さて、冒頭で触れたひょんなこととは、山戸監督が大学2年の時に受けた英語の授業での出来事だ。たまたま隣り合わせた友達から、山戸監督は映画研究会のサークルへの入部を勧められた。当時の映画研究会は廃れていて、次の部長もなり手がなかったという。「私は読書をしたり、映画、演劇を鑑賞することが好きだった。今はデジタルビデオ1個あれば映画が作れてしまう時代でもあるし、入部しました。結局、私が部長になってしまって…」。将来は哲学の研究者になろうと決めていた山戸監督のさらなる進化が楽しみだ。東京・シネマライズで公開中。大阪は5月3日からシネ・リーブル梅田で公開。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS)
■やまと・ゆうき 1989年、愛知県生まれ。2012年、上智大哲学科在学中に撮影した処女長編「あの娘が海辺で踊ってる」が、東京学生映画祭で審査員特別賞を受賞。13年「おとぎ話みたい」「5つ数えれば君の夢」と長編を手がけたほか、短編では12年「Her Res~出会いをめぐる 三分間の試問3本立て~」を発表し、ぴあフィルムフェスティバルに入選。