文字サイズ

震災1年、大学生の「海馬」が萎縮…恐怖癒えず

 震災前から仙台市内に住む大学生に、記憶をつかさどる脳の「海馬」が、震災後1年たってから萎縮する傾向がみられることが、東北大加齢医学研究所の調査で分かった。

 同研究所は、震災の恐怖が癒えず、長期にわたりストレスを受け続けた結果とみている。

 調査は、震災前から仙台市内に住む大学生の男女37人(平均21歳)を対象に、震災前後の2009年から12年まで、脳を磁気共鳴画像(MRI)で撮影して比較した。

 海馬は一般的に、10歳代後半をピークに徐々に萎縮する。震災後3~4か月では大きな変化はなかったが、1年後に測定したところ、右側の海馬の体積が5%程度小さくなっていたという。調査対象には津波にのまれたり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したりする学生はいなかったが、震災当時、仙台市内にいなかった学生と比べても、萎縮は顕著だったという。

 研究結果は29日、英科学誌ネイチャー系医学誌「モレキュラー・サイカイアトリー」電子版に掲載された。

 同研究所の関口敦講師(40)(脳画像解析医学)のグループは「津波被害を受けた被災者なら、さらに脳が萎縮している恐れがある。被災者には継続的なケアが必要だ」としている。

2014年05月03日 23時48分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
おすすめ

今週のPICK UP
国内線 空席照会・予約はこちらから ANA
出発空港 到着空港
搭乗日 出発時刻
搭乗クラス
ニュースランキング