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大島見守る石仏3体 がれきの中から見つかる 気仙沼

がれきの中から見つかった3体の石仏。なでる熊谷さん(右)らと、再建された導き地蔵(奥)

 宮城県気仙沼市の大島で島民の信仰を集め、東日本大震災後に新たに再建された「導き地蔵」に、古びた石仏3体が祭られている。がれきの中から奇跡的に見つかった石仏で、大島住民は「津波から生還し、ありがたい。地域の復興を見守ってほしい」と祈りをささげる。
 大島の田中浜にある導き地蔵は、津波で地蔵堂が全壊。石仏6体と共に流失し、行方知れずとなっている。流失を悲しむ住民が2012年10月、木製の導き地蔵3体と石仏6体を新たに制作し、地蔵堂も再建していた。
 震災から2年4カ月後の13年7月、島の民話や言い伝えに詳しい熊谷すん子さん(86)が京都府の中学生を案内していると、地蔵堂近くに山積みされたがれきの中に、白い石があるのに気付いた。知人にがれきの山をかき分けてもらうと、失われた石仏のうち3体が見つかった。
 導き地蔵は、海難事故などの犠牲者の霊を極楽浄土に導くとされ、津波にまつわる伝説も残る。
 熊谷さんは「導き地蔵は霊を導き、石仏は地域を見守ってきた。がれきの中から出てきてくれたのは、島の復興を見守るためだろうか。みんなで末永く大切にしたい」といとおしんでいる。
 3体の石仏はいま、真新しい導き地蔵と石仏6体と一緒に祭られ、地蔵堂そばのケヤキの根元に安置されている。導き地蔵を氏神とする地元の白幡高さん(49)の一家が手入れしており、住民や観光客が手を合わせる姿も見られる。


2014年05月12日月曜日

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