自動的に日本語版となる。(ただし、現時点でSteam上で日本語版に対応しているゲームは少数に限られる。)

Steamはゲームの更新をおこなう機能も備えている。元来PCゲームでは、ゲームの不都合などがパッチで修正された際、そのパッチをメーカーの公式サイトもしくはサードパーティのミラーサイトからダウンロードし、手動でこれをインストールする必要があった。公式サイトが既に無くなっているような古いゲームや、段階的に適用しなければならないパッチが継続的にリリースされているようなゲームでは、再インストールの際にバージョンを最新にするのが困難である。Steamでは、インストールされているゲームが最新の状態であるか、オンライン時に常に確認するシステムになっており、更新があればSteamのダウンロードサーバーから自動的にダウンロードが始まり、修正が適用される。これらは全てバックグラウンドで全自動で行われるようになっており、ユーザは煩雑な手間抜きに常に最新のバージョンでゲームをプレイすることができる。

更に、Steamクラウドと呼ばれるクラウド機能に対応したゲーム(レフト・フォー・デッドなど)では、キーボードやマウスなどの各種設定、マルチプレイで使用する自キャラクターのスキン、シングルプレイでの進捗状況やセーブファイルなどの個人的なデータをSteam側で保存、管理してくれる。これにより、ネットカフェやサブPCなど異なる環境でプレイする際も、それまでの遊び慣れたセッティングでそのままプレイすることが可能となっている。対応しているゲームであれば、この機能はMac版とPC版の間でも有効である。

Steamクライアントはオーバーレイ表示によってゲーム中いつでも呼び出すことができ(デフォルトではShift+Tab)、後述するSteamコミュニティの利用や、実績の進捗状況を確認することができる。

また、Steamには標準でフレンド間で利用できるインスタントメッセンジャー機能、そしてボイスチャット機能が搭載されており、ゲーム側でボイスチャットに対応していないゲームをフレンドとプレイする際などはこれを利用して容易にコミュニケーションを取ることが可能である。

2011年の2月からはスクリーンショット機能がSteamクライアントに搭載された。これにより、ゲーム側で対応していないゲームでもSteamクライアントを通してスクリーンショットの撮影が可能となった。キャプチャした画像は自分のSteamアカウントにアップロードされ、それについてフレンド間でコメントをつけたり、そのままツイッターなどに転載することも可能である。現在DirectX 8以前のゲームには未対応となっている。

ゲームプレイ関連機能[編集]

SteamにはValve Anti-Cheat (VAC) というValveによるチート行為対策の機能が盛り込まれており、対応したマルチプレイヤーゲームにおいては厳しい監視がなされている。これに違反したユーザーのアカウントは保有するあらゆるVAC対応マルチプレイヤーゲームからバン(締め出し)され、基本的にいかなる理由があっても処分が取り消されることはない。[13]

更に、Xbox Liveなどでおなじみのアチーブメント(実績)システムを独自に有しており、ゲームの進歩具合を確認したりすることができるほか、ユニークな実績を達成するため、更なるやり込み要素をゲームに付加している。

また、SteamのインターフェースModもサポートしている。購入したゲームと同様、インストールしたModはゲームの一覧のリストにアイコンと共に表示され、そこから起動できるようになっている。ModゲームでもVAC、フレンド機能、サーバーブラウザなどのSteamの機能が使えるようになっている。今のところSteamを通しての配信はできず、自動更新やGCF、NCF形式のファイルは使用できない。例外的に、ValveのGoldSrcのゲーム、Source Engineを利用したゲーム、Red OrchestraRACE The Official WTCC Gameのみこれらの利用が可能である。

Steamコミュニティ[編集]

Steamはプレイヤー間のソーシャルネットワーク機能も有しており、オンラインフレンドの検索やグループの作成、チャットへの参加、そしてマッチのホストなどが簡単に行える仕組みになっている。

各プレイヤーが持っている「SteamID」の情報ページでは、そのプレイヤーについて、フレンド、二週間以内にどのゲームをプレイしたか、どんなゲームをお勧めしているか、Steamランキング[14](二週間以内にどのくらいプレイしていたのかを示す0から10の数字)、どのグループに所属しているのか、などの様々な情報を閲覧することができる。(これらの情報はあくまでオプションであり、使用を始めた段階では非公開となっているので、プライバシーのため公開を控えたいユーザーにも配慮されている。)

Steamのサーバーブラウザを使えば、特定のプレイヤーを検索したり、無視(filter)したり、目的のプレイヤーのいるサーバーを登録してそこに参加することができる。全ての操作は共通のメニュー項目から可能で、メニューからどのプレイヤーがどのサーバーに居るのかを確認することができ、クリックするだけでそのプレイヤーのプレイしているマルチプレイヤーゲームに参戦できる。

フレンズ機能やSteamのインスタントメッセージ・ツールを使うことにより、一対一もしくは多対多のやりとりをすることができる。一般的なインスタントメッセージツール同様、アクティビティを非公開の状態にすることも可能である。この機能はフィッシング行為への有効な対策でもある。

各グループはSteamコミュニティ上にサイトを持つことができ、ここを拠点として、活動の予定を立てたり議論を交わすことができる。

ファイル配信・認証システム[編集]

ダウンロードによる大容量ファイルのインストールという仕組み上、不安定な回線などではデータの破損などが起こる場合もあるが、Steamにはダウンロードしたファイルをチェックする機能があり、破損部分がある場合はその箇所のみを再度ダウンロードすることが可能である。これにより、ファイルの欠落による一からの再インストール(とその際のストレス)を回避することができる。

また、「分割ファイルシステム」(Distributed File System)という仕組みをサポートしており、一部のゲームではダウンロードが完全に完了する前にもゲームを起動することができる[15]。ファイルの一覧を作成して必要なファイルだけを要求することによって、ファイル構造が線形で構成されているゲームの場合は、実行部分と最初の部分のダウンロードだけで起動できるようになる。ダウンロード進行中に起動を試みても何ら問題はなく、基本的なファイルが足りない場合はゲームの起動に失敗するだけである。

Steamに適合したゲームの場合、無圧縮のファイル形式.gcfが使用される。これにより、ユーザが重要なファイルを上書きしたり、ファイル汚染がおこるのを防ぐことができる(例えば、「Pure」サーバーではテクスチャやモデルの変更が不公平の元となるので禁止している[16])。

大作ゲームなど、発売日にサーバー・回線の混雑が予想される場合を考慮し、予約購入したゲームについては暗号化されたファイルをあらかじめダウンロード(プリロード)することが可能となっている。これにより、発売日にはファイルを復号化するだけで起動が可能になるため、サーバー・回線の負荷は軽減され、購入者もダウンロードの待ち時間を軽減できる。

初期のバージョンではパッケージ版としてインストールしたプログラムファイルが既にある場合、ダウンロードの手間をかけずにそれをそのままSteamでも使えるようにコンバートする機能があったが、通信速度の向上等の理由により、現在この機能は廃止されている(全てダウンロードするようになった)。パッケージ版を所有している人はそのCDキーを入力することにより、そのゲームがダウンロード可能になるようになっている。

初めからSteamとの併用を前提に開発されたゲーム、例えばWarhammer 40,000: Dawn of War IIThe Orange BoxなどはSteam上での販売に加えパッケージ版も発売されているが、導入にあたってはSteamが同時にインストールされ、プレイする際もSteamによる認証プロセスが必須となり、以降もSteamにログインしてから起動、更新が行われる(ただし、一般的なゲームの様にディスクをドライブに入れていく必要はない)という仕組みになっている。つまり実質的にはSteam版と全く違いはなく、キャッシュファイルをただディスクに入れただけのものと言っても良い。

技術[編集]

Steamは配信時の接続に独自のインターネットプロトコルを使用し、HTTPFTPWeb用に使用する。ダウンロード時にはSteam専用の「コンテンツサーバー」を利用する。Valveによって世界中に設置されており、第三者機関によって承認されている[17]

独自の販売方式[編集]

価格設定[編集]

購入可能なゲームは値段が段階的につけられている。古いゲームであるほど安く、新規作品は(アメリカでの)店頭販売価格とほぼ同一である。安いものでは$5~$10といった値段が設定されており、そうした中には発売当初に高評価を得た往年の名作も多い。通常の小売店での購入であれば、古いタイトルでも発売当初の価格とさほど変わらない値段で売られていたり、そもそも入手が困難であったりする場合も多いが、そうしたものが現在でも確実に、しかも格安で手に入るという利点がある。また、新規作品であっても、並行輸入や代理店を経て販売されている日本国内でのパッケージの販売価格よりも格安であることが多い。

加えて、一部のゲームは単品としての購入以外に、「独立系開発会社制作のパズルゲーム詰め合わせ」「Half-Lifeシリーズ全作品」など何らかの形で関連するいくつかのゲームが入っているパッケージ(詰め合わせ商品)としても販売されることがある。こうしたパックで購入する場合、単品での購入に比べると破格とも言える割引が適用される。(例えばValve Complete Packと呼ばれるValve社製ゲーム全部入りパックでは、単品で個別に買うよりも$169.15も割安になる。)また、下記にあるように、友人間での共同購入やプレゼント利用を意図した、特定タイトルの複数ライセンスのパック販売もあり、こちらも単体で買う場合よりも割安である。

頻繁に強気なセールが行われることもSteamの大きな特徴である。 週の半ばの数日間だけの「ミッドウィークマッドネス」、週末の間だけの「ウィークエンドディール」がほぼ毎週行われており、これらの期間中は特定のタイトルが格安(通常50%OFF、稀に75%OFFになる事も)で購入出来る。セールの対象となるタイトルはその時々で変わるため、熱心なゲーマーは期待感を持って毎週これらのセールを注視しており、顧客を惹きつける大きな魅力の一つとなっている。

他にも、近日発売のタイトルでは先行予約すると一割引で購入が可能になったり、シリーズ作品ならばその前作が無料で付加されたりするキャンペーンが積極的に行われている。 年末のホリデーシーズンや夏休み期間になると、単独のタイトルだけではなく特定の開発会社、販売会社のタイトルなど大規模なスケールでの値引きが行われる。(id Software社のゲームが全タイトル半額、など。)

ギフト機能[編集]

購入時にギフトオプションを選択すれば、他人のSteamアカウントにそのゲームをプレゼントとして譲渡することができる。手続きとしては受け取り手のメールアドレス、もしくはアカウントを購入時に指定するだけであり、自分用に購入した場合と同様、相手はSteamを通して即座にゲームがプレイ可能になる。通常ギフト用のライセンスは購入時に受け取り先を指定せねばならず、買い置きはできない。また、最初から自分用として購入したものや、ギフトとして受け取り、認証したものをギフトとして譲渡するといった使い方もできない。

このシステムの利用を促すため、マルチプレイ主体のゲームの場合は4人用のライセンスが割安でセットになったパック(Four Packと呼ばれる)が販売されていることがある。これは例外的に贈る相手を決めるまで無期限で取っておくことができるため、セール期間中にとりあえず買っておいて後でプレゼントするなどといった利用法も可能である。

また、ごく限られた条件下ではあるが、購入したパック中に既に持っているゲームがあった場合、この余剰分のライセンスをギフト機能によって友人にプレゼントすることが可能な場合がある。例えば、The Orange Boxを購入した際のハーフライフ2ハーフライフ2 エピソード1、Left4Deadシリーズ2作品のパックを買った際の1作目など。このように対象となるゲームも状況も非常に限定されており、通常はパック中のゲームのライセンスの二重購入は考慮されず、二回目に買ったものは無駄になってしまう。

ちなみに、Valveはこのギフト機能を使ったライセンスのプレイヤー間での売買を一切認めておらず、(Steamの利用条件によって明記されている。)規約に違反した場合はアカウントが停止される[18]

販売促進[編集]

上記のギフト機能を利用した販売促進目的の手法として、「ゲストパス」がある。特定のタイトルを購入した際に提供されるいわば期限付きの体験券で、特定のゲームを一定期間無料で体験できるものである。購入者はゲストパスを友人にプレゼントし、マルチプレイヤーのゲームなどを一定期間遊ぶことができる。有効期限が切れればゲストパスは無効になるが、このように友人間でプレイ可能な期間を設けることにより、自然な形で購入を促す仕組みになっている。

さらに、マルチプレイヤーゲームにおける販売促進として、週末期間の間にゲームを無料でプレイできる「フリーウィークエンド」イベントが開催されることがある。この期間中はすでに同タイトルを購入済のプレイヤーと全く同じ条件でマルチプレイヤーゲームのプレイが可能となる。イベント終了後は当然プレイは不可能となるが、ゲームのファイルはインストールされたままになる。そのため、そのまま購入の手続きを行えば即座に継続してプレイが可能になる。また、もしも将来そのゲームを購入した場合、ゲームを最新の状態まで更新する手間をいくぶんか省くことができる。

支払い[編集]

ゲームの購入は全てSteamクライアントを利用した暗号通信で行う。支払いにはクレジットカードデビットカードPayPalClick&BuyWebMoneyが使用可能[19]。ただし、Steamで利用可能な「WebMoney」は電子決済サービスであり、日本のプリペイドサービス、「ウェブマネー」ではない。

上記のプレロード機能との兼ね合いもあり、殆どの新作は発売日前からの予約が可能だが、発売後ではなく、予約をした段階で料金の支払いが発生する仕組みとなっている。

Valveの実施しているValve Cyber Cafe Program[20]により、ネットカフェでもSteamが使われているゲームを遊ぶことができるようになる。運用形態は二つあり、クライアント数に応じた使用料金の徴収の場合と、Valveの時間追跡システムによるユーザ個別課金の場合がある。

ローカライゼーション[編集]

Steamクライアントはスペイン語ポルトガル語オランダ語英語フランス語ドイツ語イタリア語デンマーク語ノルウェー語スウェーデン語ポーランド語ロシア語タイ語中国語(簡体字)中国語(繁体字)韓国語日本語で使用できる。

ローカライゼーションシステムの機能には、ほかにも一括の仕様として、Valveの設定した地域ごとによる配信ゲームのロックが存在する。北米に住んでいる人がValveのOrange Boxをロシアやタイなどから購入した場合、地域コードが異なるので、Valveが地域外から購入したことを認識して、認証を取り消してしまう[21][22]

ハードウェアの販売促進[編集]

Steamは定期的にどのようなハードウェアが使われているのかを調査している。その情報はハードウェアの製造元に伝わって宣伝や販売促進に役立てられる。例えば、2007年5月にはじまった「ATI Steam Offer」[23]では、グラフィックボードにATI TechnologiesRADEONシリーズを使用しているユーザにハーフライフ2 ロストコーストハーフライフ2 デスマッチが無料で提供された。

2008年1月には、Portalのデモ版Portal: The First SliceがNVIDIAビデオカードを使用しているユーザ全員に提供された。ただし、一つのカードにつき一回のみである。

歴史[編集]

Steamの開発はだいたい2002年にはじまったとされている、開発中の名称は「Grid」と「Gazelle」だった[24]。一般に周知されたのは2002年5月22日のGame Developers Conferenceにおいてで、分散ネットワークとして紹介された。ゲームの統合機能を紹介する目的で、Relic EntertainmentImpossible Creaturesの特別バージョンを作成した。

クライアントとしてのSteamバージョン1.0がダウンロード可能となったのは、2002年のカウンターストライク 1.6のベータ期間からで、オンラインコンピュータゲームの自動更新システムとして登場した。Steamの公開はカウンターストライクのベータテスターに限られていた。2004年に、World Opponent Networkの閉鎖と同時にSteamに統合された。

その後Valveは、複数の開発元や開発者が製品をSteamで公開するように交渉した。代表的な例はRag Doll Kung FuDarwiniaで、他にも2005年の冬にカナダのStrategy FirstがValveとパートナーシップを結び、現在及び将来のゲームの供給を約束した。

ハーフライフ2の配信[編集]

2004年12月16日、Steamの本格的なダウンロード販売の先駆けとなるハーフライフ2が公式配信された。配信はほとんどの地域でうまくいったが、後にゲームの購入者の中にハーフライフ2をプレイできない人々が続出した。直前にSteamのシステムに問題が発見されたのが間接的な原因で、これを復旧するためヨーロッパの認証サーバーが五時間の間停止していたが、この間に購入した人はゲームをプレイすることができなくなっていた[25]。他にも、ダウンロードが延々と続き、必要のないアップデートをさせられるなどの問題が起こった[26][27]

その後の度重なるアップデートを経て、現在はこのようなトラブルは滅多に起こらなくなっている。

海賊版対策[編集]

HL2が発売された当初、クラッカーの中には、ハーフライフ2の起動プロセスを改造してSteamの認証サーバーをだまし、無料で入手できるようにするものも現れた。Valveは直ちにサーバーを改良して、アカウントの停止を行った。

Steamの認証サーバーを騙すというクラックは不可能となったものの、その後もSteam配信のゲームから海賊版が根絶されたわけではなく、Steamを経由せず、オフラインでゲームのシングルプレイヤー部分がプレイできるように細工された海賊版は出回り続けている。しかし、マーケティング部門副社長、ダグ・ロンバルディによれば、発売日前、及び発売日直後の海賊版流出こそが最も売り上げに影響する深刻な問題であるとValve社は捉えており、その意味で現時点のプロテクションは十分効力を発揮しているとの認識を示している。[28]

Mac版Steam[編集]

2010年5月12日より、Valve社のゲームエンジン、Source Engineの対応と合わせ、Mac版のSteamが利用可能になった。立ち上げに併せ、Source Engineを用いたValve作品の代表作、Half-Life 2シリーズ、Left 4 Deadシリーズ、Counter-Strikeなどがラインナップに上がったほか、Team Fortress 2も一足遅れて対応となった。順次独立系開発会社の製品も多くがMac対応版をリリースした。Mac向けのSteamはすべてのSteamworks APIをサポートしており、更に「Steam Play」という新機能により、Windows版、Mac版どちらかの同製品を購入したユーザーは、同一のライセンスによって無償で他方のプラットフォームのバージョンをもプレイすることが可能となった。

参考資料[編集]

  1. ^ Steam Client Released”. Valve Corporation (2003年9月12日). 2008年2月3日閲覧。
  2. ^ Valve to Deliver Steam & Source on the Mac”. Valve Corporation (2010年3月8日). 2010年3月8日閲覧。
  3. ^ News – Steam for Linux Now Available”. 2013年11月30日閲覧。
  4. ^ Portal 2 PS3, Steam cross-platform play”. Eurogamer (2011年1月18日). 2013年11月30日閲覧。
  5. ^ 蒸気、蒸気機関の意。
  6. ^ Magrino, Tom (2007年10月24日). “Steam piping Codemasters”. GameSpot. CNET. 2007年11月2日閲覧。
  7. ^ Strategy First to Deliver Multiple Titles On-Line via Steam”. Strategy First PR Department (2005年12月8日). 2006年8月23日閲覧。
  8. ^ PopCap Games Coming To Steam”. Steam News (2006年8月22日). 2006年8月23日閲覧。
  9. ^ Mokey, Nick (2007-08-06), Id Software Gets On Board with Steam, Digital Trends News, http://news.digitaltrends.com/news/story/13781/id_software_gets_on_board_with_steam 2007年11月2日閲覧。 
  10. ^ THQ Brings All-Star Line-up to Steam”. Steampowered.com (2007年7月17日). 2007年7月17日閲覧。
  11. ^ Full Steam ahead for Rockstar Games”. GamerNode. 2008年1月4日閲覧。
  12. ^ デジタル配信プラットフォームSteamの更なる統計情報が公開 http://gs.inside-games.jp/news/312/31283.html
  13. ^ Valve unbans Modern Warfare 2 players, gives gifts”. Destructoid (2010年7月26日). 2012年1月16日閲覧。
  14. ^ Steam rating”. Valve Developer Community. 2007年11月3日閲覧。
  15. ^ Content streaming”. Valve Developer Community (2006年5月14日). 2007年5月20日閲覧。
  16. ^ Pure servers”. Valve Developer Community (2007年6月6日). 2007年7月11日閲覧。
  17. ^ Content Server Stats”. Steam homepage. 2011年2月1日閲覧。)
  18. ^ Gifts and Guest Passes”. 2007年10月27日閲覧。
  19. ^ What forms of payment are accepted on Steam?”. Buying Games through Steam (2007年9月7日). 2007年11月3日閲覧。
  20. ^ Valve Cyber Cafe Program”. 2007年11月7日閲覧。
  21. ^ Caron, Frank (2007年10月25日). “Valve locking out user accounts for "incorrect territory"”. Ars Technica. 2007年11月26日閲覧。
  22. ^ Breckon, Nick (2007年10月29日). “Valve Responds to Steam Territory Deactivations (Updated)”. ShackNews. 2007年11月26日閲覧。
  23. ^ ATi Steam Offer”. Steam homepage (2007年5月30日). 2007年6月4日閲覧。
  24. ^ Steam Registers 13 million Active Accounts”. 2007年12月8日閲覧。
  25. ^ Half Life authentication servers steam up”. 2007年12月9日閲覧。
  26. ^ Netjak review
  27. ^ Sharky review
  28. ^ http://kotaku.com/5051514/steam-drm-vs-spore-drm

関連項目[編集]

外部リンク[編集]