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2012年2月27日0時33分
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「乗り換えなし」期待と不安 北陸新幹線にFGT導入案

 北陸新幹線の車両に、在来線の軌道も走れるフリーゲージトレイン(FGT)を導入する案が浮上している。敦賀延伸時に採用し、北陸から大阪へ乗り換えなしでつなぐ構想だ。ただ、FGT導入で北陸新幹線は「完成」とみなされ、敦賀以西の新幹線軌道の整備が見送られるのを懸念する声も出ている。

 2014年度末に金沢まで開業する北陸新幹線は、早ければ25年度に敦賀まで延伸する。国土交通省の構想では、その際に東京―敦賀は通常の新幹線を往復させるが、並行して富山―大阪にFGTを運行させる。

 導入の狙いは、北陸と大阪の間の往復の利便性を高めることだ。現在は特急で直接結ばれているが、敦賀まで新幹線が延びると、金沢から大阪に行く場合、敦賀で新幹線から特急に乗り換える必要が出てくる。

 FGTを導入しても、敦賀以西の速度は特急と同じなので、所要時間は変わらない。だが、乗り換えがなくなることで、「乗客が心理的に『近い』と感じて、便益が高まる」(国交省鉄道局施設課)という。

 国交省によると、FGTの車両価格は、通常の新幹線(1台3億円弱)より約1割高くなる。だが、それを考慮に入れても、金沢―敦賀の投資費用に対する便益の比率は、敦賀乗り換えの場合の1.0に比べ、FGT導入の場合は1.1に高まると試算されている。

 ただ、FGTは国内ではまだ実用化されていない。国は22年度開業予定の九州新幹線・西九州ルート(博多―長崎)への導入を目指している段階だ。走行性能や安全性については昨秋、有識者委員会から「ほぼ確立している」とお墨付きを得た。現在は車両の耐久性などを調べるため、四国で走行試験を行っている。(生田大介)

■フル規格の見送り懸念

 FGT導入について、北陸3県から反対の声は出ていない。ただ、そろって警戒するのが、FGTが定着し敦賀以西は新幹線軌道がひかれなくなることだ。

 北陸新幹線の北陸以西がフリーゲージになれば、富山から京都や大阪へは敦賀で乗り換え不要となる。建設コストも抑制されるが、在来線乗り入れによって時間短縮効果は限られる。石井隆一・富山県知事は記者会見で「いずれはフル規格で大阪まで結ぶのが望ましい」との考えを示している。

 金沢―大阪の所要時間は現在約2時間半で、敦賀延伸後でも約2時間かかる。フル規格なら約1時間と大幅に短くなり、関西からの誘客効果が期待できる。

 FGTの固定化を最も警戒するのが福井県だ。敦賀以西のルートは未定だが、福井県内を通る「小浜ルート」なら新幹線駅もできて経済効果は大きい。だがFGTは琵琶湖西岸の在来線を利用する「湖西ルート」を走るため固定化されると恩恵が小さくなる。

 フル規格が実現するかどうか先行きは不透明だ。政府は昨年末、財源面の制約から敦賀以西の着工は35年以降になるとした上で、「敦賀で在来線に接続すれば、北陸経由で関東と関西を結ぶ新幹線網がほぼ完成する」と、整備を見送る可能性も示唆している。

 国交省は今後、JRや沿線自治体の了解も得たうえで、年度内にも正式にFGT導入の方針を打ち出したい考えだ。

     ◇

 〈フリーゲージトレイン(軌間可変電車)〉国が1994年に研究を開始した。試験車両によるテストで、新幹線軌道は270キロ、在来線軌道(直線)は特急並みの130キロで安定走行するという目標を一昨年に達成。昨秋には、課題だった在来線の急カーブも特急並みの速さで走れることを確認した。海外ではスペインで06年から実用化されているという。

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