落書き被害:大阪ミナミのアメリカ村 消しても次々に

毎日新聞 2014年05月19日 15時00分

 大阪・ミナミのアメリカ村(中央区)で、店のシャッターなどにスプレーやペンで落書きされる被害が急増している。ここ数年ほとんどなかったのに、今年2月ごろから約100カ所が汚され、お地蔵さんを守る防犯用ボックスに落書きするという「罰当たり」なケースもあった。若者によるいたずらとみられるが、落書きを消す側は費用も時間もかかり、負担は重い。

 4月14日午前1時過ぎ、人通りまばらなアメ村の中心・三角公園。公園西側のアパレル店の前で、帽子にマスク姿の若い男が店のシャッターにスプレーを吹き付けた。男は午前3時ごろまで、信号機の柱や飲食店の外壁に落書きを繰り返した。一連の様子は、地元商店街が設置する防犯カメラに捉えられていた。

 男が書いたのは「AK」という文字。黒やピンクのスプレーを使っていた。それぞれ大きさは異なるが、アパレル店ではシャッター(縦約2・5メートル、横約5メートル)一面に大きく吹き付けられた。アメ村の巡回を続ける地元の御津(みつ)連合自治会副会長の中川雅己さん(64)は約10カ所で「AK」の文字を確認した。

 さかのぼる2月21日午後11時40分ごろ。三角公園近くの御津八幡宮前で、帽子をかぶった若者が、地蔵の防犯用ボックスの扉に落書きするのを防犯カメラが記録した。若者は約10秒後、仲間3人と現場を去った。地蔵は店舗兼住宅の敷地にあり、黒のペンでサインのようなローマ字が縦約30センチ、横約50センチの大きさで書かれていた。住民の不破常雄さん(82)によると、ボックス内の地蔵は戦前から安置され、夜は扉を施錠する。不破さんは「地蔵さんに向かって落書きするとは罰当たり」と憤った。

 自治会によると、被害は三角公園の周辺に集中する。最初は路地裏の壁などに小さく書かれていたが、最近は表通りのシャッターや外壁が被害に遭うことが多い。公園裏の交番そばの壁などに、警察を挑発する英文の落書きも見つかった。

 自治会はシンナーなどで消す作業を続けるが、1カ所消すのに何時間もかかることがあり、追い付かない。壁に「AK」と書かれたカニ料理専門店「網元」の戸谷勝彦支配人(51)は「業者に頼んで約2万円かけて消した。非常識で迷惑千万だ」とため息をつく。

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